全国高等学校野球選手権大会 各大会優勝予想

【予想篇】2007年夏の甲子園

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全国の高校球児が対戦を熱望していた大阪桐蔭・中田翔が府大会決勝で敗れてしまうという波乱。優勝争いの中心になるはずだった存在が消えたことで、その行方はますます混とんとなった。(熱闘甲子園に至っては出場すると信じて中田翔のシルエットを使用していた…)

また、この年は特待生問題で非常に揺れた年となった。強豪校とその他の高校の間でのいわゆる「格差問題」が騒がれ、様々な意見が飛び交う中での開催された大会だった。

そんな中で優勝争いの一番手集団の数は以下のように多くなるだろう。

仙台育英、帝京、常葉菊川、大垣日大、広陵、報徳学園、金光大阪、高知、今治西

以上のチームを軸に優勝争いは展開していきそうだ。

ただ、その他にも投手力、打力に秀でたチームや常連校も多く存在し、上位に進む力を持ったチームは多いと言えそうだ。

仙台育英―智辯和歌山、広陵―駒大苫小牧、京都外大西―常総学院と大会初戦から強豪同士の好カードも組まれた。

優勝候補Aクラス

仙台育英は大会No.1右腕・佐藤由(ヤクルト)を擁して選抜初戦敗退の雪辱、そして東北勢初優勝を狙う。絶対エースを擁し、新チーム結成当初は評価が高かったが、神宮も選抜も初戦敗退に終わった。特待生問題で5月は対外試合を自粛。ひたすら走り込みなどに打ち込み、6月は練習試合を解禁して試合勘を取り戻した。宮城大会では準決勝での永年のライバル東北と激突。前年決勝で引き分け再試合を演じた相手と再び相まみえた。相手左腕の荻野は仙台育英が苦手とするサウスポーだったが、1番橋本が5打数4安打と活躍。常に先手を取る展開で3-2と振り切った。エースの力投もさることながら、エースに頼らない野球が最後の夏に結実した。

1,2番の橋本、遊佐はともに5割を超える打率でチャンスメーク。高橋、加藤の中軸につないだ。橋本は守備でも貢献。センターから矢のような送球で走りこんできたランナーを刺した。佐藤由は立ち上がりに不安を抱えるものの、大会を通して徐々に安定。50イニングで50三振を奪った。みちのくの悲願をかなえるため、甲子園へ乗り込む。

https://www.youtube.com/watch?v=QAzaNudgAJs

東の横綱と謳われる帝京も選抜に続いて甲子園に戻ってきた。選抜ではベスト4に入るもエースの大田(DeNA-オリックス)が指に死球を受けて骨折。選抜1回戦で20三振を記録したエースが今夏は本調子でない中、左のエース垣ケ原と2年生右腕の高島(中日)が踏ん張った。垣ケ原は試合ごとに安定感を増し、ピンチの場面では三振でしのいだ。高島は選抜準決勝でいきなり2四球を与えて降板。精神面を鍛えるため、走り込み・投げ込みの量を増やし、5回戦の駒場学園戦では12三振を奪った。

打線は例年通り強力。4番の中村(ソフトバンク)は3回戦から3試合連続のホームラン。高校通算60ホームランとし、松井秀喜に並んだ。打率4割の3番長田、2年生捕手の鎌田と3人で打点の半分以上を挙げた。昨夏は智辯和歌山と壮絶な打ち合いの末、逆転サヨナラ負け。今年のチームの原点ともいえる悔しい敗戦だった。今大会も智辯和歌山は出場しており、リベンジに燃える。その先の目標はもちろん3度目の夏制覇である。

https://www.youtube.com/watch?v=BD52DpgrYpo

選抜優勝の常葉菊川は通算6校目の春夏連覇を狙う。県大会では延長2試合、サヨナラが1試合と苦戦。選抜を席巻したフルスイング野球は他校に徹底的に研究されたが、最後まで持ち味を貫いた。最終的に1点勝っていればよいという考え方のもと、強気のフルスイングを続けた。

決勝では昨夏の甲子園を経験した静岡商の好左腕・大野と対戦。2点ビハインドの7回、ついに大野をとらえて7得点を奪った。制球の乱れ、疲れを逃さない野球は全国でも他校の脅威となる。8番の前田が2ホームランを放つなど、上位から下位まで長打のある打者が並ぶ。一方、選抜では見せなかった犠打を使う場面もあり、変化球主体でフルスイングを封じようとする相手には犠打と走塁で崩す柔軟性を見せた。

守りでは選抜優勝の立役者となった田中(DeNA)、戸狩の両左腕も健在。田中は選抜後も多い日は1日300球を投げ込み、コーナーを突く制球力を磨いた。捕手の石岡の内外、高低を使い分ける緻密なリードも光る。苦しい戦いを超えてさらに磨かれた菊川野球で深紅の大優勝旗を奪いに行く。

https://www.youtube.com/watch?v=OPaD2JkoHj8

選抜準優勝の大垣日大も夏の舞台に戻ってきた。選抜ではノーマークのなか主戦・森田の好投で快進撃を見せた。森田は選抜でキレのいいスライダーで三振を奪ったが、夏は真っすぐの威力が増したことで、スライダーとの相乗効果で楽な投球ができるようになった。加えて縦のカーブも習得。緩急と縦横の変化を手にして、今大会でも再注目の右投手となった。打線は3番小林、4番大林、5番森田がともに5割付近の打率を残し、選抜同様チームの得点源となった。特に森田は5長打11打点を挙げ、投打両面で貢献した。

一方、選抜では5試合1盗塁に終わった機動力を夏に向け強化。特待生問題で練習試合ができない間、走り込みで足を磨いた。名将・阪口監督のベンチワークで出されるスクイズやエンドランも足の強化により、成功率が増した。春はダークホースで勝ち進んだが、今夏は選抜準優勝校としてマークされる。厳しいマークの中で真価が問われる夏。春はあと一歩で届かなかった優勝旗を夏は取りに行く。

https://www.youtube.com/watch?v=SVhHI73UAFg

選抜8強の広陵も実力校だ。選抜では3度の優勝を誇るも夏は準優勝が最高。悲願の全国制覇を目指す。新チーム結成以降中国地区では無敗と圧倒的な強さを見せてきた。前年のエース吉川(日本ハム―巨人)や好ショート松永のような圧倒的な個の力はないが、接戦を粘り強く制する勝負強さは特筆ものである。エース野村(広島)は140キロ台の真っすぐと鋭いスライダーが武器の好投手だったが、春以降力の抜けた投球を覚えて成長。8割の力でキレのあるボールを投げるようになった。また、選抜準々決勝で帝京打線に初回に捕まり6失点したことを反省。ここでも力をうまく抜いて立ち上がりを切り抜けられるようになった。

打線は上位から下位まで中距離ヒッターの好打者を並べており、プロ野球のロッテのような打線。1番浦、2番上本(広島)、3番土生(広島)と上位の3人はチームの盗塁の7割をたたき出した。福田、有水、林らがきっちり返し、塁に出たら再び足を絡めてチャンスメークできるつながりのいい打線だ。決勝の総合技術戦では延長10回に9番捕手の小林(巨人)が決勝ホームランを放った。走攻守とも穴がなく、また決しておごらない姿勢もこのチームの良さ。自分たちはまだまだ弱いと感じ、さらに強くなろうとする貪欲さがある。この姿勢のまま名門校が優勝に突き進む。

https://www.youtube.com/watch?v=Bk7tTa1KT-s

 

逆に選抜で不本意な結果に終わった高知、今治西、報徳学園は夏に雪辱を期す。

選抜大会で優勝候補に挙げられながら室戸に敗れてまさかの初戦敗退を喫した報徳学園は雪辱を晴らす夏の舞台に戻ってきた。2年生エースの近田(ソフトバンク)は室戸戦は被安打6失点2と悪い内容ではなかったが、気持ちの面で負けてしまっていたと反省。春以降、走り込みを繰り返して成長したのは140キロ台の質の高い真っすぐもさることながら、マウンドでの落ち着きだったかもしれない。選抜で悔しい思いをしたのは打線も同じ。室戸の森沢に1点に抑えられてしまった。夏の兵庫大会では打率4割を超え、長打30本と本領を発揮した。

また、積極的な走塁や犠打を絡めた粘り強い攻撃も持ち味。決勝では神戸国際大付属に3点を先行されたが、落ち着いて中盤には逆転した。5回戦では5-0とあっている展開で4番の小杉が頭から1塁にヘッドスライディングするなど勝利への執念を感じる攻撃を見せた。1番の竹田は打率6割5分、長打10本と攻撃の突破口を作る。優勝した2002年の選抜以降、4大会連続で初戦敗退中とエアポケットに入ってしまった感のある名門校。投打に実力は確かなだけに落ち着いて力を発揮し、勝ち進んでいきたい。

 

同じく神宮で優勝しながら選抜初戦敗退に終わった高知も雪辱を期している。選抜ではキーマンの1番大菊が抑え込まれてチーム全体に焦りが出て、関西に敗れてしまった。精神的な弱さを克服したチームは春季四国大会も優勝。高知大会でも危なげない戦いぶりを見せ、決勝では因縁の相手・明徳義塾を7―1の完勝で下した。エースの国尾は35イニングを投げてわずか2失点。2回戦では7回参考記録ながら無安打無得点を獲得した。直球、変化球とも制球がよく、相手の狙い球をかわす巧みさもある。

打線は足の速い1番大菊が6割を超す打率で出塁。バントのうまい高木がつないだ後、長打力のある山本、矢野、森田へと続く。下位の植木がチームトップの打点を記録するなどむらのない打線を形成する。守備もセンターラインを中心に5試合で3失策と堅守。投攻守に穴のない布陣であり、あとは精神的な強さを夏の甲子園で発揮するだけ。それができれば神宮に続いて夏の頂点をつかむことも十分可能だろう。

 

今治西は3季連続の甲子園出場。選抜では冬場に1日4500本の素振りを課した猛練習で疲れがたまってしまい、パフォーマンスが低下。優勝した常葉菊川に0-10と大敗を喫した。選抜後はバッテリーの背番号をはく奪。一度自分を見直す機会を作ることで2人とも力みのとれたプレーをするようになった。熊代はスライダーの制球が安定。捕手・潮も落ち着きを取り戻した。

打線も選抜以降息を吹き返し、笠原や浜元ら上位打線に快音が戻ってきた。決勝は近年のライバル校・済美と対戦。9回には1アウト満塁のサヨナラのピンチをショート福岡の好プレイでしのぐと、延長10回エース熊代自ら勝ち越しの2塁打を放った。強豪との息をのむような死闘を制し、チームの実力はワンランクアップしたと言えるだろう。

熊代は結局5試合で2失点。43回で48三振を奪った。打撃もチーム打率以上に内容はよく期待できる。昨夏からの集大成を見せられるか、愛媛の強豪が頂点だけを狙って突き進む。

https://www.youtube.com/watch?v=vYxGSx3JMjI

そして、優勝戦線で無視できないのが大本命・大阪桐蔭を破った金光大阪。上記のチームに比べると甲子園経験では劣るが、勢いに乗って頂点を目指す。

身長183センチの長身左腕・植松(ロッテ)と制球力抜群の右腕・弓削を中心とした守りのチームだ。植松は府大会では制球に苦しむ場面も多々見られたが、徐々に復調。準決勝では1安打完封し、決勝は大阪桐蔭の強力打線を相手に3失点完投。高校通算87ホームランのスラッガー中田翔(日本ハム)を5打数ノーヒットに封じ込めた。球威のあるストレートでぐいぐい押す投球を見せる。弓削はコーナーを突いて打ち取る投球が持ち味。解説者曰く「ボールが粘っている」という、ボール1個分の出し入れを見せる。

打線はチーム打率3割6分。1番の石井は決勝で中田から先頭打者ホームラン。吉見、小松の3,5番は高打率を残し、4番毛利の不調をカバーした。守備は8試合で6失策と安定。二遊間はアンツーカーから出そうなくらい深い位置で守り、再三のヒット性の当たりを好捕。対大阪桐蔭戦の徹底した守備戦略が見て取れた。王者を倒した自信を胸に全国制覇を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=AOJ-PLewOzw

 

以上9チームがトップ集団になるだろう。

追う第2集団も多数存在し、実力校がひしめき合っている。

優勝候補Bクラス

5年連続の出場で4年連続の決勝進出を狙う北の王者・駒大苫小牧。エース田中将大(楽天―ヤンキース)をはじめスター選手ぞろいだった3年生と違い、超高校級の選手はいないものの走攻守のレベルは高くまとまっている。投手陣は左右で2人ずつ好投手を擁し、層が厚い。140キロを超す直球と縦横のスライダーが武器の左腕・片山、春に急成長した左腕久田、けがから復帰した右腕・対馬、昨夏の決勝のマウンドにたった右腕・菊池と質量ともに豊富な投手陣だ。思い切りのいい打撃とスキのない走塁は常勝軍団の伝統を引き継いでいる。特に走塁の精度は年々磨きがかかっており、このチームの大きな武器だ。

昨秋は北海道栄にまさかのコールド負けを喫したところからスタートしたが、謙虚な姿勢で練習を重ねて成長。春季北海道大会では特待生問題の影響で主力を欠きながらも優勝を勝ち取った。北海道大会では初戦から強豪・鵡川とあたる厳しい組み合わせになったが、3番武田、4番佐藤のホームランで勝利を収めた。準決勝では16安打、決勝では18安打と打線は勢いを増している。チャレンジャー精神を失わない集団が再び夏の頂点を奪還する。

https://www.youtube.com/watch?v=TYVBjZou7iY

打撃で上位勢を追走するのが春季近畿大会優勝の智弁学園。ライバル天理の5連覇を阻止し、5年ぶりの出場を決めた。準決勝ではその天理を延長12回の熱戦の末、13-9で打ち崩した。多少のビハインドはものともしない攻撃力を誇る。チームに大きな力を与えたのが一昨年逝去した故・上村監督。現3年生は直接指導を受けており。今夏は弔い合戦でもあった。3塁コーチの上村は監督の息子。優勝を決めた瞬間、遺影を抱いて喜んだ。

打線は左打者6人を並べるが、左投手は苦にしない。3番巧打の生多、4番強打の岸田は破壊力満点。岸田は決勝で場外ホームランを放ち、パワーを見せつけた。1番主将の佐藤は50メートル5秒8の俊足で相手をかきまわす。投手陣は内之倉、阪口の技巧派右腕2枚看板。内之倉は直球とスライダー、フォークをうまく投げ分ける。2年生右腕阪口は制球力に長ける。兄弟校の智辯和歌山に負けない強打で投手陣を援護し、久々の甲子園で暴れまわる。

https://www.youtube.com/watch?v=mOsCWCPUIyU

同じ近畿勢でディフェンス力で対抗するのが京都外大西だ。2005年に1年生で甲子園準優勝を果たした本田が主将として甲子園に戻ってきた。チームは6月の練習試合で大阪桐蔭に勝利し、勢いに乗った。投手陣は大会でも屈指の陣容。制球力抜群の左腕・白井、スライダーが武器の左腕・安達、4番も務める右腕・辻(中日)が先発を務め、本田が抑えで占めるパターンを確立している。本田は前年までのスランプから脱出。肩の力が抜け、ストレートのスピードは148キロまで伸びた。京都大会では打ち込まれる場面もあったが、最後まで真っすぐで押し切った。

打線は2番内山、4番辻、7番田中が勝負強く、1年生ながら中軸を務める3番中川、5番斎藤の活躍も光った。決勝は京都すばるの好左腕・中村恭(広島)相手に4番辻のポテンヒットで決勝点を奪うなど、しぶとく得点を奪った。2年ぶりの夏で目指すのは、あの時つかめなかった深紅の大優勝旗だ。

 

その京都外大西と初戦で対戦する常総学院や浦和学院といった関東の強豪も優勝戦線に顔を出す。

常総学院は2年連続の夏。昨夏も打力は高かったが、投手陣が打ち込まれて今治西に初戦敗退を喫した。新チーム結成後も結果が出ず、選手の能力と結果が比例しなかった。その中で大きかったのは、エースの清原(阪神)が安定したこと。35イニングを投げて9失点と投手陣の軸として活躍した。3回戦の霞ケ浦戦では延長10回175球を投げぬいてサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

打線はチーム打率0.385と今年も強力。1番鈴木朝、4番島根は鋭いスイングで圧力をかけた。スタメンのメンバーがまんべんなく打点を挙げており、どこからでも得点できる。また、頻繁に主将を代えるのが常総流。今年もその例にもれず、4人目の主将となった元気者の3塁コーチ・長谷川が見事に勤め上げている。持丸監督になってからはまだ甲子園1勝をあげられていない。初戦突破がまず目指すところだが、最終的な目標はもちろん2003年以来の全国制覇だ。

 

浦和学院も2年連続の甲子園。昨夏のメンバーが4人残る。3番投手の赤坂(中日)は高校通算58ホームランのスラッガーで昨夏の甲子園でも1発を放った。埼玉大会では2ホームラン10打点と勝負強さを見せた。その赤坂に送りバントのサインを出すこともあり、今年の浦和学院は負けにくいチームという印象を与えている。鮫島や阿部ら昨年からの経験者だけに頼らず、常にスキのない攻撃を仕掛けられる攻撃は昨年ほどの破壊力はなくとも十分脅威を与えている。

投手陣は鎌田が大きく成長。直球に威力があり、制球力も併せ持つ。準決勝・決勝は完投し、投手陣の柱となった。赤坂も投手としての能力は高く、140キロを超す速球にスライダー、カーブを駆使して打ち取る。投打で赤坂の負担を減らせるメンバーがそろっており、総合力は昨年以上。今年は上位まで勝ち進みたい。

https://www.youtube.com/watch?v=oFd0mak8Dlc

 

4年連続の甲子園となる青森山田も実力校。初戦で対戦するV候補・報徳としては骨のある相手を引いたと言えるだろう。チーム打率0.430の強力打線は驚異。準決勝まですべてコールド勝ちし、決勝もワンサイドゲームで勝利した。昨夏駒大苫小牧をすんでのところまで追い詰めたチームから残った近藤や中西がチームを引っ張った。長打は狙わず、単打をつなぎ機動力を駆使する攻撃で得点を積み重ねた。エースで4番の石井は7割近い打率を残し、投打両面でチームを牽引。下位まで好打率の打者が並び、穴がない。

投手・石井は鋭いスライダーと130キロ半ばの直球で23イニングを投げ3失点。冬場の徹底した走り込みで鍛えた下半身と精神力で好投した。2年前のエース柳田(ロッテ)の存在や王者・駒苫との死闘などここ数年の甲子園を賑わせている強豪校。今年も存在感を示したい。

 

レベルの高い今年の東海地区で春季大会優勝を果たした宇治山田商も注目だ。投手力は全国でも上位レベル。直球とキレのあるスライダーが武器のエース中井(巨人)と140キロ台中盤の直球で押す2年生平生はともに完投能力があり、三重大会6試合でわずか5失点に抑えた。特に平生は32回を投げて被安打8で1失点と抜群の安定感。来年も楽しみな逸材だ。

打線でも中井が軸。18打数12安打7長打と自慢の長打力をフルに発揮した。1番北川、2番片岡が高い出塁率を誇り、中井の前にチャンスを演出する。これまで甲子園勝利経験はない。しかし、今年は練習試合で選抜優勝の常葉菊川と対戦して0-2と敗れはしたが、接戦を演じており実力は確か。全国の舞台でも上位を目指しており、これまでの甲子園に行って満足していた山商とは一味違うところを見せる。

https://www.youtube.com/watch?v=c2ERI1GtJ2Y

 

九州地区では長崎日大と日南学園の2校が手ごわい。

 

長崎日大は沖縄尚学で選抜優勝を果たした金城監督を招聘して初めての甲子園。朝練禁止、居残り練習禁止という独自のスタイルを取り込み、集中力の維持を重視。空いた時間は清掃活動などを行う方針にしたため、選手たちもはじめは不安に感じたが、徐々に精神力が高まる効果を実感。試合にも活きた。準決勝ではここ数年長崎の主役を奪われていたライバル清峰と対戦。終盤の集中打で逆転勝利を飾った。

守りからリズムを作る金城監督の野球で1試合平均の失策は1個にとどめた。内野陣は再三ヒット性の打球を好捕。ピンチをしのいだ。中心はエースで4番の浦口。外角低めに決まるスライダーを武器に好投を見せた。打線はチーム打率3割6分。上戸、浦口、曲淵の中軸のほか9番の柴田が打率4割を超えるなど上位から下位まで振りは鋭い。長崎勢のレベルの高さを見せたい。

 

日南学園は投打ともにパワフルなチーム。投手陣3人はいずれも140キロを超せる本格派。直球で押す先発の有馬(ソフトバンクー楽天)、キレのあるスライダーが武器の左腕中崎(西武)の2年生左腕2人と完投能力のある3年生右腕・湯野の投手層の厚さはこのチーム最大の強みだ。

打線もチーム打率3割5分を超え、力攻めで打ち崩す攻撃を見せる。打率6割を超す5番大松、全試合ヒットを放った6番中崎は相手の脅威であった。部員はほとんどが寮生活。その中で食事は1日3500キロカロリーを摂取。豊富な食事量がパワーを支えている。これまで優勝のない宮崎県勢だが、今回はそのチャンスは十分にある戦力。初戦は神奈川の強豪・桐光学園を迎え撃つ。

https://www.youtube.com/watch?v=naQyONto_6w

 

優勝候補Cクラス

大会注目の好投手としては、140キロ台後半の球速を誇る市立船橋のツインタワーの山崎(オリックス)と岩崎(ソフトバンク)、強気の内角攻めが光る文星芸大付の左腕・佐藤祥(横浜―日本ハム―広島)、県大会では不調も本来は東北屈指の好投手の聖光学院・鈴木健、シンカーを武器に三振を量産する新潟明訓のエース永井、最速147キロの速球派右腕の楊志館・甲斐、花巻東の1年生の剛球サウスポー・菊池雄星(西武)、堀内2世と前評判の高い甲府商の2年生エース・米田、昨夏日大山形を山形県勢初のベスト8に導いた右サイド・阿部、サイドから140キロの速球を繰り出す神村学園・盛らがいる。

https://www.youtube.com/watch?v=0lrtZdMe2EQ

 

これらの好投手を有するチームも優勝候補のチームを食って上位に進む力を持っている。

 

大会注目の打者では強打・智辯和歌山の2年生の主砲・坂口(巨人)、通算ホームラン39本の桜井の主砲・藤井(ソフトバンク)、愛工大名電の勝負強い3番脇山、岡山理大付の強打の捕手・浜野、逆転の桐光学園を引っ張ったチャンスに強い5番秋山、投手としてもチームを引っ張る星稜の4番・高木京(巨人)、選手宣誓を引き当てた前橋商の主軸・樺沢らがいる。

https://www.youtube.com/watch?v=aGpaRVSt1D0

 

昨夏全国制覇を成し遂げた西東京代表は今年は創価高校となった。初出場時も前回出場も猪年で、今年も猪年となぜか猪年に縁のあるチームが久々の出場を決めた。第一シードの東海大菅生や昨年全国制覇した早稲田実が早期敗退する中で勝ち抜けたのは守備からリズムを作る野球を徹底したからだ。技巧派左腕の勘米良を支える守備は6試合で4失策と鉄壁。豊富な練習量に裏打ちされた自信でつかんだ結果だった。準決勝では強打の日大三相手に6失点するも、最後は守備力で振り切った。

打線も1,3,6,8番に4割打者が並び、1年生4番大島の不調をカバーした。大島は決勝でバックスクリーンに勝ち越しのホームラン。楽しみな打者だ。1番の中安は6割を超える出塁率を誇る。12年ぶりの出場となるが、自慢の守備力で初戦は強打の愛工大名電を迎え撃つ。

https://www.youtube.com/watch?v=16c67-s1uw4

 

近江高校は多賀監督が過去最高と自信を見せる投手陣を擁する。2001年の夏準優勝の3本の矢の投手陣と双璧と自負する。2年生エースの小熊(中日)は140キロ台の速球が低めに突き刺さり、変化球の制球も抜群。本格派投手にありがちなもろさはない。そのほか気迫の投球が光る橋本、カットボールが武器の野口、昨年から急成長の左腕・野口と持ち味の違う投手が並ぶ。

打力もチーム打率0.370と高い。4番川村は6割使い打率で3試合連続ホームラン10打点をマーク。小柄ながらパンチ力のある打撃はみものだ。自信の戦力で2001年の準優勝を超えていきたい。

 

駒大岩見沢は北北海道に移って初めての甲子園出場。ヒグマ打線の異名を持つ打力で1試合平均8得点を奪った。毎試合すべて序盤に先制。決勝では選昨選抜の経験もある旭川実の好投手・北山を相手に初回に6安打を浴びせてあっという間にKOした。

投手陣も6試合で3失点と安定。エース白崎は140キロ台の速球に鋭い変化球を混ぜる好投手だ。兄弟校の駒大苫小牧の活躍に大いに刺激を受けた強豪が9年ぶりに挑む甲子園。初戦の相手はV候補の帝京。鍛え上げた打力を見せつける。

https://www.youtube.com/watch?v=60FfHafYzsE

 

沖縄の伝統校・興南は左腕・仲田(阪神)を擁して出場した時以来24年ぶりに甲子園出場を果たした。決勝では沖縄史上初となる引き分け再試合を制して優勝を決めた。投手陣は左の幸喜、当山に1年生右腕・石川の3人。3人とも緩急をつけ、コーナーを丹念に突く。1968年に興南が沖縄勢初のベスト4を決めた時の主将だった我喜屋監督が就任。生活面から改革を施し、沖縄のなんくるないさ的なところを変えた。生まれ変わった興南の甲子園が楽しみだ。

優勝候補Dクラス

福井商・松商学園の北信越の伝統校も出場を決めた。

松商学園は中学時代に全国制覇を果たした世代が2年生に多数おり、チームを引っ張る。特に小原と奥野の奥野の二遊間は小尾監督が「長野を代表する二遊間になる」と期待を込める逸材だ。打撃でも下位ながら高打率を残す。主将でエースの田中は投手転向して日が浅いが、6月下旬から制球力が付き、スライダーの切れも増してきた。全国最多の34回目の出場で意地を見せたい。

 

3年連続の出場となる福井商は昨夏ベスト16のチームから残ったのは主将でショートの小林のみ。北野監督に「福井商史上最弱」と揶揄された時期もあったが、伝統の堅守を軸に夏は安定した戦いを見せた。山田・宇野の両右腕はともに140キロを超すストレートを持ち、2人の継投で優勝を決めた。

打線も4試合で43安打を放ち、犠打も14を記録。手堅い攻めで得点を重ねる。2年生捕手の中村(ヤクルト)は強肩で両投手を盛り立てる。昨夏を超えるベスト8を目指す。

 

岩国は3年ぶりの夏の甲子園。好投手と機動力豊かな攻撃の岩国らしいチームで勝ち抜いた。強くなれたのはライバル宇部商の存在。昨秋9回2アウトから逆転負けを喫し、ライバルは選抜まで出場して1勝を挙げた。打倒・宇部商を掲げて走りこんだエース高木は山口大会をなんと一人で投げぬいた。猛暑のなかで投げぬくスタミナは特筆ものだ。

打線はチーム打率は0.240と低いが盗塁を絡めて一気呵成に攻め立てる攻撃を見せる。4番の内田は6割使い打率でポイントゲッターとして期待が集まる。ベスト8に進んだ2003年の再現を狙う。

 

過去ベスト4が1回、ベスト8が1回と夏に強い金足農業は6年ぶりの出場。秋田大会では一度もリードを許すことなく、勝ち上がった。2年生左腕の高橋は独特のトルネード投法で球威と制球力をつけた。打線は木の上から落としたボールを打つ独特の練習でミート力を強化。秋田大会では11人が打点を挙げた。嶋崎監督得意のバント攻撃も駆使して、しぶとく勝ち上がっていきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=CD5kJvcYuNE

 

2年生中心のチームながら勢いがあるのが東福岡。スタメンの7人が2年生ながら福岡大会で5試合連続逆転勝利と粘り強い戦いで激戦区を制した。ビッグイニングが多く、準々決勝ではプロ注目の好投手・福岡第一の郭を攻め立てて一挙8得点。福岡工大城東や沖学園などの強豪校も沈めた。打率4割の3番鶴田を中心に一度つながり始めると止まらない。投手陣は制球のいい小原、球威のある水落の2年生2枚看板。よきライバルとして刺激しあっている。可能性を秘めた若いチームが旋風を巻き起こす。

https://www.youtube.com/watch?v=6Httqi196ks

https://www.youtube.com/watch?v=WlKFozGmPTk

 

優勝候補Eクラス

四国からは徳島商・尽誠学園の伝統校2校が出場を決めた。

 

尽誠学園は3年ぶりの出場。エース左腕・藤井は肩の故障から復活し、130キロ台後半の速球と縦横2種類のスライダーで勝負。真っ向投げ下ろしのフォームで投げっぷりがよい。スライダーが武器の右腕・岩崎も香川大会では好投した。打線は1番山下、4番高尾がともに4割を超す打率でチームを引っ張る。下位の7~9番も強力で打線にむらがない。過去最高成績は4強が2回。強豪復活なるか。

https://www.youtube.com/watch?v=JCxIUioQeOU

 

徳島商は2年連続の甲子園。昨夏は仙台育英の佐藤由の前に手も足も出ず敗退。雪辱の夏に臨む。投手陣は2年生右腕の中野が急成長。伸びのある直球とキレのある変化球を武器に好投。3月に打球が頭部を直撃するアクシデントがあったが、夏は見事に復活を果たした。先発の3年生右腕・稲岡の後を受けてリリーフで登板。12イニングを投げて無失点に抑えた。

打線では2番志尾、3番の角田が昨夏からのメンバー。ともに打率5割を残して機動力・判断力も優れている。先頭が出ればバントで送る手堅い攻めで相手をじわじわ締め付けるような攻撃を見せる。伝統校がリベンジの舞台に臨む。

 

その徳島商と初戦で対戦する開星も2年連続の出場。梶谷(DeNA)らを擁した重量打線よりは小粒だが、全員野球で勝ち抜いた。準決勝の浜田戦ではノーヒットノーランを達成した左腕・入江を擁する浜田と対戦。1番から9番まで初球から積極的に振りに言って攻略した。昨夏からエースの吉田は縦に割れるカーブ、スライダー、チェンジアップと変化球の制球が抜群。昨夏のリベンジを果たし、悲願の夏1勝を目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=asyjAdbTvWQ

 

佐賀北は左サイドの馬場から右本格派のエース久保への継投リレーが確立。徹底した走り込みで鍛えた守備でディフェンス力は高い。副島、市丸、大串の勝負強い中軸の活躍で得点を挙げ、甲子園初勝利を目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=c2ERI1GtJ2Y

 

八代東は34年ぶり3度目の甲子園出場。野田、宮田、猪股、白石の4人の投手の継投策と打線の爆発で幾度も逆転劇を呼び込んだ。ショートと投手を兼任する3番白石、不動の4番友田を軸に甲子園でも快進撃を見せたい。

境は9年ぶりの夏の甲子園。浜主将のもとで自由奔放な雰囲気で実力を伸ばしてきた。4試合で4失点のエース山本を軸に守りの野球で1勝を目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=PEOeCRBR5uo

 

は9年ぶりの甲子園出場。打率3割を超す主将・浜と長打力もある2番福羅を中心にかき回す攻撃が持ち味。エースの山本は4試合で4失点に抑え、制球力がある。堅い守備と確実性のある打線で1990年以来の甲子園勝利を目指す。

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