各大会振り返り 選抜高等学校野球大会

【振り返り編】2001年春の選抜高校野球

更新日:

大会全体

21世紀最初の甲子園を制したのは茨城・常総学院だった。今大会3校が出場した茨城勢の1番手として見事に初優勝を飾った。1987年夏、1994年春と近畿の強豪を前に敗れたが、3度目の正直で木内監督としては取手二校時代以来となる甲子園優勝を手にした。

 

地域ごとで見ると各地域満遍なく勝ち上がった印象だったが、その中で元気だったのは関東勢。茨城の3校をはじめ、7校中桜美林以外の6校はすべて初戦を突破した。また四国勢も3校とも初戦突破し、野球王国の意地を見せた。対照的に近畿勢は7校中大阪勢の2校以外はすべて初戦敗退と苦戦を強いられた。また、東海地区も3校とも初戦敗退。強力打線と評判の3チーム(岐阜第一、四日市工、東邦)だったが、火を噴くことなく終わった。

 

関西創価や宜野座をはじめとして初出場校も元気で常連校と互角に渡り合った。さらに好投手が数多く登場し、それを打ち崩そうとする打線との勝負も見ごたえがあった。

優勝校振り返り

優勝した常総学院は関東の覇者として甲子園に乗り込んだ。攻撃力には自信を持っていたが、前年秋は球威が今一つ足りない投手陣が神宮大会準決勝で東福岡打線に滅多打ちにあい、コールド負けを食らっていた。

そんな中、大会を通じて右の村上がエースに成長。大会前は不安定な投球で初戦の先発を回避。しかし、先発左腕の村田が南部打線に打ち込まれて0-7とまさかの大量ビハインドに。この危機を見事に乗り越えたのは打線の奮起と村上の好投だった。右打者のアウトコースに流れるスライダーは切れ味抜群。バットがくるくると回った。2回戦の金沢戦でも11奪三振で1失点完投し、エースの仕事を見事に果たした。

一方、自慢の打線は初戦から猛威を振るい、稲石・出頭・三浦・大崎ら小技の効く走れる面々がかき回し、小林上田横川(楽天―巨人)らの長打で返した。初戦は7点のビハインドを序盤であっという間に逆転。木内監督の采配もさえ、金沢戦では注目左腕・中林(阪神)をプッシュバントで足元から崩して一挙4点を挙げた。

そして、準々決勝では秋に大敗を喫した東福岡と再戦。初回好投手下野の立ち上がりを急襲して3得点。下野の3試合連続弾などで1点差に迫られ、村上が打球を足に受けて降板するなど苦戦を強いられたが、リリーフした平沢が好投。中盤2度の満塁機をアウトコースのボール球を振らせてしのぐと、結局11安打を浴びながら2点に抑え込んだ。準決勝では大会No.1と言われた関西創価・野間口(巨人)に苦戦するも、終盤8回に追いつくと、最後は延長10回ランナー1塁でバントと見せかけてまさかの強攻。横川のサヨナラタイムリーで激戦を制した。

過去2度敗れた決勝の舞台では疲れの見える仙台育英の好左腕・芳賀を大技小技で攻略。長打で得点を重ねる剛の仙台育英に対して、柔の常総学院がスクイズやプッシュバントなどを絡めて常に先手を取って逃げ切った。目立たないが、4失策の仙台育英に対して1失策のみで守り切った守備も光った。投打とも圧倒的な選手はいないが、各自が状況判断に優れ、野球に対する造詣の深いチームで、選抜王者にふさわしい野球で悲願の頂点に輝いた。

準優勝校振り返り

東北大会準優勝ながら優勝候補の一角に挙げられていた仙台育英は初戦のサヨナラ勝利で乗った。

大会屈指の左腕・松永(西武)を擁する長崎・海星の前に常に先手を取られ劣勢を強いられていた。ボール半個分の出し入れの出来る松永の制球力の前に自慢の強力打線がなかなか火を噴かなかったが、そんな中でも3番佐藤琢磨だけは別格。彼だけは松永にタイミングがあっており、3安打を記録。試合中ベンチ内で「とにかくタクマに回せ」の声が上がる中、8回裏に同点のタイムリーを放ち、延長戦へ。そして、延長10回再び、チャンスで佐藤に打席が回り、ライトへサヨナラタイムリーを放った。選抜では9年ぶりとなる勝利だった。

劇的勝利で波に乗ったのは、エース左腕の芳賀。当時珍しかったパームボールで三振を量産。手元で落ちる切れのあるボールに打者のバットは次々空を切り、3回戦以降の3試合で33奪三振を記録した。エースの好投に呼応するように打線も徐々に復調。なかでも2年生3人の活躍が大きかった。2番を打つ中谷は昨秋のチーム打点王。打っても送っても貢献できる、攻撃の潤滑油的存在だった。4番の菊池、6番のはそれぞれ右左の打席から長打を連発。特に4番菊池は3回戦、決勝と2本のホームランを放ち、「剛」の仙台育英の象徴的存在だった。

準々決勝では市川・笠井、準決勝では宜野座・比嘉裕と好投手を攻略して臨んだ決勝だったが、常総学院のうまい攻めの前に苦戦。エース芳賀は疲れから制球がままならず、守備でもミスが多くなった。しかし、中盤ベンチ前で佐々木監督が「こんな試合をしに来たんじゃない」と締めなおすと徐々に反撃。最後は9回1点差まで詰め寄る粘りを見せて常総学院を慌てさせた。1989年夏に続く準優勝には終わったが、東北勢の強さを見せつける進撃。夏に期待を持たせるチームだった。

 

ベスト4振り返り

近畿から初出場ながらベスト4入りを果たした関西創価。大会屈指の右腕・野間口(巨人)を擁して臨んだが、初戦の相手は同じく大会屈指の2年生左腕・高井(ヤクルト)を擁する東北だった。序盤関西創価が1点先取するも、中盤東北が1アウト満塁のビッグチャンス。しかし、ここで野間口は3番高井、4番山崎の左打者を渾身のインコース真っすぐで連続三振に。今思えば野間口が大会の主役に名乗りを挙げた存在だった。打線は大物うちこそいないが、1番南山・4番金田秀ら勝負強い打者が並んでいた。終盤、高井の乱れに乗じて暴投などで一挙5得点。8-1と大差で1回戦屈指の好カードを制した。

3回戦では中盤水戸商業の左腕・田中を攻略すると、準々決勝は尽誠学園と大会屈指の好ゲームを演出。関西創価が曽田大西のタイムリーで常に先手を取るも、尽誠が強力打線で執拗に野間口を攻めたてて追いつき延長戦に。しかし、野間口が無四球で完投したのに対して、尽誠学園投手陣は12四死球。ヒット数は互角ながら、出したランナーは創価が倍以上とこの差がボディーブローのように効いてきた。結局延長10回裏に金田秀の3塁打から近藤がサヨナラ犠飛を放って、強敵を退けた。

だが、この準々決勝で4番金田が骨折。決して層の厚くない関西創価打線としては痛い離脱となり、そのまま関東王者・常総と相対することとなった。しかし、序盤下位打線から連打が出て蔵ノ前の先制タイムリーで幸先よく先制。野間口もコーナーいっぱいを突く投球で常総打線に手を出させない。

だが、創価打線はその後常総のエース村上の前に苦戦。6番から4番にあがった曽田もノーヒットに抑え込まれ、3番大西の強烈な投手ライナーもキャッチされてしまう。何より、常総のエース村上が今大会一ともいえる投球。前日投手ライナーを足に受けた影響を微塵も感じさせず、外角にキレるスライダーに創価打線は手も足も出なかった。

そして、終盤8回ついに常総の強力打線が野間口を攻略。野間口の懸命なスクイズ阻止やセンター南山の2度にわたる好返球でしのいでいたが、ついに同点に追いつかれた。そして、延長10回その時はやってきた。曲者・出頭の意表を突くセーフティーバントでランナーが出ると横川(楽天―巨人)に対してバントと思い、甘くなった投球をとらえられ打球は右中間を深々と破るサヨナラタイムリー。大阪代表として実力は存分に出し切ったが、最後は常総の老獪さに敗れてしまった。それでも初出場で強豪3校を撃破してのベスト4入りは素晴らしいの一言だった。

https://www.youtube.com/watch?v=IW5T7-fHGqs

 

 

 

今大会最大のサプライズと言えば、21世紀枠・宜野座の4強入りだった。とはいっても昨秋の沖縄大会で優勝しており、前年秋の九州大会でも鳥栖相手に10安打を放ちながらの完封負け。実力は十分という評価だった。初戦は東海王者の岐阜第一戦。強力打線と評判の相手だったが、エース比嘉裕の投球が圧巻。これが全国初お目見えとなった宜野座カーブの前に打者は全くタイミングが合わない。親指で切って円盤投げのように投げるボールは独特の軌道を描いた。打線は持ち味の犠打で確実に送り、嘉陽山城の3・4番が返す攻撃。リズミカルな攻めで圧倒して7-2と思わぬ大勝を収めた。

3回戦は大会屈指のスラッガー石井を擁する桐光学園と対戦。関東8強ながら優勝候補の一角にあがる強豪を相手にしても宜野座ナインはのびのびプレー。犠打・犠飛を絡めた攻撃で桐光学園・猪原から着実に得点。石井をはじめとした桐光学園各打者の強烈な打球にも比嘉裕はひるむことなく向かっていった。主将・安富を中心に明るさを失わず、終盤の桐光学園の猛攻をしのぎ切ってベスト8入り。創設したばかりの21世紀枠校がいきなり上位へ顔を出す結果となった。

準々決勝では大阪・浪速と延長の死闘。取ってはすぐ追いつかれ、相手も地元校で初のアウェーともいえる舞台だったが、きびきびとした攻守で比嘉裕を盛り立てた。すると最後は延長11回に攻守の中心・山城が勝ち越しの2点タイムリー3塁打。ついに浪速のエース岸本をとらえた。準決勝では仙台育英の強打の前に力尽きたが、沖縄球児らしい明るい空気を持ったチームが見せたはつらつとしたプレーは今でも語り草となっており、歴史に名を刻むこととなった。

https://www.youtube.com/watch?v=JiR6z_QEbNw

 

ベスト8振り返り

準々決勝で散った4校も上記4校に劣らぬ強豪揃いだった。

神宮大会優勝で優勝候補大本命の東福岡は初戦の初回からエンジン全開。長打に2ランスクイズと大技小技であっという間に5点先取。4回には9番下野のホームランが飛び出すなど、圧倒的な攻撃力で8点を奪った。下野は力のある真っすぐを武器に好投。中盤昨選抜の経験者の広陵・末木に一発を食らうなど反撃を許したが、結局序盤のリードがものを言って8-4と快勝した。

3回戦は日大三との強打対決。序盤相手3番内田のタイムリーで先手を許し、センター前タイムリーと思われた当たりもセンター内田の好返球に刺されるなど序盤は日大三ペース。しかし、3回に鶴浜の長打で追いつくと、5回に下野が2試合連発となるホームランで勝ち越し。さらに、相手の内野の乱れに乗じてこの回一挙5点を挙げて日大三を突き放した。日大三も再三にわたって強烈な打球を放ったが、東福岡の巧みなポジショニングもあって反撃の目を摘み取られた。

そして、準々決勝は常総学院との再戦。神宮ではコールドで下した相手だったが、初回下野が立ち上がりボールが浮くところをとらえられて3失点。打線は下野の3試合連続となるホームランなどで1点差に迫り、注目の2年生4番吉村(横浜―ソフトバンク)も3安打を放つなどヒットを量産。しかし、リリーフした平澤のボール球に手を出してしまいあと一本が出ない。9回には2点差でランナー2塁から3番福原がヒットを放つも上坂が本塁憤死してしまった。相手を上回る11安打を放ちながら、得点は2点のみ。優勝した常総学院を最も恐れさせたチームは惜しまれながら準々決勝で大会を去った。

https://www.youtube.com/watch?v=3RO1az6RhWw

 

神宮準Vの尽誠学園も初戦から打線が爆発。鳥栖のエース宮崎に対して、甘く入ったボールを確実にたたいて2回から6回まで毎回得点。1番坂口、3番坂田、4番をはじめとして青木田中ら下位まで好打者が並ぶ打線は穴がなく、確実に得点を稼いだ。エース右腕・和田と左腕・中村も合わせて15奪三振の好投。初戦を終わった段階で優勝候補の有力候補に名乗りを挙げた。

3回戦は関西の2年生の好左腕・宮本(日本ハム)に対して、初回坂口坂田がアベックホームラン。若きエースの立ち上がりの失投を見逃さず、スタンドまで運んだ。エース和田はアウトコースに決まるスライダーを武器に1失点完投。したたかさの見せつけてベスト8進出を決めた。

準々決勝では大会屈指の右腕・野間口と対戦。リードされながらも上位から下位まで切れ目のない打線が野間口に襲い掛かったが、この日は投手陣が誤算。失点こそ多くなかったが、四死球が12個を数え、リズムが悪くなってしまった。最後は延長10回サヨナラ負け。こちらも東福岡同様力がありながら、無念の結果に。神宮ファイナリストがベスト8で姿を消した。

 

平成3年の選抜で「ミラクル市川」の異名をとった山梨・市川は手堅い野球でベスト8に進出。出場5回で4度目のベスト8入りと甲子園で抜群の安定感を誇っている。大会前目立つ存在ではなかったが、前年秋の関東大会で常総学院と延長までせめぎあった実力は高く評価されていた。初戦は2年生エース坂口(オリックスーヤクルト)を擁する初出場の神戸国際大付属と対戦。3回に盗塁を絡めたうまい攻めで2点先取されるも終盤に坂口を攻略。石原依田と中軸がタイムリーを放って2年生エースをマウンドから引きずり下ろした。勝負所を逃さない攻めに甲子園経験の差を感じさせた。

3回戦は同じく好投手福山を擁する高知と対戦。140キロ台の速球が魅力の本格派右腕だったが、試合前から市川ベンチは徹底的に福山を研究。同じ球種が3球続かないことを見抜いて、狙い球を絞り、2回に一挙8得点。最後は4番依田の3ランが飛び出して序盤で試合を決めてしまった。笠井も2試合連続の粘投。ランナーを出しても要所を締める投球で完投勝利をマークした。

準々決勝は仙台育英・芳賀とまた好投手対決。しかし、疲れの見える笠井の高めのスライダーに狙いを絞られて失点。7回ついに決壊を敗れて5点を奪われて勝負あった。打線もこの日は絶好調の芳賀の前に沈黙。ヒットは出るものの、決め球パームを攻略するには至らず、10三振を喫して敗れた。しかし、公立校ながらもはや強豪の風格あふれる戦いぶりは素晴らしく、渡辺監督の指導力の高さがうかがわれた。

 

 

大阪から2校目のベスト8入りした浪速高校。浪速っ子らしい粘り強い戦いぶりで大会2勝をマークした。初戦は伝統校・福井商業と対戦。1回戦から登場で初戦11得点を挙げている強力打線が看板のチーム。その強打にさらされていきなり3失点を喫するもすぐに反撃。2回から5回まで4イニング連続得点。特に2年生ショートの大引(オリックスー日本ハムーヤクルト)は攻守にわたって貢献。ショートの守備では3塁後ろの打球をカバーしてアウトにするなど、センスあふれるプレーを見せた。バッテリーも前の打席ホームランの相手4番南部を強気のインサイド攻めで抑えるなど見事な配球を見せた。

3回戦は小松島と投手戦に。小松島のアンダーハンド堀渕の前に5安打無四球と苦しんだが、数少ないチャンス2つを確実に活かして2得点。終盤の相手の攻めをスクイズ失敗などでしのいだ。特にスクイズの場面では転がったボールを取りに行きたくなる場面で冷静に見送るなどしたたかさが光った。

準々決勝では宜野座と延長戦のすえ最後は競り負けたが、2度にわたって同点に追いつくなど粘りを発揮した。打線は大物うちこそいないが、大引・井上・阪田らチャンスに強い打者が並び、投手陣もエース岸本が強気のピッチングを見せた。大阪のチームらしい負けにくい野球で見事ベスト8にコマを進めた春だった。

 

3回戦振り返り

ベスト8を前に敗れたチームでも強さを見せたチームはあった。

 

中でも日大三の打線の破壊力は抜群。内田(ヤクルト)・原島斎藤の中軸は3人とも1発を放った。初戦は大会屈指の本格派・真田(巨人―横浜)を擁する姫路工と対戦。140キロ台の速球と切れのある変化球が武器の好投手だったが、4番原島は左打席からレフトスタンドへ放り込むホームラン。終盤逆転された直後には3番内田がスライダーを読み切ってバックスクリーンへ一発。真田のボールを見ているとたいていの打線なら抑えてしまいそうだったが、その右腕から13安打8得点。1回から8回まで休ませることなく攻め続けた破壊力はすさまじかった。

3回戦で守備の乱れから東福岡に敗れたが、強力打線と近藤(オリックス―ヤクルト)、千葉(横浜)の好投手2人を擁する総合力は上位校に匹敵するものがあった。

 

打力が高かったチームとしては神奈川から初出場の桐光学園もあがる。初戦は大会屈指の右腕・(横浜)擁する智辯学園と対戦。強気にインコース攻めを見せる秦に対して、桐光学園は石井の左中間への強烈な2塁打などでじわりと圧力をかけ続けた。0-0のまま試合は進んでいたが、7回ついにを攻略。満塁から2者連続の押し出しデッドボールなどで一挙5得点。結局得点が入ったのはこの回だけだったが、試合を通じて桐光学園の破壊力が好投手を飲み込んだ印象だった。3回戦で宜野座にペースを握られて敗れてしまったが、神奈川からまた楽しみな強豪校が現れた。

https://www.youtube.com/watch?v=pNrZqx-9j6I

 

投手力が際立ったのが北陸王者・金沢。中林(阪神)・坂井と140キロ台を記録する左右の2投手がおり、投手力は大会でも出色の存在だった。初戦は21世紀枠の安積が相手。プレッシャーもかかる試合だったが、坂井が13奪三振で相手を寄せ付けず好投。打線も期待の長距離砲・池田に一発が飛び出すなど会心の内容で5-1と勝利を収めた。

3回戦は優勝候補の常総学院にエース左腕中林が好投。中盤のバント攻めに屈したとはいえ、そこまでは常総の小技を球威で封じ込めるなど一歩も引かない内容だった。打線が常総・村上のスライダーを捕まえきれなかったが、力は十分に見せた選抜。打力次第で夏は優勝争いに名乗りを挙げられる力を持っている。

 

関西は中国大会準優勝ながら、投打の実力は大会前から高かった。初戦は近畿王者・鳥羽と対戦。相手優位の前評判だったが、河本宮本の中軸が技巧派左腕・古田を攻略。2年生左腕・宮本(日本ハム)はインサイドを巧みに突く投球で里井国本ら強打者を擁する鳥羽打線を2点に封じ込めた。3回戦は尽誠学園を前に初回の2ホームランで敗れたが、宮本が立ち上がりの重要性を学んだ意味でも意義ある大会となった。

 

藤代は好調茨城勢の中で唯一の初出場校。2年生右腕井坂(楽天)が好投し、梅山ら好打者を擁する四日市工打線をわずか3安打でシャットアウト。打線は相手のエース安田の前に1点に終わったが、その虎の子の1点を井坂の長身からの角度のあるピッチングで守り切った。3回戦でも仙台育英に敗れはしたが、善戦。守りの野球が光った。

 

高知高校はエース福山、2番手甲藤(ソフトバンク)の強力2枚看板を擁する投手力が自慢。初戦はエース福山が岡山学芸館打線を相手に10三振を奪って1点に封じ込め、実に15年ぶりの選抜勝利を刻んだ。しかし、3回戦は市川を相手に癖を見破られて2回一挙8失点。2番手甲藤が好投しただけに悔やまれる展開となった。

 

水戸商業は茨城から3校目の出場。粘りが持ち味のチームは開幕戦勝利の東海大四を相手に序盤リードを許すも、中盤に相手エース奈良の乱れを逃さず一挙に逆転。エース左腕田中も四死球は多かったが粘り強く投げぬいた。3回戦で野間口の前に敗れはしたが、2年前の選抜準優勝校がらしい戦いぶりで1勝を挙げた。

 

小松島はエース堀渕が右アンダーハンドからの持ち味を活かして好投。相手のベルトより高めにはボールを投げないという制球の良さを見せ、序盤得点されるも中盤以降は自分のペースに引き込んだ。打線も神崎の好左腕・黒田を攻略。初出場で見事1勝を挙げた。

2回戦まで

福井商業は初戦・桜美林を相手に1番杉田・3番天谷(広島)が1イニングにアベックホームラン。昨夏の経験者が仕事を果たした。中盤にひっくり返されるも9回に大逆転をおさめて炎のチームの底力を見せた。2年生エース中谷と3年生村岡の投手陣次第では夏上位へ勝ち進めそうだ。

 

東海大四はエース奈良、4番野呂と投打の太い柱を軸にして出場した。開幕戦で相手先発の2年生長峰を序盤に打線が攻略。奈良はダイナミックなフォームから繰り出すストレートで相手を押し切り、9安打を浴びながら2点に封じた。2回戦の水戸商業戦も序盤リードするなど、戦力的には劣っていなかったが、中盤奈良の制球の乱れに付け込んだ相手のうまさにしてやられた。

 

初戦で敗れたとはいえ海星・松永(西武)の好投は光った。仙台育英の強力打線を相手に持ち味を発揮。コントロールよく、優勝候補と互角に渡り合った投球は素晴らしかった。

 

智辯学園の(横浜)も持ち味を発揮。インサイドを強気に攻める投球で豪打の桐光学園に果敢に立ち向かった。しかし、打線の援護なく終盤にが攻略。4番岡崎(阪神)のバックスクリーン弾などで反撃も2点どまりで5-2と敗れた。奈良県の対神奈川の連敗を止めるには至らず。前年夏甲子園を震撼させた智辯レッドはこの選抜では火を噴くことはなかった。

 

海生の松永を昨秋九州大会で打ち込んだ佐賀・神崎は初戦小松島と初出場対決。核弾頭・野中(日本ハム―横浜―オリックス)を筆頭に攻撃陣は序盤3点を挙げて攻め込んだが、エース黒田が攻略されて逆転負け。秋に寺原(ソフトバンク)擁する日南学園を破った技巧派左腕・納富は登板することなく終わってしまった。

 

東北・高井(ヤクルト)、鳥栖・宮崎などは力を出し切れずに敗れてしまった。高井は夏、準優勝の仙台育英と同じ地区を勝ち抜かなくてはならない。

 

四日市工・鳥羽は昨年に続いての出場。ともに打者に経験者を擁して打力に定評のあるチームだったが、打線が沈黙した。やはり春先に好投手を攻略するのは難しいと感じさせられた。

 

岐阜第一・東邦も打力は高かったが、相手に先手を取られ、うまく攻撃がかみ合わなかった。

 

神戸国際大付・姫路工の兵庫勢はともに関東勢に逆転負け。坂口(オリックスーヤクルト)、真田(巨人―横浜)と好投手を擁したが、終盤相手打線に攻略された。しかし、真田の投球はのちに日大三・小倉監督が「甲子園で対戦した中では一番」というほどのもので、公立校ながら兵庫の高校野球のレベルの高さを物語っていた。

 

広陵は優勝候補・東福岡をまえに技巧派エース金子が攻略されて苦しい展開に。しかし、中盤以降末木の2ランなどで反撃を見せた。黒田ら2年生にも好打者が控え、来年以降も「サクラの広陵」は楽しみな存在だ。

 

桜美林は福井商業と互角の打ち合いを展開。相手上位打線にアベックホームランを喫するなど心が折れてもおかしくない展開の中で中盤負けずに打ち返した打力は見事だった。最後はリリーフした小林が持ちこたえられなかったが、甲子園優勝経験校の意地を見せた。

 

南部は常総学院を相手に3回で7-0と思わぬ大量リード。しかしながら、前年秋から制球が課題だったエース富田が乱れ、2イニングでリードを吐き出してしまった。惜しまれる敗戦となったが、夏に智辯和歌山ら強豪ひしめく和歌山大会を勝ち抜く糧にしたい。

 

岡山学芸館は初出場。1番若竹のホームランで先行したが、高知・福山を攻めきれなかった。しかし、学校史上初の甲子園得点を刻み付けた。

 

21世紀枠・安積はエース松山が粘投。打線も金沢の好投手・坂井から1点を挙げ、記念すべき甲子園初得点を刻んだ。

-各大会振り返り, 選抜高等学校野球大会

Copyright© 世界一の甲子園 , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.