1試合毎振り返り 2018年 全国高等学校野球選手権大会

【振り返り編】2018年夏の甲子園 大阪桐蔭vs金足農(16日目第1試合)

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決勝 大会16日目第1試合

金足農

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 1 0 0 2
3 0 0 3 6 0 1 0 × 13

大阪桐蔭

 

金足農   吉田→打川

大阪桐蔭  柿木

最強世代と謳われた面々がついに春夏連覇を成し遂げた。金足農の剛腕・吉田を相手に5回までに12得点の猛攻。投げてはエース柿木が金足農を2失点で完投し、投打に圧倒して史上初となる2度目の春夏連覇を成し遂げた。

試合

記念すべき決勝戦の先発は大阪桐蔭が柿木、金足農が吉田とともに今大会全5試合に登板している背番号1がマウンドに上がった。しかし、その疲労度の差は大会を見てきたものにとっては明らか。柿木は2試合に完投しているとはいえ、根尾・横川という力のある投手とイニングを分け合っていたのに対して、吉田はここまですべての試合を一人で投げぬいてきた。しかも、対戦相手はいずれも甲子園決勝を戦ったことのある強豪校。心身ともに疲弊していたのはやむを得ないところだろう。

大阪桐蔭の柿木が初回を難なく3者凡退で退けたのに対して、大阪桐蔭は1回裏に先頭の宮崎が四球で歩くと、続く2番青地には西谷監督得意のエンドラン。これに青地が応えて1,2塁間を破ると宮崎は一気に3塁を陥れる。ここを勝負どころと見たか、吉田は140キロ台中盤のストレートで続く3番中川、4番藤原を三振に取るも、初回からの全力投球は苦しいところ。5番根尾に四球を与えると、続く6番石川への初球が暴投となって大阪桐蔭が労せず1点を先制する。

さらに畳みかけたい大阪桐蔭。6番石川は準決勝の勝ち越し打で目が覚めたか、フルカウントからアウトコースの147キロの真っすぐを完璧にとらえて右中間を深々と破るタイムリー3塁打を放ち、3点を先制する。金足農がリードして吉田が投げ切り勝ちというシナリオを阻止したい大阪桐蔭としては実に大きな先制攻撃であった。

反撃したい金足農は直後の2回表、4番打川・6番高橋柿木のボールに力負けせずに打ち返し、1アウト1,3塁のチャンスを迎えるも、続く7番菊地彪の打席で3塁ランナーが飛び出し、タッチアウト。サインの見落としか、攻撃の軸である犠打を決められずに金足農は惜しいチャンスを逃す。

それでも、3回表に金足農は9番斎藤の四球を足掛かりに1アウト3塁のチャンスを作ると、2番佐々木がライトへきっちりと打ち上げて1点を返すことに成功。その裏には中川・根尾に長短打を許すも、後続の根尾・石川を渾身の投球で封じて無失点。3回を終わった段階では両投手の圧倒的なコンディションの差を感じながらも、何とか試合は形となって進んでいた。

しかし、初回からの全力投球がいつまでも続くことはなく、中盤に入ってついに大阪桐蔭打線が吉田をとらえ始める。4回裏、先頭の7番山田のセカンドゴロを菅原が悪送球して出塁を許すと、8番小泉は四球で1,2塁。2アウト後に1番宮崎がインサイドのストレートを完璧にとらえてレフトスタンドへ叩き込む3ランホームランとなり、点差は一気に5点に広がる。選抜以降、怪我の藤原に代わって1番を務め続けてきた男が決勝の大舞台で大車輪の活躍を見せた。

ここまで数々の逆転劇を演じてきた金足農だったが、さすがにこの1発は許容範囲を超えたものとなった。とうとう疲労が限界に達した吉田は、続く5回裏には5番根尾にバックスクリーンへの特大2ランを叩き込まれる。根尾自身今大会3本目となるホームランで両者の間の明暗をくっきりと分かつものであった。結局、この回打者11人7安打の猛攻で6得点。難攻不落と思われた右腕がついにマウンドを後にした。

大量リードをもらったエース柿木は中盤以降、余裕を持った投球を展開。これまで根尾の前に重要な試合の先発を取られてきた右腕が、最後の舞台で持ち味の重い速球とスライダーを軸に力投し、金足農打線を沈黙させた。一方、金足農は2番手で登板した主砲の打川が予想以上のピッチングを披露。長身からの角度ある速球を武器に、大量点差のついた試合を再び締めなおした。

そした、両投手の力投で進んだ試合はついに100回大会のクライマックスへ。柿木は5番大友を投手ゴロ、6番高橋を三振に打ち取ると、最後は7番菊地彪にも球威で投げ勝ってライトフライに打ち取り試合終了。この一年常に全国の強豪にマークされ続けた大阪桐蔭が、その重圧に押しつぶされることなく戦い抜き、大阪桐蔭に春夏通じて8回目となる優勝をもたらしたのだった。

まとめ

大阪桐蔭は投打に盤石の内容で2度目の春夏Vを達成。選手個々の能力の高さはもちろんのこと、控え選手のデータ取りや全力疾走を怠らない姿勢など、本当に付け込むすきの見当たらない戦いぶりであった。これだけのチームができたのもやはり西谷監督の決め細かい指導があってこそ。永年PL学園の前に行く手を阻まれてきた悔しさをばねに、捕手出身らしく一つ一つの敗戦のriskに向き合ってそれを排除していくしたたかな戦いぶりは、現在の高校野球では向かうところ敵なしといった状態だろう。円熟期を迎えた指揮官の元、史上最高のチームが見事に快挙を成し遂げた。

一方、金足農は決勝でこそ大差で敗れたとはいえ、こちらも見事な準優勝であった。好投手をバックが好守で盛り立て、送りバントを主体とした攻めで援護。さらに1回戦から決勝までスタメン9人で戦うという、ひと昔前の高校野球のチームが現世によみがえったような印象のチームであった。エース吉田は疲労の色が濃く打ち込まれたが、準決勝までは持ち前の回転数の多い真っすぐを武器に強豪校を圧倒。優勝した大阪桐蔭以上のインパクトを残したと言っても過言ではないだろう。またしても、東北勢初優勝はならなかったが、記念の第100回において紛れもなく主役を張ったチームであった。

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