1試合毎振り返り 2018年 全国高等学校野球選手権大会

【振り返り編】2018年夏の甲子園 金足農vs鹿児島実(4日目第2試合)

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1回戦 大会4日目第2試合

鹿児島実

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
0 0 3 0 0 0 0 2 × 5

金足農

 

鹿児島実   吉村→立木→吉村

金足農    吉田

大会No.1右腕と噂された金足農・吉田が圧巻の投球。14三振を奪う力投で鹿児島実打線を寄せ付けず、23年ぶりの甲子園1勝をつかんだ。

試合

立ち上がりから金足農の吉田のストレートはうなりを上げる。球速は140キロ前後なのだが、打者が降り遅れたりボールの下を振る場面が目立つ。特にスコアリングポジションにランナーを背負ってからのボールには力があり、初回には4番の西を相手に140キロ台後半まで球速がアップ。低めに落ちるスライダーやチェンジアップの精度も高く、巧者ぞろいの鹿児島実打線だが、ランナーを出してもなかなか点の入る雰囲気にならなかった。

2回表には鹿児島実が先頭をヒットで出すも、続く打者がバントを打ち上げてフライに終わって併殺。続く打者にもヒットを許すものの、ランナーを出してからのギアチェンジの前に鹿児島実打線は対応できない。

一方、鹿児島実の先発・吉村はスライダーを武器に打たせて取るタイプ。ストライクゾーンの横幅を広く使った投球で巧みなピッチングを見せる。2回裏には5番大友に3塁打を浴びるものの、続く6番高橋のスクイズをバッテリーがうまく外して3塁ランナーを封殺。ここまではうまくしのいでいた。

しかし、3回裏に金足農打線に吉村がつかまる。先頭の8番菊地亮がヒットで出塁すると、送って1アウト2塁から1番菅原が真ん中に入ったスライダーをとらえて右中間へのタイムリー3塁打。試合の均衡を破ると、2番主将の佐々木はスクイズを決めて2点目。早速伝家の宝刀を抜いて見せる。さらにこの回、3番吉田・4番打川にもヒットが出てもう1点を追加。この回、吉村の中に入るボールを逃さずとらえてタイムリーにした。

この3点が余裕をもたらし、吉田は4回以降もヒットを打たれながらも要所を締める投球ですいすい投げる。鹿児島実も決して攻撃力が低いわけではないのだが、吉田は嫌な言い方をすれば完全に見下ろして投げている状態で、勝負所にならないと本気のボールが来ない。これではなかなか打ち崩すのは難しい印象だった。

一方、これ以上の失点は厳しい鹿児島実も吉村立木吉村とつないで必死に失点を食い止める。3回に甘いボールをとらえられたこともあり、より細心の注意を払ってのピッチングだった。また、6回裏には金足農得意のバントを併殺に切って取るなど、守りでも伝統校らしく鍛えられた面を見せる。

すると、8回表に鹿児島実にようやく得点が入る。三振の多いピッチングスタイルゆえに球数もかさんだなか、吉田の外のチェンジアップに4番西がなんとか食らいついて出塁。注目の4番にようやく一本が出ると、送って1アウト2塁から6番原口が真ん中のストレートをきれいにセンターにはじき返して1点を返す。6回、7回と2人のランナーを出しながら返せないもどかしい展開だったが、やっと得点の門をこじ開けた。

しかし、後続を抑えられるとその裏に踏ん張っていた吉村が崩れた。先頭の6番高橋に2塁打を許すと、8番菊地亮には真ん中寄りに入ったストレートをライトにはじき返されて1.3塁。ここで9番斎藤が倒れこみながらスクイズを決めて4点目を獲得。さらに1番菅原が外寄りの真っすぐをうまく流し打って5点目を挙げて勝負ありとなった。

吉田は9回表にもヒットを許したものの、三振2個を奪う力投。結局14三振を奪って余力十分で投げ切り2回戦へとコマを進めた。

まとめ

金足農・田は今年の県予選開幕まではそれほど注目されていたわけではなかったが、この1戦で全国でも屈指の実力を有していることを証明。鹿児島実の強力打線を相手に1試合トータルを見越して、力を自在に使い分けるピッチングを展開。鹿児島実としても攻め込みながらもあまり点の取れる雰囲気がしなかったのではないだろうか。打線も犠打で送ってタイムリーが出る理想的な展開。竹バットで鍛えたミート力で甘く入るボールはことごとくヒットにし、攻撃力も決して低くないことを証明した。手ごたえ十分の初戦突破で幸先のよいスタートを切った。

一方、鹿児島実も決して悪い内容の試合ではなく投打に粘りを見せたのだが、相手が悪かったという印象だった。強豪校の意地で吉田に食らいついていった攻撃は評価されるべきであり、14三振を奪われながらも球数は150球以上を投げさせたのは低めの変化球を見極めて簡単に凡退しなかった証である。エース吉村もスライダーを武器に失点したイニングは2つにとどめた。初戦敗退に終わったとはいえ、胸を張って帰れる内容の試合だった。

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