1試合毎振り返り 2019年 選抜高等学校野球大会

【振り返り編】2019年春選抜  広陵vs八戸学院光星(4日目第2試合)

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1回戦 大会4日目第2試合

八戸学院光星

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 2 0 0 0 × 2

広陵

 

八戸学院光星  後藤

広陵      河野

近年の甲子園の戦いをリードしてきた強豪同士の一戦は、広陵・河野、八戸学院光星・後藤の両投手による屈指の投手戦となった。中盤のワンチャンスを活かして広陵が2回戦進出を決めた。

試合

ともに昨夏を経験した選手が複数残るチーム同士の対戦。両チームとも落ち着いた入りを見せた。

広陵の先発は右腕・河野。身長174センチとうわずえはないが、初回にいきなりストレートが最速150キロをマークするなど力強い投球で八戸学院光星の強力打線を寄せ付けない。両コーナーへの制球力も抜群であり、初回を見ただけでそうそう点は取れないと思わせる投球であった。

対する八戸学院光星のエース後藤は決め球のスライダーを武器に初回は落ち着いた立ち上がりを見せる。アウトコース主体ながら丁寧な投球は光り、レフト大江の好プレーもあって無失点に抑える。

先に主導権を握るのはどちらになるか注目された中で、2回裏に広陵がチャンスをつかむ。後藤の決め球のスライダーを狙い打って4番中村、5番宗山が連打。エンドラン成功で無死1,3塁と絶好のチャンスを迎える。6番鉤流の四球で満塁となり、光星にとっては先取点やむなしの場面を迎えた。しかし、ここで後藤が見事な踏ん張りを見せる。選手宣誓を行った7番秋山をスライダーで空振り三振に取ると、8番河野・9番藤井もスライダー主体の攻めで打ち取り、絶体絶命のピンチを脱する。自分にはこのボールしかないんだというスライダーへの信頼が垣間見えた。

先取点を逃した広陵だが、エース河野は3回以降も完璧なピッチングを見せる。ストレートにスライダー、チェンジアップを織り交ぜて決して力だけでない投球で光星の強打者を牛耳った。初回の150キロのインパクトを利用するかのような老獪な投球であった。3回にはセンター藤井がスライディングキャッチから飛び出したセカンドランナーを刺すなど、こちらも堅い守備でエースを盛り立てる。

先制点の比重が増してくる展開の中、5回裏に広陵が先手を取る。3回、4回と併殺でチャンスを失っていたが、この回は先頭の7番秋山がアウトコースのストレートを引っ張ってレフト線を破る2塁打で出塁を果たす。8番河野がきっちり送って1アウト3塁とすると、9番藤井はスライダーをうまく拾ってレフト前に落とし、貴重な先制点をもたらす。決め球がわずかに高く入ったところを逃さなかった。さらにこの回、巧打の2番中富にもタイムリー内野安打が飛び出して2点目を挙げ、相手投手の乱れたところを逃さない集中力が光った。

先制点を奪われた光星は河野の球威のある速球とコーナーに決まる変化球の前に6回まで攻略の糸口がつかめない。6回表には1番伊藤が粘って四球をもぎ取るも、2番島袋のとらえた打球はセカンドの正面を突いて併殺になる。中盤以降、とらえた打球は出てくるも、投球がコーナーに決まっているためいい当たりが正面を突いてしまった。

唯一のチャンスが訪れたのは7回表。1アウトから4番近藤が低めのスライダーにうまく対応してレフトへのヒットで出塁する。さらに6番下山も死球でつなぎ、この試合初めて複数のランナーを塁上に置いた。しかし、この場面も7番はスライダーを打たされてセカンドゴロで3アウト。スコアリングポジションにランナーを置いてからの河野のコントロールは抜群であった。結局、光星打線に許したヒットはわずか3本。完璧な投球で完封勝利を飾った。

一方、先取点を取られたとはいえ八戸学院光星のエース後藤も6回以降はヒットを許さない力投を見せた。終盤になってもコントロールが大きく乱れることはなく、安定した投球でさすが光星のエースと思わせる内容であった。結果、敗れたとはいえ、河野・後藤の両エースの珠玉の投手戦は今大会随一の好ゲームであった。

まとめ

広陵は一にも二にもエース河野の投球が光った一戦であった。2014年夏のエース吉川を思い出させるような小柄な大エースは、球威のあるボールをきっちりコーナーに制球して八戸学院光星の打線を寄せ付けなかった。3人の投手を擁する広陵だが、この日の投球で河野が頭一つ抜きんでた感もあった。打線は後藤の投球の前に苦しんだものの、5回にスライダーの制球が乱れたところを逃さずに2点を奪取。2年前の打線のような破壊力はないものの、つながりの良さでは決して劣らないだろう。春3度の優勝を誇る「サクラの広陵」が難敵を下して、素晴らしい内容で初戦突破を果たした。

一方、敗れた八戸学院光星にとってはあれだけの投球をされたらやむを得ない部分もあっただろう。強打の光星を自負するだけに悔しい敗戦であったが、そもそも打てるボールが一打席に一球歩かないかというレベルの投球であった。やはり、全国を勝ち上がるにはこういう投手をいかに崩すかというところになってくるのだろう。後藤は劣勢の試合の中でも丁寧な投球で試合を作り、バックも再三の好守でエースを盛り立てた。負けたとはいえ、改めて東北屈指の強豪であることを全国に知らしめた一戦であった。

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