• 大会ベストナイン(2014年選抜)

    2020年12月06日

    右投手 岸潤一郎(明徳義塾)

    1年生から通算で3度目となった甲子園の大舞台。最終学年を迎え、大きく成長した姿を見せた。2年生時に一度サイドスローを経験したことで磨いた内角への制球力、スピードよりキレを追及して高めた直球の質。鋭い変化を見せるカットボールにスライダーと完成度の高い投球で相手打線を封じ込めた。特に延長15回の熱戦となった智辯和歌山との初戦で見せた投球は、今大会の全試合・全投手の投球の中でも間違いなくトップレベルのものであった。準々決勝で惜しくも延長の末に佐野日大・田嶋(オリックス)との投げ合いに敗れたが、今大会の右投手No.1の称号は岸潤一郎に送りたいと思わせる投球内容であった。

    左投手 田嶋大樹(佐野日大)

    関東No.1左腕と評判だった田嶋大樹(オリックス)の実力はやはり伊達ではなかった。甲子園初戦ではくせ者の鎮西を相手に12三振を奪って完封勝ち。左スリークオーターから繰り出す140キロ台のストレートと切れ味抜群のスライダーはともに一級品。肘の使い方が柔らかく、ボールを前で話せるため、球速以上にキレのあるボールで打者を苦しめた。2回戦では岡本和真(巨人)を擁する智弁学園に、準々決勝では岸潤一郎(西武)がエースの明徳義塾を相手に延長の末に接戦で勝利。ともに集中打を浴びて失点は喫したものの、強打者たちを相手に懐に臆することなく投げ込み、ほとんどの時間帯で試合を支配していたのは田嶋であった。準決勝は優勝した龍谷大平安に敗れたものの、その実力を存分に示した大会となった。

     

    捕手 佐野友亮(福知山成美)

    強打の福知山成美の3番捕手としてチームを牽引したチームリーダー。近畿大会8強で選出が微妙な立場だったが、見事チームを8強に導いた。捕手としてはエース左腕・石原のスローカーブを巧みに活用し、緩急を活かして山梨学院大付・神村学園と打撃に自信を持つ両チームを下した。試合中盤に石原が乱れそうになった場面でも、落ち着いたリードでチームに安心感を与えた。また打撃でも4割を超す打率でチャンスメークにタイムリーと縦横無尽の活躍。1番西田とのホットラインで何度も得点をもたらした。福知山成美らしい奔放な野球が発揮できたのも、佐野の攻守にわたる安定感あるプレーがチームを支えていたからだろう。

     

    一塁手 河合泰聖(龍谷大平安)

    2年生時から龍谷大平安の主軸を務めた河合泰聖が、最終学年となって押しも押されぬ4番になって帰ってきた。長打力もさることながら、5試合で15打数7安打8四死球と5割近い打率、7割近い出塁率を誇り、主砲として打線の流れを研ぎらせない役割を果たした。また、主将としても個性派ぞろいの面々を河合なりのリーダーシップでまとめ上げ、原田監督を安堵させた。決勝では追い上げられて迎えた9回に履正社の2番手・永谷のストレートを完ぺきにとらえ、勝負を決める2ランホームランに。意外にも公式戦初となる値千金の一打は、これまで主将としてチーム作りに腐心してきた河合へのご褒美だったのかもしれない。

     

    二塁手 吉田叡生(佐野日大)

    エース田嶋(オリックス)に注目が集まった佐野日大だったが、攻撃の中心となったのは3番を務める吉田叡生であった。2年生時からスタメンに名を連ねていた実力者は右にしっかり引っ張れる打撃で長打を量産。智辯学園戦、明徳義塾戦と序盤にタイムリーを放ち、チームに勢いをもたらした。特に準々決勝の明徳義塾戦でエース(西武)から放った先制の一打は好投手対決で、チームに主導権をもたらす大きな一打となった。守りでもショートの竹村との鉄壁の二遊間でエースを援護。関東最後の砦として堂々4強に名を連ねる、原動力となった。

     

    三塁手 中村胤哉(豊川)

    初出場で4強入りを果たした愛知の新星・豊川。日本文理、沖縄尚学と神宮のファイナリスト2校を破った快進撃はエース田中空良の力投によるところはもちろん大きかったが、上位に並んだ左打線の活躍も見逃せないものがあった。中でもトップバッターを務めた中村胤哉は攻撃的な1番打者と捨て20打数11安打の大活躍。2回戦の池田戦では右スリークオーターの名西から先制の2点タイムリー3塁打を放ち、一挙4得点を挙げた猛攻のきっかけを作った。準決勝でも4安打を放つなど、右に左にヒットを量産。しっかりと振り切るスイングで初回から相手投手に圧力をかけ、豊川の快進撃に貢献した。

     

    遊撃手 吉田有輝(履正社)

    東野阪本と充実した投手陣を擁した前年のチームと比較して、溝田永谷と2年生の2枚看板に若返ったこの年の履正社。その中にあって3番ショートとしてチームの屋台骨を支えたのが吉田有輝であった。センターを中心に広角に打ち分ける打撃で4割を超す打率をマークし、若い投手陣に援護点をもたらした。特に関西対決となった準々決勝の福知山成美戦では、2回戦で完封勝利を飾った石原から初回、2回とともに高めのストレートをセンターオーバーに運び、相手の出鼻をくじく格好となった。逆方向へもはじき返せる打撃は精度が高く、4番・中山(ヤクルト)がやや不調だった中で、主軸としてきっちり役目を果たした。ショートの守備でも安定感が光り、履正社らしい攻守にスマートな選手であった。

     

    左翼手 西平大樹(沖縄尚学)

    V候補筆頭として甲子園に乗り込んだ神宮王者・沖縄尚学。ライアン投法の山城大の好投が光ったが、攻撃陣で活躍を見せたのは3番を務める西平大樹だった。初戦こそ報徳学園の継投の前に苦しんだが、2回戦では白鴎大足利の比嘉大下(オリックス)の2枚看板を攻略。西平も貴重な追加点をたたき出すタイムリー3塁打を放ち、チームの勝利に貢献した。準々決勝ではエース山城大が打ち込まれて苦戦を強いられたが、8回に好投手・田中空良からタイムリー2塁打を放ち、長打力のあるところを見せた。強打者の並ぶ沖縄尚学打線の中でも安定感と長打力の光る打者であった。

     

    中堅手 徳本健太郎(龍谷大平安)

    優勝した龍谷大平安の誇るスピードスターが聖地のグラウンドを縦横無尽に駆け回った。大会序盤はなかなか調子が上がらなかったが、俊足を活かした走塁で相手守備陣をかき回した。特に最も危ない試合となった準々決勝の桐生第一戦では2点ビハインドの場面で3塁から内野ゴロの間に生還。抜群のスタートと巧みなスライディングでホームを陥れ、チームに逆転勝利を呼び込んだ。徐々に調子を上げた準決勝では佐野日大・田嶋(オリックス)から2ランホームラン、決勝では初回の3塁打を含む猛打賞と圧巻の活躍で優勝に貢献。センターの守備でも好守を連発し、走攻守3拍子揃った理想のトップバッターであった。

     

    右翼手 柳谷参助(桐生第一)

    2年生がスタメンに多く顔をそろえたこの年の桐生第一。前評判は決して高くなかったが、四国王者の今治西を撃破し、2回戦では広島新庄との延長再試合を制して8強入りを果たした。その中にあって、3番打者としてシュアな打撃で貢献したのが柳谷参助だった。低い構えから繰り出す鋭いスイングを武器に広角に打球を打ち分け、打率3割3分3厘をマーク。広島新庄の好左腕・山岡から初戦で同点タイムリー、再試合で先制タイムリーと開きの少ないフォームで左打者も苦にしないところを見せた。また、塁間4秒で駆け抜ける俊足も披露して相手バッテリーをかく乱。近年は、健大高崎や前橋育英に押され気味だったが、桐生第一健在をアピールした大会となった。