• 敦賀気比vs京都翔英 2013年選抜

    近畿王者に堂々打ち勝った北信越の強豪

    記念大会で36校が出場した第85回選抜記念大会。大会序盤の2回戦で早くもV候補同士のマッチアップが実現した。

    京都翔英は太田監督の指導のもと、異色のスタイルで力をつけてきた京都の新興勢力。一日の練習中に何度も間食を入れる食育やバットにテープをグルグルに巻いて重くしたものを振ることでスイングスピードを速めるなど、独自の練習法で腕を磨いてきた。

    エース榎本はベンチ外の選手の思いも背負うという意味で背番号18をつけて力投し、前年秋は近畿大会を制覇。捕手・山口と打順でも中軸を組み、2人を中心に初出場ながら貫禄・風格の漂うチームであり、上位進出を狙っていた。

    一方、敦賀気比は1998年に4番として東出(広島)とともに甲子園の舞台を踏んだ東監督が就任し、この年で2年連続の選抜出場を達成。前年秋の福井大会では兼記録をことごとく塗り替える強打を見せた。北信越大会決勝で栗原(ソフトバンク)を擁する同じ福井の春江工に敗れたため、神宮出場はならなかったが、裏の優勝候補として期待を寄せられていた。

    甲子園では京都翔英より一足先に開幕戦に登場。九州王者・沖縄尚学との対戦とあって、試合前は不利の予想もあったが、どっこい初回から5点を挙げる猛攻で強豪を一蹴。5番浅井が5安打を放つなど猛打で11点をたたき出し、エース岸本の好投もあって11-2と全く寄せ付けずに勝利を収めた。

    エースのアクシデントに打線が奮起

    2013年選抜2回戦

    京都翔英

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    2 0 0 0 3 0 0 0 0 5
    0 4 0 0 1 0 1 0 × 6

    敦賀気比

     

    京都翔英  榎本

    敦賀気比  岸本

    強打を誇る敦賀気比と好バッテリーを擁する京都翔英の激突。個性的なチーム同士の白熱の攻防が期待された。

    そんな試合は1回からいきなり火花の散る展開となる。1回表、京都翔英は強打の1番小谷が2塁打で出塁し、犠打と四球で2アウトながら1,3塁のチャンスを迎える。ここで1塁ランナーの榎本がスタートして重盗を試みるが、敦賀気守備陣は冷静な判断で3塁走者小谷を挟殺にかかる。

    ところが、ランダンプレーに入ったエース岸本とランナーの小谷が激突し、ボールは転々。岸本が倒れこみ、敦賀気比守備陣がエアポケットに入ったような状況の中で1塁ランナーの榎本もホームインし、京都翔英が2点を先制する。

    小谷は決して故意に行ったプレーではなかっただろうが、しかし、結果的にこのプレーが負けん気の強い敦賀気比ナインに火をつける。

    エースが倒されて奪われた得点を絶対に取り返そうと、2回裏に京都翔英・榎本を攻め立て、6番小林、7番岩田の長短打で1点を返すと、なお2アウト1,2塁から2番米満一がインサイドの速球を振り抜き、右中間への逆転3ランで一気に試合をひっくり返す。京都翔英にとっては絶対的エースがいきなり4点を返される展開は想定外だっただろう。

    それでも近畿の王者に輝いた自信はそう簡単には揺るがない。5回表、9番西岡田のヒットなどでランナーを2人ためると、1番小谷がストレートをとらえた打球はレフトスタンドに飛び込む3ランとなって再び京都翔英が逆転。「目には目を、歯には歯を、3ランには3ランを」と言わんばかりの小谷の強打で流れを強引に引き戻す。

    しかし、その裏に敦賀気比が2番米満一、3番山田の長短打で再び追いつくと、徐々に流れは敦賀気比に傾く。エース岸本のアウトコースいっぱいに突き刺さる速球と切れ味抜群のスライダーを前に6回以降京都翔英打線は手も足も出ない。試合前に岸本の癖をいくつもつかんでいた京都翔英ベンチもランナーが出なくては策の出しようがなかった。

    防戦一方の中で踏ん張っていた榎本だったが、徐々に圧力を増す敦賀気比打線の前に持ちこたえられなくなる。7回に再び中軸に連打を浴びて満塁のピンチを招くと、最後は押し出しの四球で決勝点を与え、万事休す。結局、京都翔英打線はわずか3安打に抑え込まれ、スコアこそ5-6だったが、内容的には完敗であった。敦賀気比は投打に力強い内容で3回戦へとコマを進め、この大会4強まで勝ち上がった。

    まとめ

    敦賀気比は2014年夏に強打で4強入りし、2015年選抜では福井県勢として悲願の初優勝を達成。しかし、この躍進の流れの礎を築いたのは2013年の選抜大会だったのは間違いない。3番山田、4番喜多など、東監督をして「こいつらで勝てんかったら僕はいつ勝つねん」という実力者がそろったこの年の代が甲子園できっちり結果を出したことは、のちのちのことを考えても非常に大きかった。

    一方、敗れた京都翔英は初陣らしからぬチームではあったが、やはり全国の壁は高かった。夏は福知山成美に敗れて甲子園出場はならず。ただ、翌年の選抜は龍谷大平安が初の選抜制覇、福知山成美が8強と揃って好成績を収め、京都勢の活躍が目立った。新興勢力の京都翔英の躍進がその他の強豪校に火をつけたというのは考えすぎだろうか。大変個性的で、印象深い好チームであった。

    【好投手列伝】福井県篇記憶に残る平成の名投手 3/3 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

    京都翔英vs敦賀気比 ダイジェスト(第85回選抜・2回戦) – YouTube