蘇る名勝負

智辯和歌山VS浦和学院 2003年選抜大会 3回戦

更新日:

東西の優勝候補がっぷり四つ!最後は劇的1発で幕切れ。
出場したプロ選手…須永英輝(日本ハム)

 

有力校の数が多く混戦が予想された75回選抜甲子園。
その中でも東西の優勝候補に挙げられていた両校
(昨秋関東大会準優勝と昨秋近畿大会準優勝)が早くも3回戦で激突した。
ベスト8を前にしてどちらかが去るのは惜しいと思わせるこのカードは白熱の好試合となった。

 

浦和学院は昨年春夏連続出場。その原動力となった左腕須永は大会屈指の好投手。

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昨夏報徳学園の春夏連覇を阻止した実力は本物である。
威力のある真っすぐ、切れのあるカーブ、スライダーに加えてスクリューも駆使し、
三振の取れる投手。昨夏の川之江戦の逆転負けの悔しさを胸に精神面でも成長を見せる。

また、須永のほかにカーブの切れなら須永以上という好左腕鈴木も控えており、
昨年春に甲子園を経験済み。
1回戦の隠岐高校戦では二人合わせて17三振を奪った。連戦にも耐えられる陣容を誇る。

 

さらに打力も優れている。4番松本は長打力があり、1番中大谷、2番漆畑は機動力で相手をかき回す。
下位の福田熊谷も力があり、得点力は昨年のチームに決して引けを取らない。
昨秋は横浜に1-3と逆転負けを喫したが、チーム力は過去最高のレベルに達しており、
悲願の全国制覇に突き進む。

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一方、智弁和歌山はこの当時は甲子園で勝ちまくっていた時代。
なにせ過去3年の春夏の甲子園で4回出場し、優勝1回、準優勝2回と出場すれば
ほぼ決勝まで進んでいるという勝ちっぷり。
昨夏の準優勝メンバーから1番嶋田、2番堂浦、3番本田、9番上野
1年生投手滝谷と主要メンバーがごっそり残り、今大会も当然優勝候補である。

 

投手陣は昨年チームを初戦敗退の危機から救った1年生左腕滝谷が引っ張る。
長身から角度のある真っすぐをコントロールよく投げ込み、試合のリズムを作れる。
安定感はチーム1である。エースナンバーを背負う本田は打順でも4番。

前年夏準々決勝鳴門工業戦で選抜準優勝校を相手に1失点完投と見事なピッチングを見せた。
ただ、実力は折り紙付きながら好不調の波が激しく、昨秋の近畿大会でもその1面は見られた。
2人以外にも長身右腕坪内もおり、例年通り複数投手制で挑む。

打線に関しては、大会でもトップクラスの破壊力を誇り、
昨秋は東洋大姫路の好左腕グエン・トラン・フォク・アンをコールドで破った。
1番にキャッチャー上野を置き、2番堂浦、3番嶋田、4番本田と準優勝メンバーを頭から並べた。
特に3番嶋田、4番本田は長打力があり、相手の得意球を打っていくという攻撃的スタイルを貫く。

 

初戦は昨夏に続いて愛知・東邦と対戦。
序盤に好左腕・三浦を打ち込んでリードを奪うも終盤に満塁から
走者一掃の長打を打たれて追いつかれる苦しい展開。
しかし、延長10回1番上野が決勝ツーベースを放ち、苦しい戦いをものにした。

 

苦しい試合を4番の一振りで制す。

浦和学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 2 2 0 0 0 0 1 1 0
0 0 0 0 3 0 3 0 0 0

智辯和歌山

11 12
0 0 6
0 7

さて、試合の焦点は好左腕須永から智弁和歌山打線が何点取れるかだが、
須永相手ということで智弁和歌山としては失点は少しでも少なくしておきたいところ。
しかし、そんな思惑とは反対に試合は序盤浦学ペースとなる。

 

智弁和歌山の先発はエース・本田
初戦はリリーフ登板で満塁から高めのストレートを打たれ、長打を浴びてしまった。
今回は今回は低めを丹念についていきたいところだったが、今回は悪い時の本田であった。
序盤から制球に苦しみ、2回に満塁のピンチを招くと
ワイルドピッチにスクイズでタイムリーなしで2点を奪われる。
3回にも代わった滝谷からタイムリーを放ち、浦和学院が4-0と一方的にリード。

 

序盤での4点差にこれはさすがの智弁和歌山もかなり苦しいと思わされた。
特に序盤の須永は絶好調。
ストレートに強いはずの智弁和歌山を力で押し込んでいく。
急速こそ135キロ付近が多いが、切れ・伸びがあり、
大会後のスカウト評価は「よくぞここまで成長した」というものだった。

 

しかし、智弁和歌山は抑え込まれながらも選球眼は抜群。簡単には凡退しない。
2ストライクまではフルスイングするが、追い込まれると巧いバッティングに切り替えていく。
ストレートでは抑え込まれるも、甘く入った変化球はしっかりヒットにしていた。
無得点に抑えられつつも、爪を研ぎ澄ましている感じが伝わってくる。

 

そして、5回表7番の森川がインローのストレートを引っ張ると打球はライナーでレフトスタンドへ飛び込む。
この1打は1点以上の重みをもった。それまで完璧に抑えていたにも関わらず、
下位打線にそれまで抑え込んでいたストレートを、しかもしっかりコースに行った球を打たれてしまった。
これで逃げ場を失った須永は動揺。四球・けん制悪送球などで満塁のピンチを招くと打者は四番本田
内角の球に差し込まれながらも力でセンター前にもっていった。

 

智弁の打者は長打が注目されるが、高嶋監督の方針は「困ったらセンター返し」ここが徹底されているところが、
甲子園で勝てる所以なのだろう。あっという間に1点差となる。

 

そして、7回。表の攻撃で浦和学院がチャンスをつぶす。バント失敗に盗塁失敗。
相手に流れを自ら引き渡してしまった。
7回裏智弁は1アウトから3連続四球。
きわどいコースをしっかり見極めて須永を追い込む。
そして、満塁から6番キャプテン山本が甘く入った変化球を引っ張り、走者一掃のタイムリーツーベース。。
終盤にきて6-4と逆転。

 

しかし、浦和学院もここから粘る。8回表にセンター前テキサスヒットで1点差に迫ると、
9回表には2アウト1,2塁から須永が打席へ。セカンドへの内野安打で土壇場で同点に追いつく。
セカンド森本は追いついていただけにもったいないプレー。

 

その後は、一進一退の展開となる。11回裏にはサヨナラのチャンスで走者の滝谷がまさかの転倒。
勝利のチャンスを逃す。

12回表には浦和学院のチャンスにセカンドへの痛烈な打球を森本がダイビングキャッチ。
9回表のリベンジを果たす。

 

そして、幕切れは突然やってくる。12回裏打席には本田。ここで本田が一芝居打つ。1ボールから一球気のない空振り。須永に対して餌をまいてからの3球目。甘く入った須永のストレートを狙い打った打球はレフトスタンドへ一直線。あっという間の幕切れにスタンドも唖然としていた。智弁和歌山は2試合連続の延長戦を制し、苦しみながらもベスト8へと進出した。

 

まとめ

やはり智弁和歌山の試合の中で投手を崩していく様はすさまじい。
須永は延長11回で222球も投げさせられており、選球眼の良さ・粘りは特筆ものである。
終盤の粘り強さにも納得させられる。

 

一方の浦和学院。優勝を狙って乗り込み、戦力は充実していた。
須永の球も昨夏からの成長が見て取れた。
しかし、力以外の面で勝てる試合を落としてしまった感がある。

須永は5回のホームランで我を失い、打線も再三のチャンスをミスでつぶしてしまった。
優勝するには選手個々の力以外の部分が重要になってくる、そう思わされる試合であった。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm4413279

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