• 松山東vs二松学舎大付 2015年選抜

    ジャイアントキリングを成し遂げた伝統校

    2015年の選抜は春夏ともに東高西低であり、特に選抜はベスト8のうち7校を東日本が占めた。西日本勢で勝ち上がったのは大阪桐蔭のみだったが、そんな流れに合って、意地を見せたのが21世紀枠に選出された愛媛の伝統校・松山東であった。

    松山東は21世紀枠での選出だったが、愛媛県屈指の進学校で第32回大会では優勝(当時は松山商と合同校だった)しているように、伝統あるチームであった。亀田米田のバッテリーは頭脳的な配球で相手打者を打ち取っていき、打線も大物うちは4番の米田くらいだが、ミート力に長けた打者が並んでいた。

    また、進学校らしく試合前のデータ班は対戦相手を丸裸になるまで研究。四国屈指の伝統校が油断できない存在として甲子園に乗り込んできた。

    対する二松学舎大付は前年夏に11度目の決勝進出で初めて甲子園切符をつかみ取っていた。しかも相手は永年煮え湯を飲まされてきた帝京で、1年生捕手の今村が終盤に同点3ランを放って追いつき、延長で勝負を決め、夏の甲子園でも1勝を挙げた。

    新チームはその時のメンバーで1年生として出場していた左腕・大江(巨人)、小柄なセカンド・三口が残り、4番主将の北本を中心に都大会決勝まで進出。決勝は勝俣(オリックス)の東海大菅生に接戦の末に敗れたが、地力が評価されて選出された。前評判では優勝した東海大菅生より上なのではないかという声も上がっており、1982年以来となる決勝進出も狙っていた。

    シーソーゲームを制した頭脳プレー

    2015年選抜1回戦

    松山東

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    0 0 0 2 0 2 1 0 0 5
    0 0 0 1 0 3 0 0 0 4

    二松学舎大付

     

    松山東     亀岡

    二松学舎大付  大江

    序盤は両チームのエースが好投を見せ、0行進で進む。松山東の亀岡がカーブを軸に技巧的な投球で組み立てれば、二松学舎の大江は140キロに迫る速球とスライダーで押す力の投球で三振を量産。静かな立ち上がりとなる。

    しかし、球場のムードは序盤から21世紀枠でかつ伝統校の松山東一色となっていた。判官びいきの多い甲子園ファンに押され、二松学舎大付としては何とも戦いにくい雰囲気だっただろう。

    そんな流れの中で4回表に松山東が先制点を奪う。先頭の2番石山が四球で出塁すると、3番酒井の打球はファースト前でぎりぎりラインアウトせず内野安打に。ツキも徐々に松山東に味方していき、4番米田も死球で満塁とチャンスを広げる。ここで5番亀岡が高めに浮いたストレートをライト前に流し打って1点を先制。さらに1アウト後に7番山田大がスクイズを決めてこの回2点を先制する。

    それまで三振を量産して全く失点の気配すらなかった2年生エースが許した先制点。二松学舎ナインに動揺が走ったが、頼れるキャプテンが仕事をやってのける。1アウトから4番北本亀岡の高めに浮いたストレートをとらえると、打球はレフトスタンドへ飛び込むホームランに。先制点を奪われた直後に二松学舎がすぐ1点差に詰め寄る。

    5回を3人で退けてリズムを取り戻したかに見えた二松学舎・大江。しかし、力の投球はもろさと背中合わせだったか、6回表に松山東の打撃陣とボールがかみ合ってしまう。3番酒井、4番米田が連打を放って1,3塁とすると、5番亀岡は低めのスライダーを救い上げてレフトオーバーのタイムリー2塁打として2点を追加。亀岡のこの日3打点の活躍で松山東が完全に主導権を握る。

    しかし、この攻撃で逆に火が付いたのか、その裏に二松学舎が再び猛攻を仕掛ける。松山東・亀岡の投球にようやくタイミングが合い始め、こちらも3番三口、4番北本の中軸コンビの連打などで満塁のチャンスを迎える。ここで6番今村は松山東バッテリーが活用していた高めのボール気味のストレートを捕手らしく狙い打って2点タイムリーとし、1点差に。さらに8番大江も自らセンターへのタイムリーを放って同点。このまま引き下がれないという意地の詰まった攻撃だった。

    ただ、一度狂った大江の歯車がなかなか戻らない。同点になった直後の7回表、先頭の1番清水のヒットと四球でランナーをためると3番酒井にはまたもスライダーを狙い打たれて再び松山東が勝ち越し。投球の軸となっていたスライダーを攻略され、序盤の三振ショーが嘘のような中盤以降の乱調だった。

    結局、この7回の1点が最後まで重く響いて試合はそのままゲームセット。最終回に二松学舎大付も最後の反撃を見せたが、後続を松山東バッテリーが落ち着いて打ち取り、見事なジャイアントキリングで2回戦進出を果たした。

    まとめ

    松山東は続く2回戦ものちに準優勝を飾る東海大四に善戦。初回に米田の2ランで先制し、7回まではリードを奪う素晴らしい戦いぶりだった。決して能力に恵まれた選手が揃っていなくとも、頭を使って基本に忠実な野球をすれば強豪相手にでも勝てるというお手本を見せた大会であった。

    一方、二松学舎大付の大江にとってはピッチングの難しさを思い知らされる日となった。16もの三振を奪っており、ストレートもスライダーも走っていただけに、単調になってタイミングのあった失点イニングが悔やまれた。

    大江今村三口の3人は結局この日が甲子園でプレーした最後の試合に。経験者を持ってしても激戦の東京を勝ち続けることは難しかった。野球とは本当に難しく、そして面白いスポーツである。

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    2015選抜ダイジェスト 松山東-二松学舎大付 – YouTube