• 熊本工vs天理 2006年夏

    2020年06月06日

    名門校同士のつばぜり合い!

    2006年2回戦の最後のカードは、4年連続出場の天理と3年連続出場の熊本工という甲子園を沸かせてきた名門校同士の対戦となった。

    天理は4年連続の夏の甲子園。優勝候補に挙げられていた前年のチームからは松原、藤原の2人しか残らなかったが、上位から下位まで切れ目のない打線と相手のスキを逃さない走塁で接戦を制してきた。特に県大会決勝では2003年、2004年に選抜出場経験のある斑鳩法隆寺に逆転サヨナラ勝ちを収めるなど、粘り強さには定評がある。

    投手陣は右スリークオーターから140キロ台の速球とスライダーを武器とする本格派の藤井、左腕から変化球主体に丁寧な投球が光る後藤と左右2枚看板を擁する。投打にまとまったチームは1回戦は本荘を中盤の猛攻で圧倒。大量リードを藤井から後藤への継投で守り切り、2年ぶりの夏1勝を手にした。

    一方、熊本工は3年連続の夏の甲子園。こちらは3番橋本、4番狩場を中心とした豪打でチーム打率は出場校No.1。決勝では専大玉名を15-5と大差で下すなど、相手を寄せ付けない戦いぶりで勝ち上がった。投手陣は2年生の技巧派左腕の隈部から3年生エース前田への継投を確立。こちらも持ち味の異なる2投手の継投で勝負する。

    1回戦は大会屈指の好投手・梅村(オリックス)を擁する三重と対戦。序盤、梅村の高めの速球に対してヘルメットを深くかぶって手を出さず、四死球でランナーをためてセンター返しの打撃で5点を奪った。投げては隈部から前田への継投が成功。豪打で勝ち上がった熊本大会とは違い、相手の半分以下のヒットでも勝負どころを逃さない試合巧者ぶりを見せ、攻撃のバリエーションの多さを見せつけた。

    最終回の主砲の一打で難敵を退ける

    熊本工

     0

    天理

     

    熊本工  隈部→前田

    天理   後藤→藤井

    ともに投打にスキのない両チームの対戦。先に試合のリズムをつかんだのは厭離だった。序盤、西岡、梅田と78番が逆方向への打撃でタイムリーを放ち、熊本工の2年生左腕・隈部を攻略。1回戦は上位打線の活躍が目を引いたが、この日は下位打線が打って試合のリズムをつかむ。

    すると、6回には4番ショートの藤原が甘く入ったストレートを完ぺきにとらえてレフトスタンドへホームラン。昨年春夏と甲子園を経験したチームの顔がきっちりと仕事を果たし、天理が理想的な展開で試合を進めていた。

     

    一方、天理の技巧派左腕・後藤の変化球に苦しんできた熊工打線だったが、7回にサンライズが鳴り響く中で反撃を開始する。こちらも下位打線を起点にチャンスを作ると、2年生のスピードスター藤村(巨人)がセーフティーバントを決めてノーアウト満塁のチャンス。ここで3番橋本のライト前タイムリーと4番狩場の内野ゴロで同点に追いつく。

     

    こうなると追いついた熊工に流れが傾く。8回に2アウト3塁のピンチをショート藤村の懸命の守備で免れると、9回に2アウト2塁のチャンスを作ってここまで大会ノーヒットの4番の狩場を迎える。

    マウンドには140キロ台の速球とスライダーが武器の右のエース藤井が上がっていた。カウント2ストライク3ボールかとなり、藤井はインサイドに渾身のストレートを投じる。狩場は「ここで逃げる奴じゃない」と真っすぐ一本に絞って狙い打つと、打球は右中間を深々と破る勝ち越しのツーベースとなり、熊本工が土壇場でこの試合初めてリードを奪う。

    この後、天理の守備ミスもあってさらに1点を追加。9回裏この日大活躍の天理の下位打線コンビの西岡・梅田がチャンスメークし、2アウト23塁とするが、最後は1番多田がライトフライに倒れて万事休す。名門校同士の息をのむ終盤戦の戦いを制した熊本工が3回戦進出を決めた。

    熊本工は続く3回戦で福知山成美に打ち負けて敗退した。しかし、藤村・隈部と投打の軸が残った新チームは秋の九州大会で見事優勝を果たし、選抜でも丸佳浩(広島)を擁する千葉経済大付を破るなどベスト4に進出。久々の上位進出を果たした。

    一方、天理も敗れはしたものの、見事な戦いぶりだった。前年より投打のスケールは大きくなかったものの、投打にまとまりのある好チームであった。森川監督や橋本監督に率いられ、何度も甲子園に姿を現した天理だが、今は中村監督(初優勝時の主将)のもと新たな時代を迎えている。