• 聖光学院vs広陵 2010年夏

    2020年05月29日

    優勝候補を撃破し、東北の常連が真の強豪へ名乗りを挙げた一戦

    2007年の甲子園の再戦となったこの対決は大会前から注目されていた、同ブロックには強打の天理、大阪・履正社も組み込まれ、ここを勝ち抜いたものが大会でも優勝争いの有力候補になると考えられていた。

    広陵は本格派右腕・有原(日本ハム)を擁して選抜でベスト4入り。夏も当然優勝候補の一角で、藏舛、三田、福田(オリックス)ら好打者をそろえた打線にも力があった。広島大会決勝では前年に苦杯を喫していたライバル如水館を相手に有原の好投で2-1とリベンジ達成。力のあるストレートと落ちるボールを武器にする有原は大会でも屈指の好投手だった。

    この夏は島袋(ソフトバンク)を擁して、春夏連覇を狙う興南が優勝候補の筆頭だったが、走攻守にバランスの取れたこの年の広陵は打倒・興南の一番手と言ってもいい存在であった。

    一方、その広陵に対する聖光学院は3年前の大会で3回戦まで進み、広陵に8-2と敗れていた。野村(広島)-小林(巨人)のバッテリーを中心に安定感があり、主将・土生を中心に自分たちで考えて動けるチームだった広陵は聖光学院・斎藤監督にとっては自らのチームのモデルケースとなるような存在だった。

     

    その後、広陵にも出向いてチーム見学するなど交流もあった両校が3年の時を経て再び激突。2年前には初の8強入りも果たしていた聖光学院だったが、甲子園でいわゆる強豪校を破っての勝利はまだあまりなく、広陵とのこの試合はいわばこれから聖光学院という高校がグレードアップする登竜門ともなるような試合だった。

     

    昨年までの絶対的エース横山(楽天)が抜けたチームだったが、春以降2年生エース斎内(阪神)が急成長。この春の東北大会も制して、勢いに乗って4年連続の夏の甲子園へ乗り込んできていた。

    珠玉の投手戦は終盤の暴投で決着!

    広陵

    ×

    聖光学院

     

    広陵      有原

    聖光学院    斎内

    試合は立ち上がりから両投手が素晴らしい投球。この試合はレフトスタンドから感染していたが、強豪同士の試合という緊張感もある中でなにか静かに進んでいった。

     

    特に広陵・有原の出来は素晴らしく、馬力のあるフォームから繰り出す140キロ台後半の速球と落ちるボールで聖光学院打線を寄せ付けない。さすが大会No.1の右投手といった印象だった。

     

    しかし、それ以上に光っていたのが聖光学院の2年生エース斎内。真縦に落ちるスプリットに巧者ぞろいの広陵の打者のバットがくるくる回り、なかなかとらえ切れない。三振こそ6個だったが、当てるのがいっぱいいっぱいというバッティングが続いた。

     

    そんな試合だったが、中盤以降徐々に動きを見せ始める。ようやく斎内のボールをとらえ始めた広陵打線が2アウト1,2塁のチャンスを作ると4番丸子がセンターへはじき返し、1点先取か…と思われたが、センター根本が素晴らしい返球!ホームタッチアウトとなり、広陵にとってはフラストレーションのたまる展開が続く。

     

    すると7回裏、それまで有原にわずか2安打に抑えられていた聖光学院が火を噴き始める。4番遠藤、5番三瓶が有原の速球をとらえて連打で1,3塁のチャンスを作ると、2アウトになって打席には7番捕手の星。2ストライクから低めの落ちる球を星は空振りするも、投球を広陵の捕手・新谷が止めきれず、捕逸でまさかの生還。聖光学院が終盤に先制点を挙げる。

     

    何とか同点に追いつきたい広陵だが、斎内のスプリットが冴えを見せてとらえることができない。8,9回も死球のランナーを一人出しただけで終わり、初戦で西の優勝候補の一角がまさかの完封負けで姿を消したのだった。

    まとめ

    大一番を制した聖光学院はこの後、3回戦で山田哲人擁する履正社も倒し、2年ぶりの8強進出。それまで出場回数こそ重ねていたものの、全国区の強豪を相手に白星を挙げたことは少なかった。この大会で強豪を連破したことにより、名前負けをすることはなくなっただろう。そして、何より目標としてきた広陵に勝てたことがチームに大きな自信を与えた。この後さらに連続出場を続け、2019年で13年まで伸びたのはみなの知るところである。

     

    一方の広陵は3年前に野村(広島)―小林(巨人)のバッテリーで逃した夏の初優勝を狙える戦力だっただけにショックの大きな敗戦だった。この後、何度か甲子園に出るも、済美や三重というその大会決勝まで進むチームに延長でサヨナラ負けを喫するなど苦しい時期もあったが、2017年夏にスラッガー中村(広島)の活躍で快進撃を見せ、4度目の準優勝に輝いた。