• 鹿児島工vs福知山成美 2006年夏

    新鋭校同士のベスト4をかけた好試合

    斎藤佑樹(日本ハム)と田中将大(駒大苫小牧)の2人の投げ合いにわいた2006年夏の甲子園。その年の準々決勝4試合は帝京―智辯和歌山の打ち合いなど、どの試合も緊迫感ある好ゲームだった。その準々決勝最後の試合は神村学園と福知山成美というフレッシュな顔合わせとなった。

    鹿児島工は泣き虫監督で知られる中迫監督の熱血指導で初出場。過去に木佐貫(巨人)や川崎(ソフトバンク)を指導した名将に率いられ、鹿児島私学3強(鹿実、樟南、鹿商)に負けない実力をつけてきた。右の榎下(日本ハム)、左の下茂の左右の両輪を4番捕手の鮫島を中心とした打線が援護し、決勝では鹿屋との打撃戦を8-7で制し、見事初出場を決めた。

     

    甲子園初戦は49代表校中最後に登場。初戦は開幕戦を制して勢いに乗る伝統校・高知商と対戦。先手を取られるも打線が高知商の右サイド中平を攻略して同点。終盤2アウト3塁から4番鮫島が高知商2番手・津田の内角速球を力でレフト前に運んで初勝利。3回戦は打線が香川西の技巧派右腕・豊岡をとらえて9得点を挙げて大勝し、初出場ながらベスト8進出を果たした。

    一方、福知山成美は夏は2回目の出場。前年夏準優勝で好投手を複数擁する京都外大西や好投手・福島を擁して打線も強力な平安の両校を直接対決で下しての出場。決勝では西城陽との延長戦を制した。140キロ台の速球とスライダーを持つ高速サイド右腕・駒谷と長打力のある打線で実力は高いとみられていた。

     

    甲子園では初戦で注目スラッガー堂上(中日)擁する愛工大名電と対戦。福知山成美の強力打線が常に先手を取って試合を有利に進め、駒谷も堂上をヒット1本に抑えて6-4と完勝。続く2,3回戦も打線が静岡商・大野、熊本工・隈部という相手の2年生左腕を攻略して初のベスト8進出を果たした。

     

    実力では福知山成美の方が上かと思われた試合だったが、鹿児島工にはこの大会追い風のような雰囲気が漂っていた。特に代打の切り札の今吉晃は鹿児島大会6打数5安打の大暴れ。初戦でも2塁打を放っており、彼がどこで登場するか注目が集まった。

    延長10回の主砲の一発で鹿児島工が初の4強入り!

    2006年夏準々決勝

    鹿児島工

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3
    1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2

    福知山成美

     

    鹿児島工      榎下

    福知山成美     駒谷

    試合は立ち上がり、鹿児島工が福知山成美・駒谷から追い込まれる前のストレートを狙い打つ。1番宿利原が内野安打で出塁すると、ランナー進んで5番今吉健がストレートをたたいて先制点を挙げる。

     

    その裏、福知山成美も榎下の立ち上がりボールが上ずるところをとらえ、1番成田が出塁して送った後、4番塚下がストレートをとらえてタイムリー。すぐに同点に追いつく。3回には2アウトから4番塚下、5番渡辺、6番駒谷が出塁すると、7番武田が逆転のタイムリー。2-1とする。

     

    だが、福知山成美としてはヒットで出塁するものの、単打が多くなかなか得点に結びつかない。そこは良くも悪くも福知山成美の豪快なチームカラーなのだが、走塁よりもとにかく打って打ってのチームなので仕方ない面もある。

     

    中盤以降両投手立ち直り、福知山成美の駒谷は切れのあるスライダーで鹿児島工の打者をきりきり舞いさせる。鹿児島工の榎下も持ち味の制球力で丁寧な投球。3試合連続2桁安打で上位から下位までスキのない打線を相手に踏ん張る。

     

    すると、7回表ついにこの男が登場する。代打の切り札・今吉晃が駒谷のストレートをたたいて、ショートへの内野安打。ガッツポーズの今吉晃に大歓声の甲子園。その雰囲気にのまれたか、ボールが甘く入りだした駒谷に9番和田、1番今吉が逆方法へ逆らわずはじき返して同点。試合の潮目が変わった。

     

    だが、駒谷も簡単には屈しない。畳みかける鹿児島工が8回にチャンスを作るも、駒谷は冷静にスクイズを外してタッチアウト。やはり好投手、落ち着いている。

     

    試合はそのまま延長戦に突入し、10回表決着の時が訪れる。2アウトから右打席に入った4番鮫島が駒谷の甘く入ったスライダーを完璧にはじき返すと、打球はセンターバックスクリーンをはるかに超える勝ち越しホームラン。3-2と勝ち越す。

     

    リードを奪った鹿児島工はその裏ピンチを招くも最後は打撃のいい駒谷がとらえた打球がファーストミットにライナーで収まりスリーアウト。鹿児島工が初出場で4強の快挙を達成した。

    まとめ

    鹿児島工は鮫島以外はスター選手が多かったわけではないが、全員野球で4強入り。鹿児島勢は2005年選抜準優勝の神村学園に続いて、初出場校が上位へと顔を出し、鹿児島の情勢が変わりつつあることを感じさせる大会となった。

     

    一方、福知山成美も好投手・駒谷と4試合で48安打の強力打線で8強入り。田所監督らしい豪放磊落なチームカラーで8強入りを果たした。今でも福知山成美の夏の最高成績であり、福知山成美らしい好チームだった。

    2006甲子園 準々決勝 2/3 – YouTube

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