大会ベストナイン(2009年夏)

2009年

右投手 山田智弘(県岐阜商)

PL学園、帝京と強豪校を連続撃破した県岐阜商のエース。がっしりした体格から140キロ台の速球とスライダーを安定して低めに集め、三振を取る投球も打たせて取る投球もできた。何より素晴らしいのはメンタル面で、東西の高校球界を代表する名門校を相手に攻めの姿勢を失わず、ともに3失点で完投してみせた。

また、打撃でも初戦、2戦目と2試合連続でホームランを記録。バットの動きにいい意味で遊びの部分があり、タイミングがあった時の飛距離は野手顔負け。自らの打撃でピッチングを大いに楽にした。投打にわたってまさに千両役者の活躍ぶりであった。

PL学園vs県岐阜商業 ダイジェスト(91回選手権・10日目) – YouTube

左投手 菊池雄星(花巻東)

この年の高校球界No.1左腕は選抜準優勝後はマスコミの押し寄せなどもあって、夏までかなり苦しい時間帯を過ごした。スライダーを曲げようとするあまり、フォームが横回転になりがちなのも悩みの種であった。

それでも、岩手大会を勝ち抜いて春夏連続出場を果たす。1回戦では選抜決勝で敗れた清峰を長崎予選で下した長崎日大と対戦。3本のホームランを打たれるも、我慢の投球で5失点完投勝利を飾ると、2,3回戦は1失点完投と調子を取り戻す。3回戦の東北戦では左腕史上最速の154キロをマーク。優勝にむけてスパートをけけたように見えた。

しかし、1回戦の長崎日大戦のホームクロスプレーで脇腹を痛めた影響で、準々決勝の明豊戦は途中降板。チームは延長戦の激闘の末に勝利を収めたが、菊池の状態は限界であった。準決勝の中京大中京戦はリリーフ登板するも、満塁走者一掃打とホームランを浴びて、途中降板した。

規格外のポテンシャルを持つ最速左腕は全国制覇の夢を果たすことはできなかった。しかし、最後まで手を抜かない花巻東野プレースタイルを体現した投球・打撃・走塁は今も高校野球ファンの脳裏に焼き付いている。

花巻東vs長崎日大 2009年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2009高校野球センバツ 花巻東 菊池雄星投手 – YouTube

捕手 米良孝秋(都城商)

都城商の快進撃を攻守でささえた扇の要だ。初戦の聖望学園戦は満塁のチャンスで好左腕・佐藤から満塁の走者を一掃する右中間2塁打を放ち、初回4得点に貢献。埼玉大会でことごとく競り合いを制した試合巧者を相手に序盤でセーフティリードを奪うことに成功した。準々決勝でも中京大中京・堂林(広島)からタイムリーを放つなど、打率5割をマークした。

守っては、本格派右腕・新西を好リード。先輩相手にも臆することなく要求する気の強さが功を奏し、三重・智辯和歌山と強打者を擁する打線を抑え込んだ。準々決勝では中京・磯村(広島)の3ランに屈したが、大会No.1の強力打線を相手にその後は継投した左腕・藤本も含めてよく立て直し、試合を作った。

⚾【平成21年】2009 3回戦 都城商 vs 智弁和歌山【高校野球】 – YouTube

一塁手 横倉怜武(花巻東)

◎明豊(大分)-花巻東(岩手) 9回表花巻東無死二、…:甲子園 ...

佐々木洋監督をして、「岩手が産んだ関西人」と言わしめたムードメーカー。5番打者としてチームが苦しい場面でことごとく結果を残した。初戦の長崎日大戦は菊池雄星が2本目のホームランを浴びて、3点ビハインドとなったが、長崎日大の剛腕・大瀬良から逆方向への痛烈なタイムリーを放って逆転への口火を切る。

さらに、準々決勝の明豊戦では2点ビハインドで迎えた最終回に無死2,3塁から明豊の2年生投手・山野(広島)を相手にセンター前ヒットを放ち、土壇場で試合を振り出しに戻す。気後れしてもおかしくない場面で、気圧されることなく打ち返した5番打者の存在が、この年の花巻東を支えていた。

⚾【平成21年】2009 準々決勝 花巻東 vs 明豊【高校野球】 – YouTube

二塁手 切手孝太(日本文理)

記録的な猛打を誇った日本文理の切り込み隊長。東京から越境入学して、「日本文理を強くしよう」と意気込み、全国の強豪に臆することなく立ち向かった。積極性的に振っていくスタイルで準決勝まで4割を超す打率をマーク。またセカンドの守備でも準決勝の県岐阜商戦でヒット性の当たりをポジショニングの読みで好捕し、失点を防いだ。

そして、あの伝説となった決勝戦では9回2アウトフルカウントから振りたくなるような低めの変化球を見送り、四球を獲得。切手のこの四球がなければ、あの球史に残る追い上げは実現しなかった。

中京大中京vs日本文理 2009年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2009年夏の高校野球決勝 – YouTube

三塁手 河合完治(中京大中京)

強打者揃いの中京大中京の中でも、最も高い技術を誇った左の強打者。チームメートのセカンド国友に「河合バッティング教室です」と言わしめた確かな打撃理論を持ち、チームの打撃力アップに一役も二役も買っていた。

速いスイングスピードで、ギリギリまで引き付けて広角に長打を打ち分ける打撃は相手投手にとっては脅威以外の何物でもなかった。最も苦しい試合となった2回戦の関西学院戦では、リリーフで好投する山崎裕から逆方向へサヨナラホームランを記録。頭脳的な投球で中京打線を苦しめた難敵を一発で仕留め、優勝へと弾みをつけた。

中京大中京 河合・サヨナラホームラン(91回選手権・関西学院戦) – YouTube

遊撃手 今宮健太(明豊)

投手、ショートの2ポジションをこなしながら、打撃でも3番を務めた、まさに「野球小僧」であった。選抜では菊池雄星(マリナーズ)のインサイドの速球に苦しんだが、その課題を克服し、1回戦では興南の好左腕・島袋(ソフトバンク)から2本のタイムリーを放って逆転勝利に結びつけた。下級生の頃はおろそかにしていた走塁面も、外野フライでもきっちり2塁まで走るようになり、プレーヤーとしてのスキがなくなっていった。

3回戦では常葉橘・庄司(広島)との真っ向勝負に勝って、9回の同点タイムリーを含む3安打を記録。花巻東とのリベンジマッチへと向かった。その花巻東戦は土壇場で同点に追いつかれた最終回に再登板。154キロの速球とスライダーで後続を連続三振に切って取った投球は、鬼気迫るものがあった。

明豊・今宮健太 ライバル菊池雄星への想い 1/2 – YouTube

左翼手 高橋義人(日本文理)

猛打を誇った日本文理の中でも最も恐れられた打者だっただろう。5試合すべてで複数安打をマークして、14安打を記録。打率6割3分6厘と手の付けられない状態であり、確立性と長打力を兼ね備えた打撃で、5番として数多くの打点をマークした。

初戦の寒川戦では、試合前に香川大会決勝のビデオを見て、相手のエース左腕・斎の攻略は容易かと大井監督は考えていた。しかし、決勝で疲れのたまった状態と違い、甲子園初戦ではボールのキレが戻ってかなり苦しめる展開に。そんな中、高橋はセンターバックスクリーンに追撃の一発を放ち、チームの逆転勝利を呼び込んだ。この苦しい試合をものにしたことが、新潟県勢初の準優勝という快挙につながっていった。

中京大中京対日本文理 2009夏決勝 甲子園 – YouTube

中堅手 松田智宏(県岐阜商)

出場4校すべてが初戦突破し、3校がベスト16入りと好調だった東海勢。中でも象徴的存在だったのが、県岐阜商の快進撃だった。計4度の全国制覇を誇る屈指の名門校もここ4大会はすべて初戦敗退と苦しんでいたが、この大会で一気に突き抜けることとなる。

その快進撃の口火を切ったのは1番主将・松田であった。初回に四球で出塁すると、続く無死1,2塁のチャンスで三盗を敢行。これが相手の動揺を誘い、2ランスクイズやホームランなどで大量7点を挙げる猛攻につながった。その後も、抜群の選球眼と状況判断を兼ね備えた打撃で14打数6安打と大暴れ。4強進出の立役者となった。

2009年夏の甲子園 県岐阜商vs山梨学院大付 1回ウラ – YouTube

右翼手 佐藤秀栄(帝京)

強豪・帝京の2年ぶりの甲子園8強への道を切り開いた4番主将。東東京大会を圧倒的な強さで制すると、甲子園初戦では敦賀気比の好左腕・山田修(オリックス)を攻略する。前田監督から、「スライダーは捨てろ」という指示があったが、相手の決め球を攻略せんとする佐藤は低めのバウンドしそうなスライダーをセンターの返し、2点を先制。プロ注目の好投手の必殺の一球を見事にとらえて一打だった。

続く3回戦では九州国際大付との優勝候補対決になったが、この試合では終盤にサヨナラ勝ちして8強入り。波に乗るかと思われたが、続く準々決勝の県岐阜商は序盤から投手陣がつかまって3-6と敗退した。しかし、劣勢の中でも好投手・山田から3安打を放ってチームを鼓舞した4番の姿は、さすが帝京のキャプテンと思わせるものであった。

帝京vs九州国際大付 2009年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2009関東代表校SP 東東京・帝京 – YouTube

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