明徳義塾vs日大山形 2013年夏

2013年

ベスト4への壁を突破した常連校とのシーソーゲーム

優勝候補の早期敗退が目立った2013年夏。そんな中で明徳義塾がしぶとい野球で勝ち上がり、8強の中で常総学院とともに優勝候補に挙がっていた。

初戦は大会屈指の右腕の瀬戸内・山岡(オリックス)と対戦。決め球のスライダーは抜群の切れを見せ、攻略困難が予想されたが、6番宋が高めに入ったスライダーをレフトスタンドへ。さらに満塁から畑の犠飛で2点を先制。2年生エース岸もまっすぐ主体の力強い投球で1失点完投勝利を収めた。

 

その岸は真っすぐの質を高めてきた成果が出たのか、快投を披露。昨夏のリベンジ戦となった大阪桐蔭戦では森友哉(西武)ら長距離打者をそろえる打線を相手に強気に内角を攻めて好投。一時はサイドスローに転向して、インサイド攻めを習得したことにより、幅広い投球を身に着けた。また、守備陣も二遊間が深い守備位置を取るなどして工夫を示し、エースを支えた。

一方、日大山形は県大会では3人の投手の継投で勝ち上がったが、甲子園では庄司が好投。初戦は優勝候補の一角・日大三を相手に長身から投げ下ろす真っすぐで真っ向勝負。打線も4番奥村(巨人―ヤクルト)の先制2ランに2番中野の技ありのタイムリーなど左打線が機能して、7得点で快勝した。

 

2回戦では2年連続上位に顔を出していた作新学院と対戦。好捕手・山下を擁する難敵だったが、打線が相手の左の軟投派を攻略。終始試合を優位に進め、52で押し切った。

 

さて、焦点としてはエース岸の真っすぐを日大山形の左打者をそろえた上位打線がとらえられるかというところ。また、明徳の勝負強い打線も大阪桐蔭のエース葛川の真っすぐ主体の投球を見切って攻略したようにスキがない。逸崎・西岡・宋ら油断できない打者が並ぶ。庄司が自分のペースでどれだけ踏ん張れるかが重要になる。

 

終盤の粘り腰で2年生エースを攻略!

日大山形

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 1 0 2 0 4
1 0 0 1 0 1 0 0 0 3

明徳義塾

 

日大山形   庄司

明徳義塾   岸

 

試合は初回、エースで4番の岸が庄司の高めに浮いた真っすぐをとらえ右中間に先制2塁打。岸はこれが大会初ヒットで投打の中心の一打で明徳が順調なスタートを切った。

 

しかし、日大山形も負けてはいない。3回に1番好調の青木が真ん中高めの速球を右中間へ同点タイムリー3塁打。6回には再び1点ビハインドで4番の奥村が真ん中高めのボール球を強引に上から叩いて同点3塁打。この一打には岸も自信を喪失させられるほどの衝撃があっただろう。もう奥村とはまともに勝負できないと思わせるくらいの一打だった。

 

だが、それでも先手を取り続けるのは明徳。4回、6回と2度にわたって5番西岡が勝ち越しのタイムリー。庄司の甘く入ったボールをしっかり呼び込んでたたいた。1年秋に4番を打っていた実力者だけにさすがの一打だった。

 

そして、運命の8回に入っていく。日大山形はこの回1番青木が3本目のヒットで出塁。岸はどうしても青木を抑え切れない。そして、2塁にランナーが進むと3番峯田が高めのボールを逆らわずに左中間へ。岸も疲れでボールの抑えがきかなくなっていたのだろう。さらに逆転のピンチで4番の奥村は敬遠。奥村はこの大会6つの四死球。ヒットは3本だけだったが、そのすべてが長打と存在感は別格だった。そして、この敬遠に燃えたのが5番主将の吉岡。岸のボールをしっかりとらえた打球はライト前に弾み、ついに日大山形が一歩前に出た。

 

その裏、庄司は疲れから制球が定まらずに選球眼のいい明徳の打者に四死球を連発。あっという間に1アウト満塁のピンチを招く。ここで打席にはこの大会当たっている8番馬場。しかし、馬淵監督の出したサインはスクイズ。結果は捕手へのファールフライとなり、得点ならず。9番岩見も打ち取り、庄司は最大のピンチをしのいだ。この場面馬淵監督としては同点に追いつきさえすれば勝てると判断したが、結果は裏目に出た。

 

9回裏復活した庄司は明徳の上位打線を3人で抑えてゲームセット。159球の熱投で日大山形自らの山形県勢最高記録を更新するベスト4進出を手繰り寄せた。

 まとめ

これで日大山形は日大三・作新学院・明徳義塾と優勝校を3連続撃破。庄司はそのすべてを投げぬいて快投。この戦いぶりに、もはや山形県を野球後進県と思うものはいなくなっただろう。準決勝で優勝した前橋育英に敗れたとはいえ、充実の夏となった。

 

一方、明徳義塾としては瀬戸内・大阪桐蔭と注目校を倒してきただけに悔しい結果に。小技を駆使してのスモールベースボールが持ち味だった今年の明徳。馬淵監督いわく「このチームの野球で優勝していたら価値が高かった」という惜しまれる結果となった、しかし、投打の中心の2年生エース岸が残る新チームは翌年にも期待が集まっていた。

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