激戦ブロック 2010年夏

2010年

春夏連覇を目指す興南が優勝候補の最右翼だった2010年夏の選手権大会。そんな中で始まった組み合わせ抽選会でどっと沸いたブロックが今回紹介するブロックだ。2回戦からの登場で4校のみで形成されたブロックだが、4チームすべて優勝候補に名を連ねるチームで、のちにプロ入りする選手も在籍した、まさしく死のブロックであった。

 

選抜ベスト4の広陵は決勝で昨夏代表の如水館に見事にリベンジを果たした。選抜の日大三戦で雨に泣いた剛腕・有原(日本ハム)は真っすぐがさらに威力を増し、馬力のある下半身を主体に安定感のあるピッチングを披露。低めに突き刺さる140キロ台後半の速球は今大会N0.1右腕との呼び声もあり、注目の投手だ。打線は2年生の藏升丸子が元気。特に丸子は選抜での活躍が自信となっており、とらえた打球の飛距離は歴代OBと比べてもトップクラスだ。エンドランなどを絡めた積極的な攻撃も健在で、福田三田御子柴ら上位から下位までまんべんなく強打者の並ぶ打線で有原を援護する。守備も二遊間を中心に固く、これといったスキの見当たらない戦力だ。有原のスタミナが心配だったが、運よく2回戦からの枠を引くことができた。激戦ブロックを引いてしまったが、まずは3年前の再戦となる聖光学院戦を制して波に乗っていきたい。

履正社は夏は13年ぶり2回目の出場ともっと出ていそうなイメージだが、さすがに出てくると強いチームを作ってくる。大阪大会では勧野(楽天)、吉川(中日―巨人)、多司らスター集団のPL学園を相手に92点ビハインドを追いつき、延長で勝負を決めた。勝ち越しタイムリーの3番ショート山田(ヤクルト)は攻守走の3拍子揃ったプロ注目の内野手。スイングスピードが速く、今大会でも活躍が期待される。2年生の多いチームを引っ張る2番の江原は厳しい岡田監督も認める優等生。抜群のリーダーシップを発揮する。投手陣は2年生エース飯塚が成長。右スリークオーターから左打者のインコースの際どいゾーンにも投げ込める制球力の持ち主。春季近畿大会では1回から9者連続三振の離れ業を演じた。抑えには右サイドの3年生平良が控えており、安定した投球で試合を締めくくる。バント・走塁も鍛えられており、少ないヒットで点が取れる試合巧者だ。激戦区大阪の代表として2年前の大阪桐蔭以来の全国制覇に期待がかかる。

その履正社と初戦でぶつかる天理はとにもかくにも打力自慢のチーム。奈良大会では他校を打撃で圧倒し、決勝ではライバル智弁学園を141と寄せ付けなかった。広角に打ち分ける3中村(ロッテ)、気持ちの強い4安田、パワーヒッターの5内野のクリーンアップはもちろんのこと周りを打つ井上岩崎長谷川も鋭いスイングで強烈な打球を放っており、穴のない打線を形成する。投手陣は左の沼田がエース。1年秋からマウンド経験豊富な左腕は技巧派の印象が強かったが、ストレートの威力がまし、MAX140キロを記録するまでに成長。力で押す投球もできるようになった。選抜で登板した、西浦西口の速球派右腕も控えており、スピード自慢の投手陣だ。履正社とは対照的に豪快なチームカラーだが、果たしてどちらが制するのか。初戦を制して一気に波に乗りたいところだ。

今春の東北大会を制した聖光学院も勝ち抜く力は十分に持っている。2年生エースの斎内(阪神)はこの春以降急成長。チーム内競争を勝ち抜き、一気にエース格に上り詰めた。武器は縦に大きく落ちるスプリットフィンガーボール。このボールでピンチの場面も三振で乗り切った。もう一人の2年生右腕・芳賀は春季東北大会優勝の立役者。140キロ近いストレートを武器に好投を見せた。打線は主将の村島山口三瓶遠藤雅と長打力も勝負強さも兼ね備えた面々が並ぶ。6番には監督の息子の斎藤英哉が座り、中軸の残したランナーを返す。ここ数年広陵、横浜、PLと常連校に跳ね返されてきた同校。甲子園でもう一つ突き抜けるには強豪校撃破が必要だ。3年前に敗れた広陵にリベンジして流れを変えたい。

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