• 2002年春の選抜・甲子園大会前予想

    2020年05月10日

    近畿地区の評価が高い。公式戦負けなしの神宮王者・報徳、昨年の経験者が並ぶ平安、好投手・吉見(中日)を擁する金光大阪、2年前の覇者智弁和歌山と強豪が並ぶ。果たしてそのまま甲子園を制圧してしまうのか、それとも他地区がストップをかけるのか。

    報徳学園は新チーム結成以降、35試合をこなしてわずか1敗。公式戦負けなしで本番に臨む。エースの大谷(ロッテ)は、MAX147キロのストレートと切れ味鋭い変化球で圧倒する。永田監督の助言で変化球を有効に使い始め、投球の幅が広がった。明治神宮大会では大谷を使わずに高妻、石井、尾崎と控え投手で秋田経法大付、中京大中京、関西を破った。それぞれ得意の決め球も異なり、層の厚い布陣を引く。打線も強力で1番プロ注目の尾崎(元日本ハム)が切り込み、公式戦打率6割を超す松下、長打力を秘める4番長瀧と強打者が並ぶ。下位の木下、石井らもクリーンアップを打つ力を持ち、全く穴がない。前年の近畿大会では天理に先行を許しながらも粘って逆転するなど大型チームにありがちなもろさも見られない。前年度から試合に出ているメンバーが多いためだろう。ここまで圧倒的な優勝候補はおそらく松坂の横浜高校以来。まずはその横浜に並ぶ選抜優勝を目指す。

    平安は昨年のベンチ入りメンバー8人が残る実力派。前年の近畿大会準決勝で敗れた報徳学園に雪辱を期す。エースは昨夏8強入りしたサイド右腕高塚。躍動感あふれるフォームから140キロに迫るストレートと変化球を外角低めに集める安定感ある投球を披露。試合を壊さない投手だ。2番手の倉谷も140キロをマークする。打線の中心は3番今浪(日本ハムーヤクルト)。勝負強い打撃でセンスはチーム112番の林、鹿渡でチャンスメークし、今浪、市来、長谷部と経験者の並ぶクリーンアップで還す。高塚、山崎とこちらも下位打線まで強力。伝統的に守備も硬く、負けにくいチームである。打倒報徳の1番手か。

    金光大阪は春夏通じて初出場。エースは大阪一の好投手・吉見(中日)。MAX143キロのストレートに切れのあるスライダーで相手を圧倒する。マウンドでカリカリする癖もなくなり、精神的にも成長した。打線がいまいち弱いが、上位は力を秘める。中軸の小屋本、中島、田中はパンチ力があり、出塁率の高い1番仲村を返す。下位の吉見も打撃がいいが、勝ち上がるにはさらに他のメンバーの打力アップが鍵となる。初出場ながら上位に進む力は秘めている。

    智弁和歌山は1年のブランクを経て甲子園に帰ってきた。打率は出場校中No.1である。1年生で優勝を経験した岡崎、西村が45番で打線を引っ張る。打線は上位に2年生が並び、123番の嶋田、堂浦、本田はみな選球眼がよい。これから伸び盛りの選手たちを45番の甲子園経験者が返す。投手陣はまだ横一線の状態だが、昨秋の段階では田林がエース番号を背負いそう。右下手投げから切れのある球を内外角に投げ込める。2年生の木林もストレートに力がある。2年前よりは小ぶりになったが、打線の力はあり、出てくれば強い智弁和歌山の力を見せたい。

    打倒報徳を目指すその他のチームも猛者ぞろい。

    まずは昨夏優勝の日大三。エースに成長した左腕清代は柔らかいフォームから切れのある真っすぐ、スライダー、カーブを投げおろす。昨夏は花咲徳栄、日本航空戦を経験。甲子園のマウンドを踏んだことで一回り大きくなり、昨秋の東京大会決勝では二松学舎大付の強力打線を封じ込んだ。打線は昨夏から残る野崎、幸内のコンビが中心。そして、4番の藤田は怪我から復帰したスラッガー。先輩原島のあとに続けるか。夏春連覇を目指して再び強打の三高が暴れまわる。

    浦和学院は関東大会準優勝ながらチーム力は高い評価を受ける。2年生左腕須永・鈴木はともに大会屈指の好投手。真っすぐは須永、カーブは鈴木が上でともに切磋琢磨しながら成長する。打線の軸は4番田爪。ヘッドスピードが速く、チーム随一のファイティングスピリトを見せる。核弾頭の河野や下位の大久保、内田ら4割打者4人を揃えた強力布陣。速いボールにも力負けせず、打倒・大谷に自信を見せる。春にかけて機動力を加味していきたいところ。

    明治神宮大会準優勝の関西は2年連続の出場。左腕・宮本(元日本ハム)は昨年も1勝しており、今大会は更なる上を目指す。右打者へのクロスファイヤーが持ち味でインサイドを突き打者を手玉に取る。投球回数を上回る三振を奪っており、安定感抜群だ。昨年の選抜では立ち上がりに尽誠の坂口、坂田にホームランを喫したように立ち上がりの入りに注意したい。打線も長打こそ少ないがつながりがよく、12番の多湖、水北でチャンスメークする。バッテリーの宮本、萬浪は打線でも中心。左打者が多いため、左投手対策が課題か。まずは吉年(元広島)を擁した1995年以来のベスト4を狙う。

    中京大中京は1997年の準優勝以来の選抜。投手陣は左の技巧派・中根と右の速球派深町で形成する。中根は相手との駆け引きに優れ、深町は力で押し込める。ともに完投能力があり、大藤監督も期待を寄せる。打線のカギは1番三瓶。中学時代陸上で県内2位に入った俊足の持ち主で打率も4割越え。チャンスメークに長ける。3番の菅原は全日本に選ばれた好打者で、4番の丹羽、5番の渡辺も強打者だ。昨秋の試合ではほぼすべての試合で4点以上取っており、打力には自信を持つ。伝統校がバランスの取れた戦力で甲子園に乗り込む。

    四国勢2校も強者だ。

    四国優勝の尽誠学園は3季連続の出場。前年から残ったのは1番の上森だけだが、このチームのいいところはとにかく気持ちが強いこと。エースの井上がその代表格でバッターを攻める気持ちを常に忘れない。ものすごい球があるわけではないが、敗れた明徳の馬淵監督をして「こういう投手が勝てる投手」と言わしめた。打線も積極的な攻撃が光り、好球を逃さない。先制攻撃を得意とし、序盤から自分たちのペースに持ち込んでいく。前年の方が個々の能力は高いが、雰囲気や盛り上げ方は今年の方が上。姫路主将を中心にまとまっており、案外今年の方がいい結果を残すかもしれない。

    明徳義塾は昨年夏から5人が残り、特にバッテリーの田辺、筧と主将の森岡が打撃でもクリーンアップを務め、中心となる。田辺は昨夏の甲子園でデッドボールを受けながら完投した気持ちの強さがある。外角低めのコントロールは素晴らしく、決して大崩れしない。3番森岡(ヤクルト)は大会注目の好打者で、1年からの通算打率が7割を超えるという驚愕の数字。体は大きくないが、パワーをロスなく伝えることができ、勝負強さも兼ね備える。現在甲子園での成績は4試合で16打数7安打。今後どれだけのヒットを重ねていけるか。昨年は守備の乱れで県大会でサヨナラ負けしたため、ノックは熾烈を極めた。硬い守備力と打撃でエースを盛り立て初優勝を狙う。

    隠れ優勝候補なのが福岡工大城東。九州大会の準々決勝で延岡工業にサヨナラ負けしたが、それまで練習試合で38戦無敗。エースの松本望はサイドから必殺のスライダーを武器に三振を量産。防御率0.84は出場投手中トップの数字である。打線も4番の尾崎を中心に力があり、優勝戦線に顔を出す力を秘めている。

    九州大会優勝の九州学院は走力を活かしたF1打線で勝負をかける。特に9番上野は54分の打率を誇り、そこから大会屈指のトップバッター江入、打率4割を超す2番重村と続く流れで相手をかき回す。エース藤原が中心となる投手陣が鍵を握る。

    樟南は昨夏を経験したエース岩崎が九州大会で3試合連続完封。昨夏日大三原島にレフトへ流してスリーランを被弾。悔しさをばねに切れ味抜群のスライダーで三振を奪えるようになった。犠打を絡める伝統の攻撃でどれだけ援護できるか。

    福井商業はエース中谷は成長。昨年は甲子園で打ち込まれたが、夏の練習を機に復調。練習試合で西岡(ロッテ阪神)擁する大阪桐蔭を完封した、打線は昨年の天谷(広島)、杉田、南部のようなスターはいないが、チーム打率は38分を記録。トップの渡辺、4番の赤土を中心に炎のチームがエースを援護する。

    広島の2校も強豪。広島商業は和製ランディジョンソンこと和田の投球に注目。広陵は昨年からの経験者である黒川・黒田・中東が引っ張る。2年生エース西村(巨人)を援護できるか。

    愛工大名電は3番堂上(巨人)を中心とした打線のチーム。投手陣がどこまで踏ん張れるかが鍵だろう。

    二松学舎大付のクリーンアップは強力。近内、山崎、五味淵の破壊力は大会随一だ。エース左腕森も好投手で優勝争いに殴り込みをかける。

    前橋高校の監督は甲子園で完全試合を達成した松本稔監督。母校を率いて久しぶりの甲子園だ。

    その他では140キロ台のストレートを投げる津田学園の多田、「1試合に自分の思った場所に行かないのは78球」という延岡工業の七條(元ヤクルト)、昨夏を経験した鳴門工業の

    丸山濱永のバッテリー、直球勝負がうりの大体大浪商・村田(巨人インディアンス)、新港の好左腕・荒瀬、秋田経法大付の速球派・平塚にも注目だ。