選抜優勝都道府県の夏の結果

2002年選抜優勝都道府県 夏の結果

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執念が実ってついに優勝候補撃破!選抜の雪辱を果たす!
出場したプロ野球選手…尾崎匡哉(元日本ハム)、大谷智久(ロッテ)、須永英輝(元日本ハム)


新チーム結成以来公式戦無敗で頂点にたった報徳学園。
エース大谷を中心に質量ともに豊富な投手陣と下位まで強力な打線で
横浜高校以来4年ぶりの春夏連覇を目指していた。

春季近畿大会で大谷高校に敗れ、公式戦の連勝こそ止まったが、
夏の兵庫大会は貫禄の勝ち上がりで優勝。

決勝では坂口(オリックスーヤクルト)のいた
神戸国際大付を5-0と大谷の完封で下して、甲子園に乗り込んできた。

 

この報徳学園をどこが倒すのかと注目していたが、なんと初戦の相手が東の優勝候補・浦和学院。このカードが決まった時の組み合わせ会場のどよめき具合は記憶にないほどのものであった。

 

しかし、このカードは浦和学院にとっては本当に待ちに待ったものであった。話は前年の春までさかのぼる。

 

2001年の春、前年に続いて2年連続の甲子園出場を目指す浦和学院はエース大竹寛(広島―巨人)を擁し、充実の戦力を擁していた。大竹の実力は昨夏の甲子園で奪三振記録を作った坂本(ヤクルトー日本ハムー横浜―西武)に勝るとも劣らないほど。打線も前年の経験者を中心に強力で、春季関東大会で花咲徳栄が優勝していたが、「夏の代表は譲らん」と息巻いていた。

そんな折、兵庫の名門・報徳学園と練習試合をすることになった。当時の報徳学園はエース大谷をはじめスタメンの大半が2年生の若いチーム。浦和学院にすれば、いくら報徳とはいえ2年生主体のチームには負けないと思っていただろう。ところが…

 

結果はまさかのコールド負け。大竹は完膚なきまでに打ち込まれ、打線も大谷の前に完全に沈黙した。森監督は「なんだ!?このチームは?」と驚きを隠せなかった。その後、報徳学園は夏の兵庫大会で同年に選抜出場した好投手・真田(巨人―横浜)のいる姫路工との投手戦に1-3で敗れ、甲子園出場を逃した。しかし、森監督は「次の一年は必ず報徳学園を中心に回る」と対戦後からすでに報徳学園の研究を始めていた。

 

森監督の予想通り、代が変わると天下は報徳を中心に回り始める。浦和学院も好チームを従えて、甲子園に乗り込んだが、選抜ではベスト8で報徳と対戦し、逆転負け。6月の練習試合でも再び6回に大量失点で逆転負け。逆転の報徳をまざまざと見せつけられていた。

 

しかし、3度の敗戦を経て森監督の報徳学園対策はさらに磨きがかかっていた。エース大谷の高めにストレートの浮く悪い癖。セカンド、ライトなど右方向の守備が弱いこと。各打者のウィークポイント。約1年余りをかけて丸裸にしてきた。「次対戦すれば負けない」と腕を撫していたところにいきなりの初戦激突。まさに願ってもない展開であった。

 

6回に気合の逆転、9回の集中打で王者を撃沈!

浦和学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 2 0 0 4 7
2 0 0 0 0 0 0 0 1 3

報徳学園

 

浦和学院  須永

報徳学園  大谷

 

焦点は両エースの打線が捕らえることができるかどうか。春から夏にかけてスクリューボールを覚えて投球の幅が広がった浦和学院・須永。選抜でカーブを攻略されて敗れた左腕は新たな武器を手にしている。

一方、大谷も最後の夏に気合十分。MAX147キロのストレートを軸にした力強い投球は健在で選抜優勝のプレッシャーで春から一時期不調に陥ったこともあったが、夏の兵庫大会では復調してきた。

 

浦和学院のキーマンは4番の田爪。ヘッドスピードの速いスイングから快打を連発する。しかし、選抜の準々決勝では初回にファーストの守備で風に流されたフライを落球。以来練習で徹底してフライをとる練習を、特に風の強い日には積極的に行ってきた。

 

初回、浦和学院は先頭の大久保が真っすぐをいきなり左中間のはじき返すと、送って2アウトから4番田爪が右中間に先制タイムリー。立ち上がりの悪い大谷を捕らえ、徹底して真っすぐを狙っている感じが伝わってくる。

 

一方、浦和学院の須永も立ち上がりいきなり先頭の尾崎に高めの真っすぐをバックスクリーンへ運ばれる。プロ注目の素質がありながら選抜は5試合で4安打に終わった男が夏の舞台で輝きを放つ。その後、同じく選抜で不振だった2番の橋本が3ベース。暴投でホームインして2-1と試合をひっくり返す。

 

しかし、2回以降はうって変わって投手戦となり、須永はスクリューをあまり使わず、選抜同様カーブとストレートでの組み立てで抑えていく(今思えば、スクリューを強調した情報戦の勝利だったのか…)。一方、大谷もアウトコースの真っすぐ中心に力で浦和学院の強力打線を封じ込んでいく。

 

試合が動いたのは、グラウンド整備後の6回表。6回は試合が変わる一つのポイントでもある。連打で1,3塁のチャンスを作ると強打の浦学がセーフティースクイズ。セカンドは一瞬躊躇してからホームを送球するもセーフとなる。さらに満塁となって9番滝沢はライトへ犠牲フライ。この回一気に逆転したが、報徳のウィークポイントの一つである右方向の守備を狙った攻撃でもあった。森監督はベンチで渾身のガッツポーズを見せていた。

 

その裏報徳も2アウトながら1,3塁と同点・逆転のチャンスを作り、バッターは大谷。選抜で高めに浮いたカーブを逆転タイムリーされた相手に須永は低めのカーブで空振りの三振。大谷の頭の中にはスクリューもあったかもしれないが、須永は選抜で打たれたのと同じボールでやり返した。

 

須永の投球はますますさえわたり、1番の尾崎には3安打を許すが、そのほかの打者は手玉に取る。特に8回の裏は3者連続三振に切って取り、ランナーすら許さない。報徳の強力打線を翻弄した。

 

そして、9回浦和学院の徹底した真っすぐ狙いに疲れの見える大谷がついに捕まる。大久保の右中間への2塁打から始まり、田爪は高めの真っすぐを大根切りでタイムリースリーベース。5番内田も長打で続き、決定的な4点が入った。

 

その裏、報徳も6番石井の3塁打を含む3連打で選抜王者の意地を見せる。下位打線とはいえ、全く気の抜けない打者の並ぶ報徳打線が最後まで須永を苦しめる。しかし、ノーアウト2,3塁から2人を落ち着いて打ち取ると、最後の代打・の打球はこれも運命なのかファースト田爪へのフライに。まるで選抜のリプレーのような打球を田爪がキャッチして試合終了。浦和学院は4度目の対戦で念願の勝利をてにしたのだった。


まとめ

おそらく森監督の中では勝利への図式が出来上がっていたのではないだろうか。研究に研究を重ねたため、どこをどうすれば倒せるのかわかっていた。追うものの強さが出た試合であった。

一方、報徳学園は投打ともに実力は十分ながらわずかなスキ・癖・弱点をことごとく突かれて敗れてしまった。このチームになってからずっとトップを走り続けてきただけにメディアへの露出も増え、研究され追われる中での戦いが続き苦しかったはず。しかし、その中でも夏甲子園に帰ってきたのは立派であり、28年ぶりの選抜優勝は色あせることはない。見事に名門復活を果たしたたくましいチームであった。

 


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