• 大会No.1投手(2004年選抜) 岩田慎司(東邦)

    2020年05月09日

    ダルビッシュ有のノーヒットノーラン達成や済美の初出場初優勝に沸いたこの大会。この大会でのNo.1投手に挙げたいのはノーヒッターのダルビッシュ(日本ハムレンジャース)ではなく、東邦の岩田投手(中日)である。この大会において最も攻略困難と思われた投手である。

    大会前から注目の一人ではあったが、前年秋の東海大会決勝で愛工大名電にKOされたイメージもあり、実際に見てみないとという印象だった。

    大会に入るとまず死のグループに入ってしまい、初戦の相手がいきなり前年選抜覇者の広陵となった。昨夏の甲子園で打率10割だった上本を筆頭にスタメンに昨年度の経験者4人を擁する強打のチーム。前年秋のチーム打率は4割を越す強打線であった。

    しかし、試合は序盤広陵のウィークポイントである投手陣を東邦のすきのない打線が捕らえ、初回に満塁の走者一掃のタイムリースリーベースが出て3点を先制する。

    これで岩田の投球が楽になったこともあり、素晴らしいピッチングを展開。何よりもまずストレートの伸びが素晴らしい。糸を引くようなストレートとはまさにこのこと。アウトコースに突き刺さるストレートに広陵打線が手も足も出ない。このストレートに落差のあるフォーク、切れのあるスライダーを混ぜるので春の段階で打てというのが無理な話である。

    試合序盤には好打者上本も三振に取り、4回には1点返されてなお満塁のピンチもあったが、ショート馬場のスーパー背面キャッチで事なきを得るとあとは付け入るスキを与えなかった。その後、5回にも大量点をとった東邦が一方的なペースで試合を進めて行き、9-1と完勝。2回戦にコマを進めた。

    広陵は前年から引退した選抜優勝投手の西村(巨人)のストレートを打って練習してきており、真っすぐには強い打線のはずなのだが、それでも一向に当たる気配がない。ボールの下を振るケースが目立ち、それだけ手元での伸びが素晴らしかったのだろう。フォームも流れるような形で下半身の力がしっかり伝わっていることがうかがえた。さすが投手を育てる名人の阪口監督である。

    ちなみにこの次の日にダルビッシュがノーヒットノーランを達成するのだが、ことストレートの質に関していえば岩田の方が上という感想だった。それぐらいすさまじいストレートであった。

    2回戦ではこの大会での優勝校の済美と対戦。前年秋にダルビッシュをKOし、今大会でも関東大会の優勝投手須田(DeNA)をノックアウトしていた。ダルビッシュをして「スイングスピードが段違い」と言わしめる打線であり、初戦を経験していることから硬さも取れている。万全の状態の済美打線vs岩田だったが、結果は5安打1失点。3回の3番高橋のセーター前ヒット1本に抑えた。済美の打線をもってしても結局岩田のストレートを捕らえることはできなかった。

    しかし、広陵戦と違ったのは、この試合味方の援護がなかったことである。特に、終盤ランナー3塁で二度のスクイズ失敗があり、ともに済美のエース福井(広島)の好フィールディングに阻まれた。1-0の完封負けで大会を去ることとなった。

    その後、夏は代表校となる中京大中京に打ち込まれて春夏連続出場はならなかったが、選抜で残した印象は強烈であった。広陵・済美という大会でも5本の指に入るだろう強力打線を相手にともに1失点完投。許したヒットは2試合で11本と完璧なピッチングであった。

    その後は明治大学から中日ドラゴンズに進み、活躍を見せた。

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