2006年夏の甲子園大会前予想

2006年

優勝争いは駒大苫小牧と横浜の2強の争いになるだろう。
その後を追って数々の強豪校が立ちふさがる展開になりそうだ。

駒大苫小牧は昨秋の明治神宮大会を圧倒的な力で制覇。ところが、3年生の起こした不祥事によりまさかの出場停止処分となってしまった。香田監督は謹慎処分となり、冬の間チームは一時空中分解してしまった。しかし、春先に監督が復帰するとチームは結束。もともとポテンシャルの高いチームなだけに南北海道大会は圧倒的な力で勝ち抜いた。エースの田中将大(楽天ヤンキース)は150キロ台のストレートに高速スライダーで三振の取れる「世代最強エース」。気の強い性格でピンチにも強い。控えには左サイドの岡田に2年生菊池といるが、大事なところはエースで行くだろう。打線は破壊力満点。3番中沢は広角に打ち分けるバッティングが光り、4番本間、5番鷲谷は1発の力を秘める。6番の田中もセンスがあり、センターに素直に打ち返す。チームの持ち味であるカバーリング・攻撃的走塁も引き継いでおり、73年ぶりの夏3連覇に突き進む。

横浜高校は史上初の2校目の春夏連覇を目指す。このチームの持ち味は何といっても打力。1番の白井は出塁率が高く、クリーンアップの高濱(ロッテ)、福田(中日)、佐藤(ロッテ)が確実に返していく6番以降の下水流(広島)、越前、岡田も長打力があり、神奈川大会では投手の川角もホームランを放った。どこからでも一発の飛び出す打線で、神奈川大会決勝では満を持して先発した東海大相模のエース高山をあっという間にKOして4回で15得点。この打線は10年間のスパンで見ても間違いなく上位に入ってくる強力打線である。投手は選抜同様左腕3本柱の川角・浦川・西嶋に2年生落司も加わり連戦に耐えれる陣容。コントロールのいい川角が試合を作り、終盤を継投でしのぐ。練習試合では駒大苫小牧を3-2で下しており、春夏連覇を狙う力は十分にある。

この2強を追うチームも多士済々。

まずは石垣島からの念願の甲子園出場となった八重山商工。選抜で横浜をあと一歩まで追い込んだ力は本物である。投手はエース大嶺(ロッテ)・金城長靖・中里と140キロ台のストレートを投げる投手を3人擁する。特に大嶺はプロも注目の好投手で好調時のアウトローに決まるストレートには横浜の打線でも手が出なかった。精神面のムラさえなくせば本番でも活躍できるだろう。打線は1番友利が出塁すると、2番東舟道はほとんどバントをせず打ってつなぐ。3番金城長靖は選抜で左打席でも右打席でもホームランを放ったパワースイッチヒッター。4番の羽地は監督の信頼が最も厚い。その他、中里・金城賢ら県大会では日替わりでヒーローが飛び出した。伊志嶺監督も含め10年来の付き合いでチームワークも抜群。沖縄に悲願の大旗を持ち帰る力は十分持っている。

早稲田実業は大会屈指の好投手・斎藤(日本ハム)を擁して悲願の全国制覇を狙う。西東京大会決勝では因縁の相手である日大三と斉藤自身3度目の勝負となった。4連覇を狙う春の関東王者を相手に真っ向勝負。初回から相手4番田中洋平にタイムリースリーベースを浴びるなど猛打にさらされながら、インコースにストレートを投げ込んで勝負を挑み続けた。コントロール・球速もさることながら、精神力・フィールディング・試合の機微を読む力など投手としての総合力で勝負できる投手である。西東京では準々決勝から決勝まで全て初回に失点。立ち上がりの乱調を克服すれば甲子園でも勝ち抜ける投手である。打線は選抜では若干非力な面も見られたが、たくましく成長。川西・小柳の12番でかき回し、クリーンアップで返す。特に5番船橋の成長は素晴らしく、決勝ではサヨナラタイムリーを放った。実に10年ぶりの夏出場で伝統校が躍進する。

大阪桐蔭は2年連続の出場。昨年の4強越えを狙う。平田・辻内と投打に柱がいた昨年と違い、今年は2年生主体のチーム。主将・小山を中心にしぶとく食らいつく野球をし、機動力や小技も駆使する。そんな中で攻撃の柱になるのは2年生4番中田翔(日本ハム)。4試合連続のホームランを放ち、履正社の好投手・魚谷からもバックスクリーンに打ち込んだ。ツボにはまった時の飛距離は今大会出場選手の中でもNo.1だろう。3番の謝敷も昨年からのメンバーでシュアな打撃を見せる。投手はスライダー主体の投球をする2年生左腕石田と3年生右腕松原が交互に先発。ともに完投能力があり、継投も可能。投打とも昨年ほどの力はないが、勝ち上がりながら強くなっており伸びしろは十分。出場校中でも上位の力は秘めている。

智弁和歌山は春の近畿大会で秋に敗れた履正社にリベンジして優勝。強力打線を引っ提げて「打倒田中将大」で全国制覇を狙う。練習から150キロのストレートと130キロの高速スライダーを打ち込んでおり、田中攻略に自信を見せる。もともと長打力に関しては高嶋監督も「優勝した2000年より上」と自負しており、3番広井・4番橋本・6番・松隈の飛距離は段違いである。12番の古宮、上羽に5番亀田、7番馬場とみな1発を打つ力を秘めており、打力に関しては横浜や駒大苫小牧と互角に渡り合う力を持つ。投手はストレートに力のある松隈とスライダーに切れのある広井が先発し、エースの竹中が締めるパターン。竹中はコントロールがよく、捕手・橋本との配球で抑え込むことができる。最後の優勝から6年が経ったが。今大会は優勝を狙える絶好のチャンスである。

仙台育英は5年ぶりの甲子園出場。ライバル東北との決戦を制し、久しぶりにあのグレーの「IKUEI」のユニフォームが帰ってくる。2年生エース佐藤由規(ヤクルト)は140キロ中盤のストレートに高速スライダーで県大会決勝では東北打線を延長15回0封。再試合も2点に抑え込んだ。春季東北大会決勝で光星学院に24-4と大敗した悔しさをばねにチームは成長。エースを支える打線も力をつけ、斉田・菅田ら左打者は長打力を秘める。決勝再試合では東北のエース高山を攻略した。不祥事による選抜出場辞退から覇権を東北に譲り渡していたが、今大会は「IKUEI」復活の大会となるか。

清峰は選抜準優勝の実績を引っ提げて乗り込む。決勝で横浜に21-0の大差で敗れた屈辱を晴らしに行く。投手は選抜で活躍した左腕エース有迫が不調。しかし、右のエース冨尾が好投して見事に穴を埋めた。MAX145キロのストレートを軸にした力の投球で準決勝では完封勝利を飾った。エース有迫は左足首をけがしているが、右打者のインローへのクロスファイヤーは健在である。打線は小柄ながらパンチ力のある打者が並ぶ。1番佐々木、3番広滝、4番木原、5番佐々木と昨年から3季連続の甲子園となるメンバーが上位に並ぶ。丸太ダッシュなど厳しい練習で培ったパワーで相手投手を粉砕する。横浜に借りを返して悲願の全国制覇へ陣容は整った。

今治西は春の四国大会で優勝。強力打線で県準決勝でライバル済美のエース沢良木を相手に7-2と逆転勝利。決勝では選抜に出場した今治北の好投手西原(広島)を序盤でノックアウトして11-2と大差で勝ち抜いた。2年生エース熊代(西武)はセンスあふれる投手。球威はさほどではないが、2年生捕手潮とのコンビでスライダーを軸にうまく相手を打たしていく。打線は4番宇高を軸に強力。熊代・宇高・崎原のクリーンアップは1発を狙う力があり、上位から下位まで満遍なくつながり代打陣にも力のある選手が揃う。つながりの良さ・長打力・機動力とすべてそろっており、大会でも指折の強力打線である。熊代の出来次第では上位を狙う力を持つ。

関西は明治神宮大会の準優勝校。4季連続の甲子園だが、ここ3回とも悲劇的な逆転負けを喫しており、今大会はその流れを断ち切りたいところ。打線は個々の力はかなり高いが、県大会序盤ではつながりが見えなかった。しかし、大会が進むにつれてまとまりを見せてきており、本番でも期待が持てる。4番安井は脱力した独特のフォームから右方向に返す打撃が持ち味。3番上田(ヤクルト)、5番下田は選抜で早実・斎藤からホームランを放っており、6番山本も神宮大会・選抜とホームランを放っている。1番熊代は選抜での悪夢のエラーから立ち直り、チームを引っ張る。投手陣は長身エース・ダースローマシュ匡と2年生の技巧派右腕中村で試合を組み立てる。ダースは昨夏の6点差逆転負けの悔しさを晴らしたい。力はあるだけに終盤のもろさをチームとして克服できるか。

帝京は意外にも4年ぶりの出場。8試合で48盗塁の機動力を活かしたチームに生まれ変わった。1番不破、2番勝見が走りまくり、2年生4番中村(ソフトバンク)を中心とした強打者が返していくスタイル。決勝では昨夏優勝の国士館から東東京の王座を奪い返した。2年生エース大田(DeNA)から2年生左腕垣ケ原への継投でしのいでいく。1年生ショート杉谷拳(日本ハム)にも注目だ。

日本文理は春夏連続出場。選抜で新潟勢初勝利を挙げて一気にベスト8まで勝ち上がった。エース横山、2年生右腕栗山ともにスライダーで三振を奪う投手。横山(阪神)は選抜でブレークし、県レベルではヒットすら打つのが困難な投手に成長した。打線も強力で長谷川、田沢らを中心に小技も絡めて点を取る。以前まで見られたひ弱さはなくなり、大井監督の指導も浸透してきた。まずは夏の初勝利を目指すが、上位に進む力を持っている。

その他ではチーム打率出場校中最高の熊本工業や乾(日本ハムー巨人)、飛び石の左の強力2枚看板を持つ東洋大姫路も力がある。東洋大姫路は打力も優れ、県決勝では土壇場で選抜ベスト8の神港学園をうっちゃった。3番林崎(日本ハム)は大会屈指の好打者である。

常総学院は全国制覇以来の夏出場。前年秋は選抜優勝の横浜と互角に渡り合っており、右サイドのエース飯田が踏ん張れれば面白い。

その他注目の投手では、浦和学院・赤坂(中日)、三重・梅村(オリックス)、福岡工大城東・梅野、専大北上・小石、県立岐阜商業・金森らが挙げられる。

打者では愛工大名電・堂上(中日)が注目。県大会では2度の奇跡的な逆転勝ちを演出。昨年のチームほど力はないが、4番として粘り強くチームを引っ張る。

また、創部100周年となった長野・松代高校も注目校である。

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