• 2013年春の選抜甲子園振り返りまとめ

    2020年09月22日

    無冠の帝王がついに栄冠を手にした。甲子園常連校の浦和学院が春夏計出場20回目にして

    ようやく全国の頂点に立った。関東大会では幾度も頂点に立ちながら、全国で結果が残せない内弁慶だったが、今大会は最後まで危なげない試合で推し進めた。森監督の喜びもひとしおの優勝だった。

    大会を通じて終盤に勝負の決まる際どい試合が多く、観客を楽しませてくれる大会だった。

    各高校の力が接近していたことが見て取れた。

    地区ごとで見ると東高西低の大会に。ベスト8のうち6校を東日本が占め、近畿・中国・九州はベスト8に残れなかった。初戦で関西は高知に、広陵は済美に敗れるなど西の優勝候補同士が初戦で激突したことも影響しただろう。

    また、強豪の並んだ近畿地区は大阪桐蔭以外すべて初戦敗退。その大阪桐蔭も2戦目で消えるなど意外な結果となった。ただ、6校中5校が1点差での敗退と力がなかったというよりは、競り合いで勝てなかったといった印象だった。

    一方、東北地区は5校中4校が初戦を突破。神宮王者の仙台育英と常連校・聖光学院がベスト8に入るなど、もはや東北勢の上位進出は珍しくもなんともなくなった印象だった。悲願の白河の関超えも近いかもしれない。

    一方、大きなトピックスとなったのは済美・安楽(楽天)の連投。5試合で772球を投げぬいた投球はアメリカでも話題となり、成長期の高校生にここまで投げさせて良いものかと非難の声も上がっていた。今後に向けて大きな課題を与えられた大会となった。

    浦和学院は投打ともに安定した力で初優勝に輝いた。5試合で47得点の得点力もさることながら、優勝の原動力はやはり2年生エース小島の快投だった。力の抜けたフォームから繰り出す切れのあるボールで打者を翻弄。特に、右打者のインコースに突き刺すクロスファイヤーは威力抜群で、捕手・西川と強気の投球を見せた。守備陣もショート・竹村、サード・高田、センター・山根とセンターラインに昨年からのメンバーがそろい、安定したディフェンス力を見せた。盤石の守備陣をバックに打線は確実に得点。1番竹村が出塁し、山根・高田・木暮の中軸が返すパターンで大量点を演出。特に4番の高田は3試合連続のホームラン。フォロースルーの大きなスイングでアウトサイドのボールも苦にせず左中間方向へはじき返した。結局、終わってみれば5試合ともワンサイドゲームで完勝。近年でも稀に見るくらい無風のまま頂点に立った。これまでどこか実力を発揮しきれないまま敗れていたが、今大会は会心の内容。夏は改めてマークを受ける存在になる中で史上8校目の春夏連覇を目指す。

    https://www.youtube.com/watch?v=7DfNtKPT5vE

    初出場初優勝以来、9年ぶりに選抜の舞台に帰ってきた済美は接戦を勝ち抜き準優勝。これで選抜の勝率は9割と無類の強さを発揮している。原動力は何と言っても剛腕・安楽(楽天)。ダイナミックなフォームから繰り出す150キロのストレートでぐいぐい攻めた。初戦は広陵を相手に延長13回サヨナラ勝ち。自ら先制タイムリーを放つと、その後もことごとく接戦をものにした。濟々黌・大竹、県岐阜商・藤田と好左腕擁するチームを相手に8回に決勝点を挙げると、高知との四国対決となった準決勝ではまた8回に山下が決勝ホームラン。高橋(阪神)、鵜久森(日本ハムーヤクルト)を擁した時のような長打力はないが、犠打で送って宇佐川・安楽・太田・上田らが確実にタイムリーを放ち、2年生エースを援護した。3年生捕手・金子の強気のリードも光り、準決勝の同点のピンチでは高知の4番・和田(巨人)を内角ストレートで凡フライに封じた。決勝では安楽が力尽き敗れたが、近年元気のなかった四国勢としては久々の決勝進出。高知のベスト4進出と合わせて、野球王国復活の足がかりとなる大会になった。

    https://www.youtube.com/watch?v=sd_4yyazksI

    今大会一のインパクトを残したのは敦賀気比だろう。昨春県記録を更新する打力を見せた打線が開幕戦でいきなり火を噴き、初回にいきなり5得点。左右の好投手を擁する沖縄尚学を相手に5番浅井が5安打を放つなど大量11得点。2回戦では2番米満の3ランなどで近畿王者の京都翔英との打ち合いを制すると、準々決勝では3番山田が2ホームラン。4番喜多も2者連続弾で続くなど浦和学院と双璧の破壊力を見せた。東監督をして「こいつらで勝てなければいつ勝てるんだ」と言わしめる打力を見せつけた。エースの岸本(中日)は右サイド気味の腕の振り出しから140キロ台の速球とスライダーで力投。京都翔英戦では初回に走者に激突されて倒されながらも完投勝利を収めるなど、チーム全体で負けん気の強さを見せた。アウトコース主体ながらボールの威力で押し切れる力を持ち、盛岡大付属戦は完封勝利。今大会屈指の右腕の一人だった。準決勝では昨春102と大差で敗れた浦和学院と再戦。初回に山田・喜多の長短打で1点先制するも、その裏相手4番の高田にアウトコースのスライダーを強引に引っ張られて逆転。中盤に集中打を食らい、打線も浦学のエース小島を攻めきれず、51と敗れた。しかし、投打ともに力強さを見せ、今大会浦和学院と唯一互角に渡り合った。4勝を挙げての同校初のベスト4は十分胸を張れる結果だった。

    https://www.youtube.com/watch?v=-F4tuIdJXII

    高知高校は久々の4強入り。常々県内では「学園(高知高校の愛称)は優勝か初戦敗退か」と言われていたチームが、今回は上位進出を果たして伝統校の面目躍如となった。近年毎年力のあるチームで臨みながらもなかなか初戦を突破できなかった。今回初戦の相手は奇しくも6年前に神宮V校として臨みながら初戦で苦汁を飲まされた関西。昨秋の神宮準V左腕の児山を相手に2年生右腕・酒井が一歩も引かない好投。終盤児山のストレートをとらえて5得点すると、3年生右腕・坂本につないで関西の強力打線を1点に抑えた。特に相手12番の逢沢、小郷を抑え込んだことが功を奏した。この速球派の酒井から技巧派の坂本への継投が実にうまくいき、酒井の高めの速球に慣れてきたところで、坂本の低めのスライダー、チェンジアップに終盤相手校は目がついていかず。常葉菊川、仙台育英と強力打線を誇るチームを抑え込むことができた。打線は昨秋の打率が6割を超した和田恋(巨人)にいまいち当たりが出なかったが、チーム全体でカバー。特に6番の上田は2試合連続の決勝打を放つラッキーボーイぶりだった。だが、準決勝では済美の剛腕・安楽を相手に土居、和田恋がホームランを放つもそれまでと違い、どこかちぐはぐな戦いぶりに。酒井から坂本へといつも通り継投を見せたが、8回坂本の高めに浮いた変化球を山下にレフトスタンドへ運ばれてしまった。四国対決に敗れて決勝進出はならなかったが、島田監督としては初めての甲子園上位進出。積み重ねてきた敗北の経験がベスト4という素晴らしい結果になって返ってきた春だった。

    https://www.youtube.com/watch?v=BZeq6yHOkXc

    聖光学院は初めての選抜8強入りを果たした。ここ数年斎内(阪神)らを擁した年のようにチームの大型化が進んでいたが、今年のチームは機動力を活かした「The 聖光学院」と言えるチーム。初戦は益田翔陽を相手に80と完勝。打って走って相手をかき回すと、2年生左腕・石井成が3安打完封。ストレートとスライダーをコントロールよく配してリズムよく投げぬいた。3回戦の鳴門戦では3点のリードをおいつかれるも、4番のチーム一の長距離砲・園部(オリックス)の1発で勝ち越し、接戦をものにした。園部は昨夏に続いてバックスクリーンへと叩き込んだ、準々決勝では敦賀気比に力負けするも、力がないと言われた中でのベスト8入りは聖光学院が勝ち方を学んできた証明でもあった。夏に向けてAチーム、Bチームでの競争もし烈になり、斎藤監督・横山部長のタッグで強化を図っていく。

    https://www.youtube.com/watch?v=_X7xXehrADs

    北照は2年連続の出場でベスト8入り。大串小畑のバッテリーと吉田(オリックス)を中心とした強力打線で貫禄の戦いぶりを見せた。大串は前年に引き続いての甲子園のマウンド。ストレートの球速こそ130キロ台だが、安定したコントロールと巧みな配球で初戦は菰野打線を8安打完封。変化球の制球に優れ、相手に的を絞らせなかった。打線も吉田・小畑・富田の中軸がタイムリーを放ち、横綱相撲を見せた。3回戦は尚志館の先発・吉國の速球を狙い撃ち。立ち上がりに富田の満塁走者一掃のタイムリーなどで4得点。大串も要所を締めて63と完勝した。打線の中では吉田の広角に打ち分ける打撃が光り、プロ注目の選手として存在感を示した。しかし、準々決勝では左腕・大串が逃げの配球で捕まり、まさかの大量10失点。思わぬ大差で敗れてしまった。ただ、ここ4年で選抜2回のベスト8は立派。北海道勢としてもここ4年で3度のベスト8入りとレベルの高さを証明した。夏に向けて成果と課題をもらった春となった。

    https://www.youtube.com/watch?v=rukCwgFoOdc

    仙台育英は神宮大会優勝校でV候補筆頭として登場。初戦は創成館の好投手・大野を相手に2回までに5得点と威力を発揮。特に4番の上林(ソフトバンク)は満塁からワンバウンドしたボールを打ってセンター前にタイムリー。イチローばりのバットコントロールの巧みさを見せた。3回戦は早稲田実の左腕・二山の抜群のコントロールに苦戦していたが、8回にとらえて3得点。ここでも上林が決勝タイムリーを放つ勝負強さを見せた。投手陣も安定感のある鈴木、速球派・馬場の右の2枚看板が12戦と先発で試合を作り、投打とも安定した内容を見せた。しかし、準々決勝では高知の投手陣の前に苦戦。特に先発・酒井の適度に荒れたストレートに的が絞り切れず、終盤のチャンスも活かしきれなかった。充実した戦力を擁し、いい内容の試合だっただけに課題を探すのも難しいが、夏の全国制覇に向けて足りない何かを埋める作業にかかる。

    https://www.youtube.com/watch?v=22faZlCiYn8

    県立岐阜商は夏春連続の出場。初戦は投打にポテンシャルの高い花咲徳栄との対戦となったが、大技・小技を絡めた攻撃で速球派右腕・関口を攻略。東・神山らの上位から下位まで切れ目のない打線が光った。左腕・藤田も緩急自在の投球で3失点完投勝利を収めた。特にカーブの切れとコントロールは絶品で打者のタイミングを巧みに外した。3回戦では夏春夏3連覇を狙う大阪桐蔭と対戦。初回に2点を先制されるも、スピーディーな攻撃で先発左腕・網本を攻略して4得点。森友哉(西武)を負傷で欠いた大阪桐蔭のすきをついた。終盤大阪桐蔭打線に追い上げられ、藤田も打球を足に受けるなど危機的状況だったが、最後はセンター前ヒットで突っ込んだ帰ろうとしたランナーを好返球で刺して、3連覇を狙った王者を仕留めた。準々決勝では足を負傷した藤田が力尽き、継投したところを済美打線に打ち込まれたが、勝負には勝っていた印象。2009年夏のベスト4に続き、伝統校が存在感を示した。

    https://www.youtube.com/watch?v=aRoCwwJabGk

    大阪桐蔭は主将・森友哉(西武)に率いられて、満を持して3連覇に挑戦。初戦は21世紀枠の遠軽を相手に11得点の大勝。長打力だけなら春夏連覇を果たした昨年のチーム以上と言われる打力をいかんなく発揮。エース葛川も右サイドからの切れのある真っすぐを主体に好投を見せ、最高のスタートを切った。しかし、3回戦の県岐阜商戦を前にした練習中に森が負傷。大会前に4番の近田も負傷し、飛車角落ちの状態で東海王者と対戦。控え捕手・久米も奮闘したが、序盤から守備の乱れもあって劣勢に。笠松らVメンバーが奮闘して最後は一打同点の場面を作り上げたが、バックホームで刺されて万事休した。夏に向けて葛川、網本、高西の中から誰がエースに名乗りを挙げるかが重要になってきそうだ。これで大阪勢は対岐阜勢3連敗(2009年夏 県岐阜商6-3PL学園、2010年大垣日大6-2大阪桐蔭)となった。

    https://www.youtube.com/watch?v=aRoCwwJabGk

    濟々黌の大竹は初戦常総学院を相手に被安打9ながら完封勝利。昨夏大阪桐蔭打線に3被弾を喫した反省を活かし、勝負所で失投がなかった。打線は上位偏重ながらもその上位打線が機能。3番大竹、4番安藤などの活躍で2点を挙げ、競り合いを制した。しかし、3回戦では剛腕・安楽の前に5回までで7安打を放つも打線が沈黙。8回に大竹が力尽き。14で敗れた。夏の熊本大会では熊本工・山下、文徳・本田ら好投手がひしめくだけに春夏連続出場は打線の強化、特に下位打線の底上げにかかってきそうだ。

    https://www.youtube.com/watch?v=WECa3hLUAmM

    早稲田実は初戦龍谷大平安との伝統校対決に。6回までノーヒットと苦戦するも、7回に見事攻略。左腕・福岡のボールをしっかり呼び込んではじき返し、4番熊田の2塁打などを皮切りにして攻略した。早稲田の応援歌が響く中一気呵成に逆転した様は伝統校の底力を感じさせた。3回戦は神宮Vの仙台育英を相手にエース二山が好投。終盤逆転されたが、全国上位校とも互角に渡り合える力を証明した。二山をはじめ、左腕四人を擁する陣営。夏に向けて再び投手陣の激しい競争が始まりそうだ。

    https://www.youtube.com/watch?v=GcDbHHTNceY

    常葉菊川は2008年以来の甲子園で2勝をマーク。強打の常葉菊川復活を印象付けた。特に3番遠藤の勝負強さは圧巻。初戦の1発に続き、2回戦では報徳学園の好投手・乾から2安打4打点。チームの全得点を挙げて、一人で大会屈指の速球派を打ち砕いた。そのほかにも登地、桑原ら振り切れる打者がそろっており、同校らしいフルスイングの攻撃が見られた。投手陣も堀田、渡辺ら同校らしい真っ向投げおろしタイプの投手が好投。常葉菊川スタイルを存分に見せた選抜だった。

    https://www.youtube.com/watch?v=uzi7u0rfw6c

    鳴門は3季連続出場。松本・河野・伊勢・稲岡ら昨年からのメンバーが野手陣に残り、打力は定評があった中、今大会はエース板東が成長。低めに丁寧に変化球を集める投球で2試合を完投し、5失点に抑えた。3回戦の聖光学院戦は雨中の悪コンディションの中でも好投を見せた。3点ビハインドを追いつく粘りも見せ、着実に名門復活への道を歩みだしている印象。これで今大会四国勢は3校とも初戦を突破し、一時期の不調を抜け出した感のある大会となった。夏はエースをつながる渦潮打線が支えてさらに上位を狙う。

    https://www.youtube.com/watch?v=z4L7Fr51bl0

    尚志館は初戦で大和広陵を相手に見事な逆転勝利。2年生エース立田に抑え込まれていたが、最終回に逆らわない打撃で攻略。無死満塁から逆転タイムリーが飛び出した。エース吉國も速球主体に好投。初出場初勝利を飾った。3回戦では北照に先手を奪われるも、好左腕・大串から7安打3得点。後半は押し気味に試合を進め、全国でも通じる手ごたえを得た。強豪の多い鹿児島の夏を制するため、多くの収穫を持ち帰った。

    https://www.youtube.com/watch?v=z4Y-VckRmd4

    今大会活躍の目立った東北勢のなかで、盛岡大付と山形中央は見事甲子園初勝利。

    盛岡大付は甲子園での連敗が9でストップ。念願の甲子園初勝利を挙げた。初戦は松本(ソフトバンク)-及川の継投で試合を作り、磨き上げてきた打力で11安打。最後は1アウト13塁からの内野ゴロでサヨナラ勝利を収めた。昨夏花巻東・大谷対策で鍛えた遺産は新チームにも確かに残っていた。3回戦は敦賀気比の岸本を前に完封負けも再三にわたって得点圏に走者を進める攻撃を見せ、投手陣も強打の敦賀気比打線を3点に抑えて善戦した。この春で確実に1歩階段を上ったと言えそうだ。

    https://www.youtube.com/watch?v=3RbvxlzUhZ8

    一方、山形中央は1回戦完封の岩国商業・高橋を攻略。打力もさることながら守備力が光り、打たれながらも状況判断の良さで次々ランナーを刺した。2010年は日大三・九州学院の強打の前に春夏とも勝利を逃したが、今大会は打たれ強さを見せつけた。3回戦は優勝した浦和学院に力負けも5回までは1点差の好試合。3人の投手陣を守りが支え、好チームの印象を残した。

    https://www.youtube.com/watch?v=JsOvzk424vM

    21世紀枠で選出の遠軽は最北端からの甲子園出場。北北海道では常に上位をにぎわせていたが、ようやく全国の舞台を踏んだ。初戦は持ち前の強打よりもエース前田の好投が光り、3安打で完封勝利。見事初出場初勝利を挙げた。2回戦では大阪桐蔭の強打に屈したが、1回にエース葛川の速球を負けずに打ち返して同点に追いつくなど見せ場を作った。次は自力での甲子園出場を目指す。

    https://www.youtube.com/watch?v=65HNtPCTDUA

    関西・広陵の中国地区の強豪2校はともに初戦敗退。高知と済美の上位進出校と当たり、相手が悪かったともいえる。両チームとも児山(ヤクルト)、下石と屈指の好投手を擁し、終盤まで競り合っていただけに惜しい内容だった。ともに打力も高いだけに夏に向けて捲土重来を期す。

    花咲徳栄もまた力はありながらも初戦敗退。速球派エース関口が県岐阜商にスクイズなどうまい攻めをされて失点。守備の乱れも痛かった。打線も4番若月(オリックス)の1発など長打力を見せたが、5安打3点に終わった。昨秋は倒した王者・浦学を再び破るため、夏へ向かう。

    同じ関東の常総学院も初戦敗退。注目スラッガー内田(楽天)をはじめとした打線が濟々黌・大竹から9安打を放つも無得点。要所を締められ、常総らしいうまい攻撃は見せられなかった。しかし、エース飯田は内外に投げ分ける投球で4安打2失点。エースの安定感は夏に向けて頼もしい材料になった。

    冒頭で述べたように今年は関西勢の苦戦が目に付いた。

    報徳学園・龍谷大平安の近畿の伝統校2校はともに初戦敗退。乾・福岡の両エースは終盤まで好投を見せていただけに、甲子園の魔物に飲み込まれた印象だった。報徳学園は乾の速球主体の投球が光ったが、常葉菊川の遠藤一人にやられた格好となった。龍谷大平安の左腕・福岡は6回までのノーヒットピッチングがプレッシャーになったか、7回一挙4失点。久しぶりのセットポジションにリズムを崩したか、6回まで抜群のできだっただけに残念な結果となった。

    同じ近畿の京都翔英は敦賀気比と乱打戦に。小谷の逆転3ランなどで敦賀気比に敗れたチームの中では唯一互角に渡り合うなど、近畿王者の底力を見せた。それだけに背番号18のエースで4番・榎本の不調が響き、バッテリーで主軸の2人がノーヒットに。岸本のボールを攻略しきれず、3安打に終わった。

    その他、今大会序盤で敗れはしたが好投が光った投手としては、岩国商業・高橋、大和広陵・立田、履正社・東野、土佐・宅間、いわき海星・鈴木、宇都宮商・飯岡らが上がった。なかでも岩国商業の高橋は沖田・宮崎ら好打者の並ぶ履正社打線を5安打完封。しなやかな腕の振りから切れのあるボールで要所を抑え、大会初日から番狂わせを演じた。

    一方、創成館の大野は強打の仙台育英を前に序盤から失点。上林にワンバウンドのボールをタイムリーされるなどリズムをつかむ前に試合を決められてしまった。

    同じ九州の沖縄尚学は開幕戦に登場。好勝負が期待されたが、先発・比嘉が立ち上がりに捕まりまさかの初回5失点。秋の九州王者が実力を出し切れぬまま甲子園を去る結果となった。

    三重・菰野も西(オリックス)を擁した2008年夏以来の出場だったが、北照の大串の前に完封負け。8安打を放つもホームが遠かった。

    巨人・阿部の母校として知られた安田学園は盛岡大付属と接戦を展開。相手の半分ほどのヒットながら互角の展開に持ち込み、9回には土壇場で4番深見のタイムリーで追いついたが、最後はサヨナラ負け。初勝利は夏以降に持ち越しとなった。

    同じく初出場の春江工は川村監督をしたって集まった生徒が中心となってチーム強化。その成果が出て甲子園出場となったが、強打の常葉菊川に打ち負けた。エース坪田のカーブが攻略され、注目の2年生4番栗原(ソフトバンク)も1安打に終わった。何よりヒット数の差は2本(常葉菊川14本、春江工業12本)ながら95のスコアになったのは、勝負所での長打の数が差を分けた。実力は高いだけに勝利への課題ははっきりしており、夏は再び4強の敦賀気比を倒して、代表の座を狙う。

    益田翔陽、いわき海星の21世紀枠の2校はともに初戦で完封負けも新たな学校の歴史を甲子園に刻んだ。