• 2016年夏 優勝予想

    2020年04月19日

    好投手が揃った大会。BIG3と評される好投手を擁する3チームが優勝候補に挙がるが、そのほかにも好投手が目白押しである。

     

    地区ごとで見ると関東地区に力のあるチームが多い。花咲徳栄常総学院木更津総合横浜にはプロ注目のエースがおり、躍進が期待される。

     

    一方、西日本では波乱が相次ぎ、高松商業明石商業龍谷大平安ら選抜で上位に進んだ強豪が次々姿を消した。敦賀気比大阪桐蔭浦和学院ら近年の甲子園で安定して上位に進んでいた強豪の早期敗退も目に付いた。

     

    そんな波乱もあったなかまずはBIG3擁する3チームから紹介。

     

    履正社は寺島成輝(ヤクルト)がラストチャンスをつかみ、ようやく甲子園出場を決めた。打者を威圧するたたずまいから回転数の多い質の高いストレートを投げ込む。「わかっていても打たれない真っすぐ」を追求してきており、打者がバットの下を振ってしまうシーンも目に付いた。

    もう一人の左腕山口も好投手。寺島とほぼ同じイニングを稼いだ。こちらも柔らかいテークバックから伸びのある真っすぐを投げる好投手だ。履正社の野球の基本は「バント・守備・走塁」。このチームもバントはかなり叩き込まれており、チームの作戦の中核をなす。軸は2年生4番の安田。すでに高校通算ホームランは30本を超え、構えからはあのゴジラ・松井をほうふつとさせるものがある。崩されずにどっしりとした構えからスイングできる左の長距離砲だ。1番福田は打率こそ低いが、内外角ともきれいにはじき返す好打者。3番四川や5番の井町も長打力を秘める好打者で安田を挟んで支える。寺島もバッティングセンスが光る。6番の2年生若林将は監督期待の右の長距離砲だ。守りはショート若林とセカンド北野を軸に堅実。捕手・井町の強肩も光る。これまで何度も苦渋を飲まされてきた大阪桐蔭に肩を並べる絶好のチャンス。優勝を狙いたい。

    横浜は3年ぶりの甲子園出場。エースの藤平(楽天)は身体能力抜群でMAXは152キロを計測する本格派。中学時代は走り高跳びで優勝した実績を持ち、ばねのあるフォームから速い真っすぐと多彩な変化球を投げ分ける。左腕の石川も胸の張りのいいフォームで三振の奪える好投手だ。打線は県大会新記録の14ホームランを記録。公家・増田・村田ら昨年からプレーしていた面々が本領を発揮。下位までホームランが飛び出し、新星・横浜をアピールした。

    昨秋は藤平が常総学院・宮里に逆転弾を浴びて敗戦。一球の怖さを身をもって知ったことでチームはより成長した。ここのところライバル・東海大相模に躍進されているだけに目指すは神奈川勢2連覇。復権を果たしたい。

    花咲徳栄は剛腕・高橋(広島)が春先の不調から完全復活。最速149キロのストレートにフォークボールを交える投球で37イニングを投げて失点0.圧巻の投球で春日部共栄や聖望学園ら埼玉を代表する強豪も寄せ付けなかった。控えの投手陣もほとんど点を取られておらず、守備もショートの岡崎(オリックス)を中心に堅い。1番千丸が選球眼がよく、3番主将の岡崎・4番西川・5番楠本の左トリオが確実に返す。甲子園では各チームの打線のレベルが上がるだけに高橋昴を守備と攻撃でしっかり盛り立てたい。理想の野球ができた先には悲願の埼玉勢夏初優勝が見えてくるだろう。

    この3チームは大会屈指の好投手を擁しているが、決して戦力的にとびぬけているわけではない。これから紹介するチームも優勝する力を秘めている。

     

    常総学院は好左腕鈴木が3度目の甲子園となる。2年春から甲子園出場し、松井裕樹クラスと言われるスライダーを武器に好投。さらに左打者のインコースに食い込むシュートも覚えて投球の幅が広がった。右サイドの倉田も横手投げの技巧派ながら三振の奪える好投手だ。打線は大技・小技を駆使する常総野球が浸透してきた。陶山、石川、有村らは俊足でバントもうまくチャンスメークし、パワーのある宮里、花輪で返す。5番の鈴木も打率こそ低いが打撃センスがある。主将中村を中心にまとまりがよく、選抜で鹿実相手に自分たちの野球ができずに負けた悔しさを晴らして日本一へ。新星・佐々木常総の戦いが始まる。

    木更津総合は春夏連続出場。選抜準々決勝であとアウト一つから敗れた悔しさを胸に夏帰ってきた。実に4試合連続の1点差勝利。勝負強さが光る。エースは押しも押されるサウスポー早川。近年の千葉県でも屈指の投手と言えるだろう。肩関節の柔らかいフォームで打者からボールが見えにくく、前でボールを放せるため打者のバットを押し込める。理想の投球フォームからコントロールよくストレート、スライダー、チェンジアップを高低・内外角に投げ分ける。これほどリードしがいのある投手もいないだろう。捕手大沢のリードも光る。

    打線はチーム打率0.275と決して高くはないが、勝負強さが光る。春から夏にかけて下位打線が力を増し、7番井上、9番大沢らが打点を挙げた。あとは期待の2年生ショート峯村の復活を待ちたい。激戦区千葉の代表として狙うはもちろん全国制覇だ。

    ここ数年関東で最も勢いがある群馬県から2013年夏の王者が戻ってきた。春の関東大会優勝の前橋育英。関東大会決勝ではタレント軍団の横浜を5-1と圧倒した。チームの伝統になっている「攻撃的守備」は健在。エースの佐藤は真っすぐに伸びがあり、空振りが取れる。

    2番手の吉沢も関東大会で花咲徳栄を抑え込んでおり、2枚看板が確立されている。群馬大会では選抜出場の桐生第一・内池との投手戦を制し、決勝では機動破壊の健大高崎に9回裏に追いつかれるも延長10回に4点を奪い、勝ち越した。チーム打率こそ低いものの、集中打と長打力を併せ持ち、油断ならない打線だ。新チームになって公式戦での負けはわずか1敗。3年前と酷似したチームが、得意の先行逃げ切りの形でペースをつかみ、王座奪還を狙う。

    ここまでの紹介だと関東勢の独壇場だが、当然ほかの地区も黙っていない。

     

    智弁学園は史上8校目の春夏連覇を虎視眈々と狙っている。選抜後主将で捕手の岡沢のけがなどもあって苦しい時期があったが、奈良大会では粘りを発揮。優勝投手の村上が打ち込まれる展開のなかで打線が粘って逆転した。その中でも2年生4番の福元は打線の軸として成長しており、県決勝のライバル天理戦では3ランホームランを放った。昨秋4番を打っていた大橋を7番に置き、ポイントゲッターとして活躍している。後は期待の3番太田の復活を待ちたい。村上は本調子ではなかったが、実力は誰もが認めるところ。回転軸が垂直に近い真っすぐを左肩の開かないフォームで内外角に投げ分ける。甲子園本番ではベストの投球をしたい。大本命として勝ち上がれるほどの力はないかもしれないが、選抜同様こつこつと自分たちの野球をやりながら優勝を目指したい。

    選抜ベスト4の秀岳館は九州地区随一の実力を誇る。熊本自身の影響で練習のできない日々もあったが、主将・九鬼を中心にLINEで連絡を取り合い、各自がしっかり練習を行った。

    投手陣は選抜大会で中心となった堀江・有村ではなく、中井・田浦(ソフトバンク)・川端の左腕三人がつないだ。それぞれの持ち味を捕手の九鬼(ソフトバンク)がうまく引き出した。準々決勝の熊本工戦以外は2点以下に抑え、ワンサイドで勝ち切った。連戦に強さを発揮するだろう。一番の長所は打力で、パワーヒッターが並ぶ。突破口を開くのは1,2番の原田・松尾(DeNA)。この二人を中心に春から機動力がプラスされ、5試合で31個の盗塁を奪った。熊本工戦では代打で出た選手が活躍するなど、層も厚い。選抜で見せたノーステップ打法も健在。夏こそ優勝旗を奪い取る。

    東邦は投打の中心・藤嶋(中日)を中心に栄冠を狙う。愛知大会では主戦・藤嶋が絶好調。34イニングを投げて自責点はわずか2.イニングと同じ34三振を奪った。最速146キロのストレートは内外角にコントロールよく配され、カーブ・カットボールで緩急をつける。もう一人の左腕・松山は左スリークオーターから140キロ台の真っすぐとスライダーで力勝負できる。選抜で明石商業・吉高に完封された打線は県大会では0.286に終わったが、ポテンシャルは高い。ミートポイントが打者寄りで引き付けてフルスイングする。4番藤嶋は愛知大会では1安打に終わったが、昨秋の明治神宮大会では2ホームラン。自分のポイントで捕らえたときは果てしなく飛んでいく。その他にも、松山・小西・松本ら1発のある強打者が並ぶ。準々決勝では下位打線で逆転サヨナラ勝ちするなど切れ目はない。軸がしっかりしているだけにまわりがいかにサポートできるか。春4度優勝の東邦が夏の初優勝を狙う。

    以上がトップ集団になるだろう。だが、この他にも玉石混交様々なチームが控える。

     

    春夏連続出場の八戸学院光星は持ち味の強打で悲願の優勝を狙う。選抜で自慢の打線が龍谷平安の市岡に完封されてしまった悔しさを晴らしたい。1番伊藤は打率0.560を記録し、チャンスメーク。3番プロ注目の田城、4番パワーヒッター益田で返す。6番の小林はチーム最多の10打点を記録するポイントゲッターだ。エースの桜井は流れるようなフォームからストレート・スライダーを外角に集める安定感ある投手だ。控えの和田も真っすぐに力があり、選抜の平安戦で好投を見せた。仙台育英と並ぶ東北勢の第一人者として白河の関越えに挑む。

    東北は仙台育英の壁を久しぶりにはねのけた。今春の東北大会で優勝。その東北大会で4強のうち3チームを占めた宮城勢のなかで頂点に立った。エースの渡辺はテークバックのほとんどない「招き猫投法」からコントロールよく投げ込む。怪我がもとで生まれたフォームながらバッターはぎりぎりまでボールが見えないため、打ちづらい。練習でなかなか想定しづらい投手だ。打線はレギュラー全員3割越え。犠打、盗塁が多くつながりのいい打線だ。春の東北大会では3試合連続終盤の競りあいをせいするなど勝負強さも兼ね備える。7年ぶりの甲子園で上位進出を狙う。

    明徳義塾はここ2季連続で甲子園初戦敗退。しかし、投打ともすきのないチームで馬淵監督の采配込みで上位進出も可能だ。エースの中野は縦に落ちるスライダーを武器に三振が奪えるようになった。さらに右横手投げの金津もめどが立ち、低めをつく投球で試合を作る。

    打線は1番立花、2番西村、3番西浦(オリックス)の上位は強力。特に西村はチャンスメークもでき、ポイントゲッターにもなれる攻撃的2番だ。2年生の西浦はヘッドスピードの速い数少ない長距離打者だ。4番捕手の古賀は攻守のかなめで強肩で相手の目を摘み取る。主将高村を中心に全盛期よりは小粒になったが、まとまりのあるチームだ。まずは甲子園1勝を果たし、そこから上位進出を狙う。

    創志学園は154キロ右腕の高田(巨人)を据えて頂点を狙う。松坂2世と呼ばれるだけあってフォームはそっくり。球速だけでなくボールに力があり、高速スライダーと合わせて三振を奪うことができる。課題の立ち上がりを乗り切れれば相手を圧倒できる。打線は難波、北川、湯井ら上位に左打者を並べ、機動力でかき回す。その中で右の高井は貴重な長距離砲だ。県大会では不調だったが、本番では復活を期待したい。県大会決勝では一度ゲームセットになりかけながら、ひっくり返した。何か持ってるチームであり、長沢監督も念願の夏初出場に腕をぶす。

    その他ではチーム打率0.490を記録した山梨学院も注目。清峰時代に優勝監督となった吉田監督に鍛えられ、日本航空・片岡、東海大甲府の松葉・菊池ら好投手を滅多打ちにした。

    強打のトップバッター栗原を旗手にフルスイングが持ち味の常葉菊川や4番今井(日本ハム)を中心に長打力の光る中京、主将大石を中心に逆方向への打撃でつながる打線が持ち味の嘉手納らも打力に自信を持つ。

     

    10年連続出場の聖光学院、6年連続出場の作新学院、5年連続出場の鳴門はそれぞれ鈴木、今井(西武)、河野(日本ハム)とエースを押し立てて上位を目指す。特に鳴門は1年生から甲子園に出ている選手が多く、集大成の夏としたい。

     

    いなべ総合は県立高ながら東邦、高松商業などと互角にわたりあってきた力のあるチーム。名将・尾崎監督の人間力野球で強肩捕手・渡辺を中心に粘り強い野球を見せる。エース・山内、4番藤井を中心として層の厚いチームである。

     

    投手では長身右腕の松山聖稜・アドゥワ(広島)、スライダーの光る広島新庄・堀(日本ハム)、最速145キロの高川学園・山野、変則フォームの唐津商業・谷口も注目だ。樟南の浜屋(西武)・畠中のダブル左腕も力があり、綿谷を中心とした鹿実打線を抑えきった。

     

    打者ではゴジラ2世と呼ばれる星稜・寺西、京都翔英のドカベン石原(楽天)も注目。両チームとも打力の光るチームだ。

     

    県大会決勝で番狂わせを起こした市立尼崎、尽誠学園も注目。平林、渡辺の両エースの出来が鍵だ。

     

    3試合をサヨナラで制した粘りの関東一、清宮擁する早実を下したありんこ軍団・八王子の東京勢の戦いも注目だ。