• 2017年選手権決勝 花咲徳栄vs広陵(14日目第1試合)

    2021年09月09日

    大会14日目第1試合

     

    花咲徳栄

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    2 0 2 0 6 4 0 0 0 14
    0 1 1 0 1 1 0 0 0 4

    広陵

     

    花咲徳栄   綱脇→清水

    広陵     平元→山本→森

    ともに初優勝をかけた2017年夏の決勝は花咲徳栄が序盤から猛打で広陵を圧倒!14-4の大差でついに埼玉の地に深紅の大優勝旗が翻った。

    試合

    広陵の先発はエース左腕の平元。大会終盤にやや調子を落としてリリーフに回っていたが、決勝の大舞台で満を持して先発のマウンドを踏みしめた。

    しかし、花咲徳栄は初回から鋭い打棒で襲い掛かる。1番太刀岡がストレートをたたいてセンター前ヒットで出塁すると、2番千丸には強攻策。カーブをライト線に引っ張って2塁打としてチャンスを拡大する。このあたりは1点勝負ではなく、ある程度点の取り合いを予想して岩井監督が仕掛けてきた。この場面で3番西川(西武)は詰まりながらも、前進守備をあざ笑うかのようにセンター前に落とすヒットで花咲徳栄が幸先よく2点を先取する。

    これに対して、広陵も2番吉岡、3番中村(広島)が連打を放って1アウト2,3塁と一打同点のチャンスを迎える。しかし、続く4番加川、5番大橋が凡退して無得点。強豪校ばかりを相手に見事な戦いを見せてきた広陵だが、大会が進む中でエース平元、4番加川と投打の軸が調子を落としてしまったのは誤算であった。やや力の落ちる相手とぶつかっていれば、その機会もあったかもしれないが、そこは組み合わせの運もあって致し方ないだろう。

    それでも広陵は2回裏に平元が自らタイムリーを放って1点を返すが、3回に入って再び花咲徳栄の上位打線に捕まる。今度は四死球でランナー2人をためると、2アウト2,3塁となって5番須永にはストレートをセンターにはじき返され、再び2点を失う。カーブの制球に苦しむなか、ストレートに狙いを絞られてしまった。

    援護をもらった花咲徳栄の綱脇は3回裏に5番大橋のタイムリー2塁打で1点は失ったものの、ともに最少失点で切り抜ける。切れ目のない広陵打線に対してランナーは背負うものの、勝負所での制球は保ち、多彩な変化球を交えて持ち味の打たせて取る投球に徹した。

    試合の流れをがっちりつかんだ花咲徳栄打線は5回に入ってとどめを刺しに行く。再び1番太刀岡、2番千丸でチャンスメークすると、3番西川は内角寄りのストレートを完ぺきにはじき返して右中間を破るタイムリー3塁打を放つ。決定的ともいえる2点を加え、平元は投げるボールがなくなってしまった。その後は4番野村(日本ハム)、6番高井、9番岩瀬が次々とタイムリーを放ち、守備のミスも絡んでこの回6点を追加。試合の大勢を決めた。

    広陵は再三塁上に走者をにぎわせるも、花咲徳栄の捕手・須永の巧みなリードもあってなかなか大量点に結び付けられない。積極策が裏目に出る場面もあり、どこか2007年の決勝の佐賀北と同じ雰囲気を醸しだす攻撃になってしまった。皮肉にもあの時と同じヒット13本で4点の拙攻であった。

    初優勝へ止まらない花咲徳栄打線は6回にも4安打で4点を追加。勝負所でかさにかかったように攻め立てる攻撃は、一昨年の東海大相模や昨年の作新学院を思い起させるような迫力があった。守っては5回からマウンドに上がった清水(中日)が広陵打線を1点に封じ込める好投。走攻守投すべてに鍛え上げてきたことが結実し、最後は満塁のピンチもしのぎ切ってゲームセット!これまで夏の優勝に縁がなかった埼玉県に初の栄冠をもたらす、堂々の夏制覇となった!

    まとめ

    花咲徳栄にとってはおそらく高橋昴(広島)という大エースを擁した昨年の方がチーム力には手ごたえがあっただろう。しかし、3回戦で当時控え投手だった綱脇が打ち込まれて、不完全燃焼の敗退。2年連続で優勝校に敗れ、全国を勝ち抜くうえで何が足りないか、岩井監督も自問自答する日々だったに違いない。そんななかで、今大会では序盤の先制攻撃、強打の2番千丸をキーとした多彩な攻撃、綱脇清水と2本柱を擁した投手陣に堅実な守備とすべてのピースがかみ合わさっての戦いぶりは見事だった。

    初出場が2001年夏と高校野球界の中では新興勢力に当たる存在だった花咲徳栄。岩井監督も同い年の大阪桐蔭・西谷監督や東海大相模・門馬監督に甲子園の実績でやや水を空けられていた感はあったが、この優勝で堂々真の強豪の仲間入りを果たした。

    一方、敗れた広陵は初戦から強豪との対戦を次々制し、中村というスーパースターも誕生。まさに今年の甲子園の主役と呼べる戦いぶりであったが、最後は花咲徳栄の猛打を抑えきることができず、4度目の挑戦も準優勝に終わった。ただ、この夏まで県大会もなかなか勝ち上がれなかった中でのこの戦いぶりは見事の一言。ここ数年、広島新庄にやや押され気味であったが、広陵健在を全国に示した夏となった。