• 2017年選手権3回戦 大阪桐蔭vs仙台育英(11日目第4試合)

    大会11日目第4試合

     

    大阪桐蔭

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
    0 0 0 0 0 0 0 0 2

    仙台育英

     

    大阪桐蔭   柿木

    仙台育英   長谷川

    優勝候補の大阪桐蔭に仙台育英が挑むといった構図かと思われたが、試合は1点を争う接戦に。最後は9回裏、衝撃の展開で仙台育英が逆転サヨナラ勝ちを収めた。

    試合

    大阪桐蔭の先発はエース徳山ではなく、2年生右腕の柿木。優勝を見据えた投手起用と思われたが、春以降急成長を見せる2年生投手が素晴らしいピッチングを見せる。140キロ台中盤のストレートと手元で動くツーシーム・カットボールを武器に強打の仙台育英打線を翻弄。0行進を続けていく。

    大阪桐蔭はディフェンス力も素晴らしく、特に泉口坂ノ下の二遊間は守備は出色。初回は1アウト1塁から仙台育英の好打者・山田の放った打球を坂ノ下がさばいて併殺に。難なくさばいたように見えるが、少しイレギュラーしたバウンドにも冷静に対処しており、レベルの高いプレー。6回表には2番鈴木の深い位置のセカンドゴロを全く無駄のないプレーでアウトにしたように、抜群の守備で柿木を盛り立てていった。

    守備からしっかり試合を作り、エース徳山のいない中で守りで踏ん張る大阪桐蔭。あとは得点をというところだったが、その前に立ちはだかったのが仙台育英の左腕エース長谷川だった。2回戦の日本文理戦に続いて、しっかり腕を振って投げ込む真っすぐは威力抜群。強気にインサイドを突く投球が光り、課題と言われてきた制球も乱れる様子がない。昨秋の神宮で同じ大阪の履正社相手に8四死球を与えて敗れたが、この1年で着実な成長を見せていく。

    4回表には大阪桐蔭が先頭の3番中川が2塁打を放つも、後続を長谷川が3者連続のセカンドゴロに打ち取って無得点。仙台育英も5回に渡部のセンター前ヒットを足掛かりにチャンスを作ったが、柿木が落ち着いて仙台育英の下位打線を打ち取る。両投手とも抜群の内容で7回まで得点の香りがしたのはこの2回くらいのものだった。

    試合は8回に入り、得点の門を先にこじ開けたのは大阪桐蔭。2番山本ダンテ武蔵が再三苦しめられていたインサイドの真っすぐを引っ張って2塁打にすると、続く3番中川は同じくインサイドのボールを詰まりながらもレフト前に落として、山本が2塁から生還。貴重な先制点を挙げる。ここは長谷川のインサイド攻めを見切っての打撃が光った。

    リードを許した仙台育英だったが、8回裏それまで苦しんでいた柿木の球威あるボールに徐々に対応し始める。

    1アウトから代打・佐藤(2015年準優勝投手の弟)が内角高めのボールをライト前へヒット。このランナーは盗塁を大阪桐蔭・福井に刺されて一度チャンスがしぼむが、続く9番長谷川が四球、1番西巻が死球で塁を埋めると2番鈴木柿木の真っすぐをとらえてレフト前へ運ぶ。

    しかし、レフト山本が浅めの守備位置から見事な送球でランナーを刺し、ホームタッチアウト。1点をめぐるぎりぎりの攻防で大阪桐蔭が踏ん張る。ただこの回仙台育英としても柿木のボールをとらえる手ごたえは感じ始めていただろう。

    9回表、大阪桐蔭の攻撃を併殺でしのぎ切ると、その裏に野球の神様が残酷な試練を用意していた。

    柿木は3番山田、4番佐川と怖い二人を打ち取って、2アウトランナーなし。ベスト8まであとアウト一つに迫るが、ここで5番杉山は柿木の真っすぐに力負けせずセンター前ヒット。盗塁も決めてランナーを2塁に進めると、6番渡部はストレートの四球を選び、ランナー1,2塁となる。

    ここで大阪桐蔭は一度タイムを取って柿木を落ち着かせる。続く7番若山の打球はショートへのゴロ。泉口が確実にさばいてショートへ送球も、一塁の中川がベースを踏めておらず、まさかの満塁に。この場面、中川泉口が二塁フォースアウトを狙うと思って、一瞬一塁へ入るのが遅れたのだった。

    ここで大阪桐蔭は3度目のタイムを取るも、この場面で高校生にうまく切り替えろというのも酷な話だろう。続く代打・馬目が2球目の真ん中真っすぐをとらえた打球は前進守備のセンター藤原のはるか頭上を越え、逆転サヨナラの2点タイムリー2塁打となって、仙台育英が劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。

    まとめ

    仙台育英は素晴らしい粘りでサヨナラ勝ち。監督インタビューで佐々木監督が9回2アウトから出た4人のうち3人が練習中倒れて点滴を打った奴らと話していたように、あきらめない気持ちが最後に王者を土壇場でうっちゃった。また、9回の場面が目立つが、エース長谷川の投球も見事。勝負強い大阪桐蔭打線を相手に強気の投球で逃げ切った。

    前年秋の神宮では同じ大阪の履正社に1-5と完敗したが、1年の時を経て同じ大阪のチーム相手に1年の成長ぶりを見せつける戦いを披露。2010年の開星戦を思い起させるような、仙台育英らしい逆転劇で2年ぶりのベスト8進出を決めた。

    一方、大阪桐蔭としてはまさかの展開で逆転サヨナラ負け。これまで高校野球の試合を数多く見てきたが、3本の指に入るくらい悲劇的な幕切れとなり、柿木中川の2年生にとってはつらい展開となってしまった。大阪桐蔭としてもこういう競った展開の試合を落とすのは久しぶりといった印象だった。

    しかし、昨秋までなかなか勝ち切れなかったチームが選抜以降、勝負強いチームに成長。主将・福井を中心に3年生がまとまり、才能あふれる2年生を引っ張った。泉口坂ノ下の二遊間をはじめ、チームの強さの土台を支えていたのは間違いなく3年生だった。この強さを最強世代ともいえる2年生がどう引き継ぐのか。来年の大阪桐蔭から目が離せなくなりそうだ。