• 2017年選抜1回戦 履正社vs日大三(1日目第2試合)

    2020年05月17日

    大会1日目第2試合

     

    履正社

    12

    日大三

     

    履正社   竹田

    日大三   櫻井→岡部→櫻井→岡部

    試合

    優勝候補同士の注目の1戦。よーいどんで先手を取ったのは日大三だった。初回エース左腕櫻井の切れのあるスライダーが低めに決まり、履正社の各打者が手が出ない。注目の3番安田も空振りの三振。安田は結局3打席連続三振を喫するのだが、前年秋の東京都大会決勝で清宮が5打席連続三振を喫したリプレーを見るようだった。

     

    エースが最高の立ち上がりを見せたその裏の攻撃。履正社の先発竹田がストライクが入らない。彼の持ち味はリリースに力を集約したストレートの切れの良さだが、体重がうまく乗らずリリースポイントをつかみきれない。力の伝わらないボールはすべてお辞儀してしまうため、強打の日大三の上位打線が逃すはずもない。2番大西が右中間を破る3塁打で1番井上を返すと、4番金成の内野ゴロでもう1点追加。まず主導権を握ったのは日大三だった。

     

    履正社の反撃は3回。7番浜内が内角速球をきれいにセンターへはじき返すと送ってランナー2塁から9番西山が高めに浮いたボールをこれまた逆らわずにレフトオーバー。この1点は履正社に勇気を与える1点となった。上位打線が三振を多く奪われながらも下位打線が得点。9番の西山は昨秋は2番を打っていた。こういう打線の層の厚さはさすが神宮王者・履正社と思わせる攻撃だった。

     

    履正社はその後も三振を多く奪われるが、打者が1打席ごとに細かく情報を伝達。徐々に櫻井の低めのスライダーを見極め始める。反撃は5回に再び下位打線から。8番片山四球、9番西山左中間2塁打でチャンスを作ると、1番石田がセンターバックスクリーン付近に逆転の3ランホームラン。ストライクゾーン高めへの目付と失投を1球で仕留める技術の高さ。3回に続き、さすが履正社と感じさせられた。

     

    その後、6回付近で櫻井の球数は早くも100球前後に。昨秋から球数の多さを課題にしていたが、三振を奪うタイプの投手であることと履正社の選球眼で自然と球数は増えていった。

    そして、7回に櫻井が乱調。1試合通して安定しないところはやはり投手経験の浅さからきているか。ストライク・ボールがはっきりし始め、2アウト3塁から2番の溝部にレフト前タイムリーを浴びる。その後も満塁のピンチを招くが、低めのスライダーで4番若林を三振に取ってなんとか難を逃れる。そして、この粘りが日大三の反撃を呼ぶ。

     

    初回以降ピンチを招きながらも無失点で踏ん張っていた履正社・竹田だったが、リリースポイントは定まってコントロールは落ち着いたとはいえ、やはり速球のスピードは彼本来のものではない。緩急がつけにくい中、甘く入った変化球を日大三の井上、大西、櫻井に3連打されて1点差に。この辺りはさすが日大三と思わせる攻撃だった。

     

    8回裏には1アウト2塁から9番捕手の津原が右中間3塁打でついに同点。この時点で日大三が確かに甲子園の空気を支配し始めていた。

     

    だが、9回に落とし穴が待っていた。櫻井が先頭バッターに四球を与えてついに力尽き降板。2番手の右投手・岡部は外角へのスライダーの制球がいい好投手。1番石田を三振に取り、いよいよ日大三の流れか思われた、しかし、2番溝部が低めに決まったスライダーをレフト前へ強引に引っ張り履正社が勝ち越し。

     

    日大三としては配球・コースともに間違っていなかったのだが、こういう失点はだからこそ響く。続く3番安田のところで櫻井が再びマウンドに。しかし、カウントを整えに行って甘く入ったストレートをレフトオーバーに運ばれ万事休す。その後も内野強襲のヒットをアウトにできず、満塁から走者一掃をあびるなどこの回大量7失点。勝負は決してしまった。

    まとめ

    点差以上に紙一重の勝負だったと思うが、やはり試合の決め手となったのは履正社のチーム力の高さ。3番安田、4番若林が完全に抑え込まれながら、下位打線の活躍と意識統一されたチーム戦術で難攻不落と思われた左腕・櫻井を打ち崩した。優勝にはエース竹田の復調が不可欠だが、まだ左腕・松井や速球派の田中も控えており、選択肢は豊富。初戦で優勝候補を破ったことにより勢いに乗りそうだ。履正社としては初の甲子園制覇へ千載一遇のチャンスがやってきたと言えるだろう。

     

    一方、日大三も自力の高さは十分に見せた内容だった。エース櫻井のスライダーは履正社が苦戦するわけだから、全国の強豪にも十分通用するだろう。あとは1試合通してのスタミナとコントロールがつけば、手も足も出ない投手になりそう。敗因としては序盤落ち着かなかった竹田を攻めきれなかったとこにあるだろうが、終盤の猛追は戦慄を覚える迫力だった。豪打と注目左腕のさらなる成長の見込めるこのチームは早稲田実・清宮の最後の夏にとってとんでもなく高い壁になりそうな気配がする。