2017年選抜1回戦 早稲田実vs明徳義塾(5日目第2試合)

2017年

大会5日目第2試合

早稲田実

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 1 0 0 0 0 1 0 2 1 5
3 0 0 0 0 0 0 1 0 0 4

明徳義塾

 

早稲田実     池田→服部→石井

明徳義塾     北本

これが早稲田実の底力なのかと思わされる試合だった。明徳としては九分九厘勝利を手にしていただけに悔しい敗戦となった。

試合

試合は1回表、早稲田実が注目の清宮の痛烈なセンター前ヒットなどで1アウト1,3塁のピンチを招くも4番野村をダブルプレーに仕留めて明徳の左腕・北本が難を逃れる。このプレーが前半の試合の流れに影響したように思う。

その裏、早稲田のウィークポイントである投手力に明徳がうまくつけこみ、注目のスラッガー西浦のライト前ヒットなどで満塁のチャンスを作ると、勝負強い6番今井がレフトへうまく引っ張って2点先取。さらに7番の近本もライト線へ落とす2塁打でもう1点追加。制球の安定しない先発・池田を攻め立てての3点先行はさすが明徳と思わされる攻撃だった。

しかし、早稲田実も2回表反撃開始。雪山四球、橘内レフト前ヒットでチャンスを作ると、秋は1番を打っていた9番野田がライト前にはじき返してすぐさま1点を返す。この1点は明徳に完全には流れを渡さなかった意味で大きいものとなった。

過去の甲子園のデータでは初回に大量点を挙げたチームがその直後の守りで0点にしのいだ場合の勝率は9割6分台を記録しているが、1点でも失点すると途端に勝率は7割付近まで落ちている。やはり、野球は点を取った後の守りが大事になってくる。

2回以降早稲田実は継投した服部が好投。1年夏に甲子園を経験したエースが味方に徐々に流れを持ってきた。ただ、制球が抜群なわけではなく、ボールもすごく走っていた感じはしなかった。どちらかと言えば、明徳のほうが打てるボールを打ち損じているケースが目立ち、この辺りが試合前の注目度と比べると、そこまでのレベルの試合ではなかったと感じてしまう要因になったかもしれない。

明徳のエースの北本はテークバックがコンパクトなフォームから低めに変化球を集めて好投。清宮には外野の最深部にまで打球を運ばれるも、結局ヒットは初回の1本のみに抑えており、よく投げたと言える投球内容だった。

早稲田実の注目の2人に関して言えば、清宮は秋までよりミートポイントを捕手寄りに持ってきており、打撃の内容自体は決して悪くなかった。センターに高く打ち上げた打球は明徳の馬淵監督をして「ものが違う」と言わしめるほどだった。ただ、やはりどうしても左投手に対しては右投手の時よりどっしり構えきれないところがあり、そのあたりは今後の彼のかだいになりそうだ。

一方、4番の野村についてはヒット2本は放ち、右中間に会心の2塁打を放ったが、試合前半の打席内容はあまりよくはなかった。クロスステップで構えて、少しバットが出てきていないところもあり、試合序盤は北本のボールに差し込まれている感があった。この辺りを次の試合までにどう修正してくるかも見ものだ。

さて、試合は7回に早稲田実が当たっている9番・野田のタイムリーで1点差に迫ったが、8回裏に明徳がそれまで3四球の4番谷合がバックスクリーンにホームラン。事実上、この1点で勝負あったかと思われたが…

9回表、早稲田実は先頭の7番橘内が2塁打。橘内も自分のポイントを持ったいい打者でこういう打者を7番に置けるのが早稲田の強みか。まだ2年生であり、来年は野村と中軸を組んでほしい打者だ。その後、成田のヒットなどで1点差に詰め寄るも2アウト1塁。ネクストバッターサークルに清宮を残したまま試合は終わるかと思われたが、2番西田の投手ゴロを北本がまさかのファンブル。甲子園の独特の空気に飲まれたか、まさかのエラーで試合は終わらず。

こうなると北本は完全に我を失い、3番清宮、4番野村に連続四球。まさかの押し出しで同点となって延長戦へ。延長10回、9番の野田がこの試合4打点目となるタイムリーで勝ち越した早稲田が九死に一生を得る格好で初戦を突破した。

まとめ

明徳義塾としては再び甲子園の悲劇の主人公となってしまったわけだが、一番の敗因を挙げるとすればやはり追加点を中盤に取れなかったことだろう。2番手服部の投球内容も完全なものではなく、明徳ならば1,2点は取ってもおかしくない内容だったと感じられる。

中盤以降フライが多くなったことも含めて、この辺りの詰めを夏までに克服したところかもしれない。ここ4季で3度目の初戦敗退であり、初戦に強い明徳伝説もそろそろ尽きてきた感はあるが、力のあるチームだけに昨年のように夏の躍進を期待したい。

 

そして、冷や汗もので勝った早稲田実だが、清宮野村の存在感やリードされても慌てない戦いぶりはさすがと思わせるものだった。ただそれでも早稲田実の優勝に懐疑的になってしまうのは、やはり投手陣の不安定さだろう。今日も失点こそ2イニングしかしていないが、投球内容は決して安心できるものではなかった。

今後、好投手相手に点が取れない時や、明徳以上の強力打線と相対するときに果たしてどのように応じていくか。いつまでも清宮の神通力(?)に頼るわけにもいかないので、やはり2015年夏の松本のように軸となる投手が出てくることが待ち望まれるだろう。

次戦の相手は曲者の東海大福岡。エースの安田は右サイドで清宮からしたら見やすいかもしれないが、テンポとコントロールは抜群の好投手である。さらに、そこを超えたとしても次の相手は静岡か大阪桐蔭。早稲田実の王貞治氏以来の選抜優勝へは茨の道が続いている。

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