• 2019年選手権1回戦 熊本工vs山梨学院(5日目第2試合)

    大会5日目第2試合

    山梨学院

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
    2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
    0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 3

    熊本工

     

    山梨学院  相澤

    熊本工   蓑茂→村上

    23年ぶりの対戦となった両校の対戦は、お互いの投手陣が踏ん張って延長戦に突入。最後は熊本工・山口の劇的なサヨナラ弾が飛び出し、熊本工が2013年以来の白星を手にした。

    試合

    23年前の対戦では山梨学院大付属の好左腕・伊藤(ヤクルト)を熊本工の強力打線が攻略。勢いに乗って決勝まで進出し、あの伝説のバックホームが飛び出した名勝負を演じた。

     

    熊本工は当時と同じく、今大会も強力打線が持ち味。熊本大会では済々黌、東海大星翔、九州学院といった強豪校を打力で撃破し、準決勝では有明の剛腕・浅田(DeNA)も攻略してみせた。好調の1番田中亮を中心に上位から下位まで切れ目なく、機動力も絡めて大量点をたたき出す。投手陣は蓑茂の2人の左腕が交互に先発し、2年生右腕・村上が締めるのが必勝パターン。強打・熊工らしく打ち勝つ野球で勝ち進みたい。

     

    その熊工以上に打力に自信を見せるのが山梨学院。3季連続の甲子園出場であり、選抜では札幌第一を相手に24得点の猛打で全国を震撼させた。選抜で2番を打っていた菅野が4番に座ったことで打線に厚みが増し、プロ注目の主砲・野村のマークも分散された。投手陣は5人がマウンドに上がったが、相澤佐藤の左右の両輪が軸。ともに試合経験は豊富であり、失点は計算できる。今年は同校初の甲子園2勝に挑む。

     

    立ち上がり、熊本工の先発左腕・蓑茂に対して山梨学院の強力打線が牙をむく。ややボールが高めに浮きがちなところをとらえ、2番宮崎・3番相澤が連打を放って1.3塁とチャンスを作ると、4番菅野の内野ゴロの間に1点を先取。さらに5番野村がライト前ヒットで再び1.3塁とすると重盗で相手の悪送球を誘ってもう1点を追加する。打つだけでなく、足も使って追加点を奪ったあたりに、選抜からの攻撃の幅の広がりを感じさせた。

     

    このままだと選抜のような大量点の入る展開になるかと思われたが、熊工バッテリーが2回以降落ち着きを取り戻す。緩いボールをうまく混ぜて緩急を使い、制球がままならない中でも工夫して抑えていく。熊本大会で強豪を相手に競り勝ってきた経験が活きたか、蓑茂は2回以降はランナーを背負いながらも無失点でしのいで見せた。

     

    守りからリズムをつかんだ熊工打線が山梨学院の相澤をとらえたのは4回裏。先頭の2番吉山が四球を選ぶと、2アウト後に5番がレフト方向の浜風に乗った2塁打を放ち、ランナー吉山の好走塁もあって1点を返す。さらに、6番青山も3塁線を破る2塁打を放ち、がかえって同点。打者2巡目に入って徐々に相澤の球筋にも慣れ始め、一気に試合を振り出しに戻した。

     

    その後、試合は一進一退の攻防となる。熊工は6回からリリーフエースの村上をマウンドに送り、山梨学院打線に攻め込まれながらも踏ん張る。一方、4回に同点に追いつかれた相澤も5回以降は再び変化球を丁寧に低めに集めて、内野ゴロの山を築く。23年前は12-4と大差がついてしまったが、この日は今大会でも屈指の好ゲームを展開していった。

     

    山梨学院は選抜以降に打順を組み替え、菅野野村と強打の2人を4,5番に並べたが、この日はなかなか功を奏さない。8回には菅野の死球と野村のヒットで初めてつながりを見せ、満塁までチャンスを拡大するも、8番小吹がセンターフライに倒れて無得点。勝負所で低めに突き刺さる村上の真っすぐに各打者が差し込まれてしまった。

     

    10回表にも3番相澤、5番野村にヒットが出ながら後続が続かない。すると、圧倒的に攻め込みながらも得点に入らない山梨学院に対して、押され気味の熊本工が長打で試合を決する。延長12回裏、1アウトランナーなしから7番山口がアウトコースの真っすぐをとらえた打球はセンター方向にぐんぐん伸びる。センター渡辺が懸命に追うも、打球はバックスクリーンに飛び込むサヨナラホームランとなり、勝負あり。熊本工が夏30勝目となる記念の勝利を劇的な形で飾り、2回戦進出を決めた。

    まとめ

    熊本工は例年強打が持ち味で、今年もその例に漏れないチームだが、この日は守り勝ちの印象が強かった。先発・蓑茂、リリーフ・村上とともに山梨学院の強力打線に対して粘り強い投球で失点を初回の2点のみに抑えた。内外野もエラーはあったものの、勝負どころでは堅い守りで投手陣を援護した。自慢の強打がなかなかさく裂しなかったが、伝統校らしいしぶとい野球でサヨナラ勝ちを演出。熊工健在を全国にアピールする勝利となった。

     

    敗れた山梨学院は自慢の強力打線がヒットを連ねながらもなかなか得点に結びつかず。選抜に続いて九州勢相手に涙をのんだ。右のエース佐藤が故障で登板できない中で、エース相澤は孤軍奮闘。140球を一人で投げ抜き、仕事を果たした。それだけに打線の援護がなかったことが惜しまれた。選手の能力は申し分ないレベルであり、優勝経験のある吉田監督も招いて、ここ数年は出場回数を重ねている山梨学院だが、今年も甲子園2勝達成はならなかった。