• 2019年選手権3回戦 星稜vs智辯和歌山(11日目第2試合)

    大会11日目第2試合

    智辯和歌山

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    星稜

     

    智辯和歌山  小林→池田陽

    星稜     奥川

    3回戦で実現した優勝候補同士のガチンコ勝負は期待を裏切らない2019年の甲子園ベストゲームに!延長14回裏に星稜・福本のサヨナラ3ランが飛び出し、タイブレークまでもつれ込んだ熱戦に終止符が打たれた。

    試合

    星稜は2回戦を投手陣総動員で制し、エース奥川(ヤクルト)の負担を軽減して3回戦へ進出してきた。3回戦での大一番を想定したものにも感じられたが、初戦で1得点のみの打線の援護もあって無事に乗り切った。7番福本に強攻を指示して局面を打開するなど、林監督の打線に対する自信も垣間見えた。奥川は150キロ台の速球と高速スライダーを武器に調子は万全。強打・智辯に真っ向勝負する準備はできている。

    対する智辯和歌山は2回戦の明徳義塾戦で1イニング3ホームラン7得点の大暴れ。打ちだしたら止まらない猛打は今年も健在であり、智辯打線の威力を知らしめた。投手陣も2試合連続で1失点にまとめており、エース池田陽を中心に質量とも豊富な投手陣を擁する。中谷監督になってからバランスの取れた布陣になっており、東妻(DENA)、西川黒川(楽天)の5季連続出場メンバーを中心に強敵を迎え撃つ。

     

    星稜はエースの奥川を先発マウンドに送ったのに対して、智辯和歌山は選抜の明石商戦で好投を見せた2年生右腕・小林(広島)が先発した。本人の強い希望もあり、期待の速球派右腕がどういうピッチングを見せるか注目が集まった。

    奥川は立ち上がりから素晴らしい投球を展開。150キロ台の伸びのある速球にスライダー、タイミングを外すチェンジアップを交え、4回まで無安打ピッチングを見せる。さしもの智辯和歌山打線もこれだけのボールを投げられてはなかなかまともにとらえるのは難しい。相手打者のストレート狙いも察知して変化球主体でかわすクレバーさも見せる。

    対する智辯和歌山の小林も真っすぐの質のよさはプロも注目する好投手。立ち上がりからランナーは背負うも、伸びのある速球にスライダー、スプリットを交え、序盤3回は得点を与えない。自ら登板を志願したこともあり、大一番に物怖じしないところを見せる。

    星稜・奥川が常人離れした投球をする中で、先制点を与えたくない智辯和歌山。しかし、4回裏に小林がつかまってしまう。先頭の6番福本にストレートをとらえられると、犠打で1アウト2塁となって8番大高にも高めに外したストレートをとらえられて1アウト1,3塁となる。ここで9番山瀬に犠飛が生まれ、星稜が1点を先制。投球の軸となるストレートを打たれ、小林はここでマウンドを降りる。

    前半の5回で10三振を奪われ、得点の気配すら感じられなかった智辯和歌山だったが、グラウンド整備を終えた6回にチャンスを迎える。1アウトから9番綾原のサードゴロがエラーを誘発して出塁すると、1番黒川のゴロの間に二進。2番細川(日本ハム)は死球で歩くと、3番西川がストレートをライトへ打ち返して2塁走者を迎え入れて同点に。コーチャーの指示を振り切ってホームへ突っ込んだ2塁走者の走塁も光った。

    ここからは両チームともに我慢の展開が続いた。奥川はわずかな乱れを突かれたとはいえ、調子自体は素晴らしく、7回以降は再び智辯和歌山打線の前に立ちはだかる。終盤になっても全く球威が落ちる様子はなく、試合前の「白球の記憶」で流れた横浜・松坂(西武)の延長17回の投球を彷彿とさせる内容で0を重ねていく。

    一方、智辯和歌山も6回裏から予定通りエース池田陽をマウンドに送る。県大会までは監督や主将・黒川を不安にさせる内容も見られたが、甲子園に来てからはエースの貫禄を見せる投球が続く。この試合も力のあるストレートにカットボール、チェンジアップと小さな変化のボールを混ぜて打たせて取っていく。バックも捕手・東妻を中心に星稜の機動力を封じ、得点を許さない。

    智辯和歌山は5季連続、星稜は4季連続の出場であり、両チームの集大成を見せ合うような試合展開。お互いに強力打線とプロ注目の好投手を擁するが、この試合では鍛え上げてきた守りが光る。特に智辯和歌山は奥川の前に三振の数が積み重なり、チャンスらしいチャンスも生まれない中で、エース池田陽を中心とした堅いディフェンスで踏ん張る。試合はあっという間にタイブレークとなる13回に突入していく。

    13回表には智辯和歌山のバントを奥川が好フィールディングで刺す。バントすら難しい球威のあるボールを延長13回になっても投じ続ける奥川がもはや高校生の域ではないゾーンに入っていた。後続も打ち取り、得点を許さない。対する智辯和歌山も星稜のバントをファースト佐藤がチャージしてきてサードで刺し、お互いに相手のバントを失敗させる。両チームとも3回戦で敗退させるのが実に惜しまれる好チームだった。

    迎えた14回表に智辯和歌山は無死1,2塁で1番黒川と絶好の場面を迎えるが、バント失敗に終わる。これまで甲子園では打ちまくってきた黒川だったが、この夏はどうしても調子が上がらなかったのが智辯和歌山としては誤算であった。

    そして、球史に残る試合は劇的な結末を迎える。智辯和歌山は再び5番奥川のバントをサードで封殺し、ピンチを免れるかと思われたが、続く6番福本池田陽のスライダーをバット一閃。打球は左中間スタンドに飛び込むサヨナラ3ランとなり、球場が両チームのナインへの拍手で包まれる中、延長14回に及ぶ死闘の幕は閉じた。

    まとめ

    星稜にとってはこれまで好勝負をしながら勝てないイメージが多かったが、そんな印象を払拭するサヨナラ勝ちであった。奥川のは終盤に入っても150キロ台を連発し、あの怪物・松坂を超えたのではないかとさえ思わせる投球内容であった。打線は智辯和歌山の堅守の前になかなか得点を挙げられなかったが、最後は福本が殊勲打でエースの好投に報いた。

    前年済美にタイブレークの末に敗れた悔しさを晴らし、石川県勢初の栄冠に向けて大きな関門を超えた試合となった。

     

    一方、智辯和歌山は奥川にこれだけの投球をされながら延長14回の好勝負に持ち込んだ粘りと総合力の高さは特筆ものであった。投攻守すべてにおいてスキのないチームであったし、智辯和歌山史上でも屈指の好チームだったことは間違いなく、中谷監督の指導力の高さを証明するものであった。特にエース池田陽は2回戦の明徳義塾戦に続く好投で、サヨナラ弾こそ浴びたものの、紛れもない智辯和歌山のエースの投球であった。

    ベスト8進出はならなかったが、前年夏は近江に初戦敗退を喫し、秋の近畿大会・選抜と明石商に連敗して悔しさを積み重ねてきたチームが、大きな成長を遂げたことを証明する試合であった。

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