大会4日目第4試合

鶴岡東

1	2	3	4	5	6	7	8	9	計
0	0	0	0	3	0	0	1	2	6
0	1	1	0	0	0	0	0	2	4

高松商

鶴岡東　　　影山→池田

高松商　　　香川

好左腕を擁する秋の四国王者に対して、鶴岡東の強力打線が中盤以降爆発。持ち前の長打力を活かした攻めで得点を重ね、2015年以来4年ぶりの勝利をものにした。

試合

高松商は前年秋の四国大会を制覇し、選抜でも春日部共栄を圧倒して1勝をマーク。この夏も本来なら有力候補の一角に上がるはずだったが、エース香川が持病の腰痛がなかなか回復せず、リリーフの中塚らの力を借りながらなんとか勝ち上がった。それでも、指にかかった時のキレのあるボールは四国屈指の左腕であることを証明するものだ。打線も春までレギュラーだった立岩や新居に代わって安部や笠居が台頭し、つなぎの意識で得点を上げる。23年ぶりの出場でまずは春に続く1勝を狙う。

一方、鶴岡東は山形大会で羽黒や山形中央といった強豪を相手に、勝負所でホームランが飛び出して接戦をものにした。上位から下位までバットを振り切る意識が浸透しており、過去出場した中でも打力はトップクラスだろう。投手陣は技巧派左腕の池田と真っすぐに角度のある本格は左腕・影山の2人が主力。タイプの違う2人の継投でうまく相手の攻撃をしのぎたい。3年前に甲子園初勝利を挙げており、今回は1大会2勝以上を狙う。

序盤、高松商の香川は鶴岡東の各打者がベースよりに立つことでややインコース攻めに苦労していたが、決め球のチェンジアップを武器に強力打線を封じ込めていく。安部の強気のリードも冴え、徐々にペースをつかんでいく。

長打力が持ち味の鶴岡東に対して、粘りの高松商がまず先手を奪う。鶴岡東の長身左腕の影山に対して、2回裏に選抜以降レギュラー入りした安部と笠居のヒットでチャンスを作ると、9番石丸がインコースのスライダーを引っ張って1点を先制。3回裏には春以降4番に座った岸本のタイムリーでもう1点と、選抜以降台頭したメンバーの活躍で試合を有利に進める。

ペースを握られた鶴岡東だが、強いスイングで徐々に香川に圧力をかけていく。その成果が表れ始めたのが5回表。7番宝田が香川のチェンジアップをとらえてチャンスを作ると、1アウト2塁から1番河野がインコースのストレートを強烈に引っ張って1点を返す。この一打は高松商バッテリーにさらなる圧力をかける。続く上位打線に対して四死球を与えて満塁とすると、5番丸山がとらえた打球は3塁ベースに当たって跳ねるラッキーなタイムリーとなって逆転に成功する。

追う展開となった高松商は6回裏に影山を攻め立て、安部・浅野の連打などで2アウト満塁のチャンスを作るも、県大会から調子の出ない1番飛倉が三振に倒れて無得点。影山が渾身のストレートで攻め抜き、流れを相手に渡さなかった。

追加点の欲しい鶴岡東は、序盤から続けていたインコース潰しが終盤になって功を奏する。球数がかさんできた香川に対して、高めに浮いた変化球を確実にとらえ、丸山・森の連続2塁打で追加点。さらに9回表には強打の2番竹花がインサイド甘めのストレートを完ぺきにはじき返してポールに当たる2ランホームランとして勝負あり。勝負所で長打の飛び出す鶴岡東らしい攻撃だった。

なんとか反撃したい高松商は、2番手の左腕・池田から2番大塚が四球を選ぶと、3番谷口の右中間へのタイムリー3塁打と内野ゴロで2点を返し、意地を見せる。しかし、最後はこの日2安打の安部がショートフライに打ち取られてゲームセット。互いに持ち味を発揮した試合は、鶴岡東が6-4で高松商を下し、2015年以来4年ぶりの夏1勝を挙げた。

まとめ

鶴岡東はパワー全開の攻撃で好左腕・香川を攻略。打力で東北勢が四国勢を圧倒する試合は昔の高校野球とすっかり立場が入れ替わり、時代が変わったことを感じさせる。影山、池田とタイプの違う両左腕もそれぞれ持ち味を発揮。近年、躍進の続く山形勢にあって、鶴岡東もその流れにしっかりと乗っている感があり、今後の活躍にも期待がかかる。

一方、高松商にとってはこの年代は選抜で準優勝した2016年と同じくらい期待のかかったチームだったが、エース香川をはじめ怪我や不振に苦しみ、本来の力が発揮できなかった。それでも敗戦の中にあって、高松商らしい粘り強さは随所に見せており、伝統はしっかりと受け継がれていた。長尾監督就任以来、確実に復活の流れを刻んでおり、再び甲子園で高松商のユニフォームを見る日もそう遠くはなさそうだ。