2019年選手権2回戦 智弁和歌山vs明徳義塾(8日目第3試合)

2019年

大会8日目第3試合

智弁和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 7 0 0 7
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1

明徳義塾

 

智弁和歌山  矢田→池田陽

明徳義塾   新地→服部

2002年、2014年に続いて3度目となった常連校同士の激突は終盤に智辯和歌山打線が爆発!3度目の正直で難敵を撃破し、3回戦進出を決めた。

試合

智辯和歌山は1回戦で中谷新監督になってからの夏の甲子園初勝利を飾った。捕手東妻(DeNA)、ショート西川、セカンド黒川(楽天)とセンターラインに5季連続出場の選手が並び、投攻守にバランスの取れた好チームとなっており、スキのない陣容と言える。投手陣はエース池田陽を中心に左右取りそろえた充実の陣容。打線は選抜から1年生ながら将来性を期待されて4番に座る徳丸の周りを上級生が固めており、バランスの取れた布陣と言えるだろう。

一方、明徳義塾は2年ぶりの甲子園出場で経験者は少ないものの、1回戦は明徳らしいそつのない戦いで勝ち上がってきた。1番古澤、5番奥野など、走力と技術を兼ね備えた選手が多く、派手さはないもののスキを見せるとすぐに付け込む力は持っている。投手陣は林田山田新地の3人の投手の継投でしのいでおり、この試合も馬淵監督の投手起用に注目が集まる。

 

両校ともに先発は1回戦と異なり、智辯和歌山が矢田、明徳義塾が新地とともに2年生の技巧派左腕をマウンドに送った。打力では智辯和歌山に分があり、明徳義塾としては新地が粘っている間に少ないチャンスを活かしてリードを奪い、相手を慌てさせたいところだ。高知県大会決勝での好投を再現できるか。

その新地が内外野の好守にも助けられて立ち上がりを3人で切り抜けると、初回に明徳にチャンスが訪れる。期待の1番古澤が変化球をうまく拾って出塁すると、犠打で二進。さらに3番鈴木の死球でランナーをためると、5番奥野は甘く入ったストレートを逃さず、レフトへはじき返す。しかし、レフトの好返球でランナーは突っ込めず、後続が打ち取られて無得点に終わる。明徳としては相手先発が落ち着く前に得点を挙げたいところだった。

この後、両先発左腕の好投で試合は投手戦となる。新地がキレのあるボールをコーナーに投げ分けていけば、矢田も変化球をうまく振らせる投球で明徳にチャンスを与えない。智辯和歌山は多彩な投手陣を擁するが、それぞれの投手の持ち味をしっかり引き出す捕手東妻の好リードも見事だ。

智辯和歌山はバランス型のチームに生まれ変わったとはいえ、やはり打撃にこだわりは持つチーム。先取点を奪って主導権を握りたいところだが、新地相手にヒットこそ出るものの、なかなか攻撃がつながらない。2回には併殺でチャンスがつぶれた後に2塁打が飛び出すなど、ちぐはぐな攻撃となってしまった。

こうなると、自力で劣る明徳にとっては願ってもない展開となる。4回、5回とピンチをしのいで迎えた5回裏、1アウトから1番古澤が死球で出塁。犠打で二進すると、3番鈴木が初球のストレートを見事にはじき返し、センターへのタイムリーとなって1点を先制する。明徳としては理想的な展開で主導権を握った。

智辯和歌山は6回にもヒットのランナーを出しながら無得点。6安打を放ちながら、攻撃がつながらずもどかしい展開が続いた。球場の雰囲気も徐々に明徳よりに傾きつつあり、嫌な流れで試合は進む…

しかし、この流れを変えたのは6回からマウンドに上がったエース池田陽であった。6回の相手の攻撃を3人で片付けると、7回表に1アウトからその池田陽が真ん中寄りのストレートをとらえると、好走塁も絡めてセンターへの2塁打とする。エースの作り出したチャンスにチームが燃えないわけがない。9番綾原がファースト強襲の当たりでつなぎ、最高のおぜん立てで1番主将の黒川に回す。

ここまで大会無安打の黒川。やや巻き込むようなスイングが目立っていたが、ここはセンターへの意識を取り戻す。フルカウントからストレートをやや打たされた形となったが、打球はショートの前で大きく跳ねてセンターへ抜けるタイムリー!主将の気迫が乗り移ったような打球で得点をもぎ取った。

こうなると、智辯和歌山の勢いは止まらない。球数が100球を超えて疲れの見える新地から、2番細川(日本ハム)は真ん中よりのストレートをフルスイング。打球はライトスタンドへ飛び込む勝ち越しの3ランとなり、一気に智辯和歌山がリードを奪う。さらに2アウト後に5番根来、6番東妻にもホームランが飛び出し、2008年の同校が成し遂げて以来となる1イニング3ホームランの猛攻で一挙7点のビッグイニングを作り出した。

この回、新地のストレートにやや勢いがなくなったとはいえ、各打者の狙いを絞っての迷いのないスイングが見事。策士の馬淵監督としてもどうにもできない攻撃を見せつけた智辯和歌山が終盤の明徳の攻撃を危なげなくしのぎ、会心の内容でベスト16進出を決めた。

まとめ

智辯和歌山にとっては終盤までフラストレーションのたまる内容にはなったが、7回に一気に相手の牙城を突き崩した。勝負所で打たされる展開が続いたが、試合の流れを変えたのはなんといってもエースの池田陽だっただろう。明徳の攻撃をぴしゃりと抑えると、7回には気迫の走塁で2塁を奪い、猛攻を引き出した。

そして、風の助けもあったとはいえ1イニング3ホームランの攻撃はさすがの一言。失投を一発で長打にしとめる攻撃は智辯和歌山の伝統と言えるだろう。最高の展開で難敵を退け、星稜とのV候補対決へと進んだ。

 

一方、敗れた明徳としては終盤まで新地の好投と内外野の鍛え抜かれた守りで相手の攻撃をしのぎ、狙い通りの展開に持ち込めていた。選手個々の能力では劣る中でも守りと一瞬のスキを突く攻撃で互角の展開に持ち込むあたりはさすが明徳であった。最後は新地の疲れとちょっとした守備のほころびが重なってしまったが、明徳らしさは十分見せた試合内容であった。

[高校野球2019夏2回戦] 智辯和歌山 VS 明徳義塾 – YouTube

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