2019年選手権2回戦 高岡商vs神村学園(7日目第4試合)

2019年

大会7日目第4試合

神村学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 1 0 2 3
0 0 0 2 0 0 1 1 × 4

高岡商

 

神村学園  田中瞬→中川

高岡商   荒井

常連校同士の顔合わせとなった2回戦は、最終回まで目の離せない展開に。エース荒井の熱のこもった投球で1点差を守り抜いた高岡商が2年連続で3回戦進出を決めた。

試合

神村学園は佐賀北との九州対決を制しての2回戦進出。序盤のスピーディーな攻めで奪った得点を2年生エース田中瞬の丁寧な投球で守り抜いた。打線ではこちらも2年生の5番田中大が2打点を挙げる活躍。2年生の田中コンビの出来がこの試合もカギを握りそう。過去夏の甲子園では3度2勝目の壁に阻まれており、この試合で4度目の正直で甲子園2勝を狙う。

一方、高岡商は初戦で石見智翠館の粘りに苦しみながらも延長でかろうじて振り切って初戦を突破した。1番森田、2番井林、4番ら経験者を上位にそろえた打線は破壊力十分であり、特に森田は一人で4打点を挙げる大暴れだった。荒井はサイドハンドからのくせ球と球威が持ち味。前の試合では終盤に球威が落ちたところで打ち込まれたが、序盤はコーナーを丁寧に突く安定感のある投球が光った。こちらは2年連続の3回戦進出を目指す。

 

序盤は静かな投手戦で試合は推移。神村学園の田中瞬が低めを丁寧について打たせて取れば、高岡商の荒井はスライダーとシュートを使った横の攻めで神村学園打線を打ち取る。特にスタメンに右打者が7人並ぶ神村学園打線にとっては、インサイドに食い込んでくる荒井のボールに非常に手を焼いていた。

先制点を果たしてどちらが奪うかという展開の中、先に相手投手を捕まえたのは打撃力でやや分がある高岡商だった。4回裏、死球で出塁の4番が暴投で二進すると、5番藤井がスライダーを狙いまして右中間にはじき返して1点をもぎ取る。さらに内野ゴロの間に二進すると、7番荒井もスライダーをセンターに返してもう1点追加。田中瞬のスライダーに的を絞ってセンターから逆方向へ返す見事な打撃だった。

反撃したい神村学園だが、荒井の球威あるボールの前に6回まで2安打無得点と苦しむ。スライダーを狙っていこうとするも、インサイドのボールを使って簡単に踏み込ませない高岡商バッテリーの攻めもあって思うような打撃をさせてもらえない。

ようやく反撃の機会が巡ってきたのは7回表。初戦同様に終盤に入ってやや球威の落ちてきた荒井から初得点を刻む。先頭の3番古川がきれいにスライダーをセンター返しすると、好調の5番田中大はアウトコースのストレートをライトへ引っ張る。スイングに迷いがなくなってきた中で、6番松尾がインサイドやや甘めのストレートをセンターに返し、1点を返す。苦しんでいたインコースのボールにようやく対応した一打だった。

反撃の機運が高まってきた神村学園だったが、今度は高岡商打線が疲れの見える田中瞬をとらえる。6番石黒和がストレートを完ぺきにとらえて2塁打にすると、犠打で3塁に進めてチャンス拡大。ところが、サイン違いで3塁ランナーが挟殺され一瞬でチャンスが消滅する。

高岡商としては嫌な流れとなるが、打者の8番菅澤がすぐさま2塁打を放って再びチャンスを作ると、9番鈴木はしぶとく内野安打でつなぐ。ここで1番森田が高めの釣り球をセンターに返して貴重な1点を追加する。ボーンヘッドでチャンスをつぶした後に強打で流れを強引に引き戻した印象の得点であった。

さらに8回裏にも変わった2番手中川から3番石黒優の2塁打を足掛かりに大きな1点を加える。高岡商打線のスイングスピードの速さが確実に神村学園バッテリーにプレッシャーをかけ続けた。

3点のリードをもらって最終回のマウンドに登った荒井だが、ここから神村学園打線の粘りに苦しむ。先頭の代打・仲間を死球で出しながら2アウトまでこぎつけるも、7番田中天のサード強襲安打で1点を返す。ここで8番松尾のセカンドフライをセカンドが落球してしまい、甲子園は不穏な空気に包まれる。すかさず、代打・井上がアウトコース低めのスライダーに食らいついてタイムリーをついに1点差に詰め寄る。

風雲急を告げた甲子園の雰囲気に高岡商のバッテリーも飲まれかけていたか。しかし、最後は1番の森口をセカンドゴロに打ち取ってゲームセット。高岡商が2試合連続でひやひや物の勝利を手にし、2年連続で3回戦進出を果たした。

まとめ

高岡商は2年連続で16強入りし、確実に地力のついてきた感のある勝利であった。冬場の素振りで築き上げたスイングは力強く、特に上位打線の振りの鋭さは他の強豪校と比較しても決して見劣りしないものがあった。また、エース荒井も球威のあるボールを内外に散らし、相手の研究を上回る投球を見せた。夏の甲子園で安定した戦いを続ける高岡商が着実に存在感を増してきている。

一方、敗れた神村学園も堅守を武器に食らいついたが、最後は1点及ばなかった。できれば、先手を取って試合を進めたかったが、荒井の投球の前に序盤はなかなかランナーが出ず、得意の機動力も活かせなかった。エース田中瞬は高岡商の強力打線を終盤までよく抑えていたが、最後は相手の強打に屈する形となった。それでもミスは少ない試合内容であり、自分たちのやるべきことはしっかりやり切れた試合に映った。

【第101回 2回戦7日目第4試合フル】神村学園vs高岡商 2019年8月12日■全国高等学校野球選手権大会(甲子園) – YouTube

コメント

タイトルとURLをコピーしました