2020年交流試合 帯広農vs健大高崎(5日目第2試合)

2020年

大会5日目第2試合

帯広農

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 2 1 0 1 0 0 0 0 4
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1

健大高崎

 

帯広農   井村→水上

健大高崎  下→長谷川→朝井→橋本拳→鈴木

21世紀枠で出場の帯広農と関東王者・健大高崎の試合は戦前の予想をかわして帯広農が着々とリードを奪う展開に。格上の相手に自分たちの野球を貫き、見事ジャイアントキリングをやってのけた。

試合

健大高崎は近年夏の代表をかけた戦いで前橋育英に敗れ続けていた。しかし、昨秋は従来の「機動破壊」という概念を超えて、相手が何をやってくるかわからない「スペクタクル野球」を確立。秋の関東大会を制して、神宮でも準優勝に輝いた。また、エース左腕・は最速143キロの速球とスライダーを武器にする本格派であり、イニング数を上回る三振を奪って、エースとしてチームを牽引した。新たな強さを身に着けた関東王者がどういう戦いを見せてくれるか。

対する帯広農もチーム打率4割を記録した強打と堅守が売りのチーム。打率6割6分7厘と大当たりだった5番水上を中心に上位から下位まで切れ目のない打線を形成する。北海道大会では甲子園出場経験のある強豪・武修館に8-7と打ち勝つなど、多少の失点は跳ね返す自信を持つ。投手陣は井村千葉俊水上と安定感のある右腕3人でつなぎ、内外野も堅守で投手陣を支えてきた。雪の舞う北の大地で鍛え上げた実力を創立100周年の夏に発揮できるか。

 

健大高崎はエースの、帯広農は主将の井村が先発。立ち上がり、帯広農打線は2番佐伯がストレートをセンターにはじき返して出塁。盗塁失敗で無得点には終わったものの、のボールに対して積極的にスイングをかけていく。一方、帯広農の井村に対して、健大高崎打線は1番山畑が四球で出塁。しかし、後続を落ち着いた投球で打ち取って健大高崎の「仕掛ける」野球を封じこめる。

初回の攻防で落ち着いたか、2回表、帯広農が先制点をたたき出す。1アウトから5番水上が四球を選ぶと、6番はバスターでレフト前にヒット。さらに7番村中もストレートをはじき返して満塁とチャンスを拡大する。ここで9番谷口がインサイドのボールを詰まりながらもライト前にはじき返して、2者が生還。帯広農がまず一歩前に出る。

立ち上がりからストレート狙いでシャープなスイングを繰り出し、ヒットを積み重ねた帯広農。ややボールがばらつき気味の下に対してストレートに力負けしないスイングの強さが光った。

対する健大高崎も秋の関東王者として引き下がるわけにはいかない。1アウトから7番古滝が右中間の真ん中を破る当たりを放つと、快速を活かして一気に3塁を陥れる。相手守備陣に圧力をかけるには十分な快速ぶり。続く8番中田のサードゴロで古滝が飛び出して挟殺されるが、残った2アウト2塁から8番戸丸がレフトフェンス直撃の2塁打を放ち、すぐに1点を返す。

健大高崎にとってはさあここからというところだったが、帯広農が流れを渡さない。先頭の2番佐伯がラッキーな内野安打で出塁すると、1アウト後に佐伯が盗塁を敢行。捕手の送球がそれて一気に3塁に進む。ここで4番前田の初球に間髪入れずにスクイズをしかけると、これが見事に成功して再び点差は2点となる。

これで落ち着きを取り戻したか、帯広農は続く健大高崎の攻撃で1番山畑の出塁を許すも、2番橋本脩を投手ゴロ併殺に打ち取って難を逃れる。4回にも無死1塁から強烈なサードゴロを西川がさばいて封殺するなど、堅守で投手陣を盛り立てていく。また、健大高崎の機動力野球をしかけさせないよう、カーブ主体でストライクを先行させる井村の投球も光った。

攻勢を強める帯広農は5回表、健大高崎の2番手・長谷川を攻める。先頭の9番谷口が初球をライトへはじき返すと、再び初球で送って1アウト2塁に。2球でチャンスを作ると、この日2安打と当たっている2番佐伯が3本目のヒットをセンターに打ち返して2塁ランナーをホームに迎え入れる。直球・変化球問わずに積極的にスイングをかけていく帯広農打線の打棒は見事であった。

3点のリードをもらった井村は内外角に丁寧に投げ分ける投球で先頭打者を出しながらもチャンスを広げることを許さない。健大高崎の再三のスチール・エンドラン、そして鋭い打球に対して、内外野陣も落ち着いた守備で確実にアウトを積み重ねていく。また、コースをしっかり突いているからこそ、打球が野手の正面にいくことが多かった。

健大高崎も6回以降は、朝井橋本拳鈴木とつないで無失点リレーを展開。エースが注目されていたが、控えの投手陣もコツコツ練習を積み重ねてきた成果を大舞台で発揮した。ただ、いかんせん持ち味の打線が得点をたたき出せない。帯広農は7回から登板した水上井村と同様に臆することなく変化球でストライクを先行し、健大高崎打線に持ち味を発揮させなかった。

結局、帯広農投手陣は強力打線に8安打を浴びながらも1失点にまとめる見事なリレーを見せて、4-1で快勝。21世紀枠の出場ながら、関東王者を寄せ付けず、聖地での1勝をマークした。

まとめ

帯広農としては守りでリズムを作って、積極的な打撃で得点を重ねるという理想的な展開で勝利。全国の農業高校に勇気を与える戦いぶりであった。この日、登板した2投手はともに目立ったスピード・球威があったわけではないが、向かっていく姿勢とコントロールがあれば、強打者相手でも通用することを証明したと言えるだろう。看板の打線も9安打で4点を奪い、その地力を十分に発揮した。投打に充実した戦いぶりは翌年以降の後輩たちにも自信を与えるものになったはずだ。

一方、健大高崎としては持ち味の仕掛ける野球を随所に敢行していたが、盗塁・エンドランなどがなかなかうまくはまらず、無死1塁からチャンスを広げきれなかった。相手守備陣をかき回す攻撃が持ち味だったが、落ち着いて守られた時に打開していくのはやはり容易ではなかった。ただ、後半は投手陣・守備陣を中心にしっかり守って無失点でつないだのは大きく、全国でしか得られない課題と収穫を得た戦いとなった。

2020 08 16 甲子園 初勝利・帯広農業 高校・4 – 1 ・対 健大高崎・ 守り勝つ・アイヌ スピリット 全快 – YouTube

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