• 2003年選抜 優勝予想

    2020年01月02日

    優勝争いは混とんとしている。突出したチームは存在せず、10以上のチームに優勝の可能性があるだろう。その中であえて優勝候補の第一集団を挙げるとすれば、中京・浦和学院・遊学館・智弁和歌山のともに昨夏からの出場となる4校だろう

    中京は明治神宮大会優勝。昨夏からバッテリーを含めて主力5人が残り、東海大会を圧倒的に制覇。明治神宮大会でも優勝候補の一角だった横浜を相手にトップバッター城所(ソフトバンク)のスピードを絡めて、3点先取。エース榊原(日本ハムー元オリックス)が1失点完投で完勝した。勢いに乗り、ダルビッシュのいる東北、延岡学園を制して優勝を果たした。榊原―山本のバッテリーに1番城所、主砲の3番引本、4番山本と軸になる選手がしっかり残ったことで安定した戦いぶりを披露。盗塁、バントも交えて幅広い攻撃を仕掛けられる。榊原はストレートと切れのあるスライダーに加えてナックルも交える。昨夏広陵にスライダーを見極められKOされて悔しさを胸に昨秋に続いての頂点を狙う。

    浦和学院は昨夏からの左腕エース須永(日本ハム)が成長。昨秋は上体が突っ込む癖が出てしまったため、冬場に走りこみで下半身を作り上げてフォームの改善に努めた。切れのあるカーブとスクリューを武器に的を絞らせない投球をしたい。2番手の鈴木もカーブの切れが光る好投手。打線は上位に昨夏からの経験者が並ぶ。1番松谷はコンパクトなスイングで左右に打ち分け、小技の光る2番漆畑がつないで、中大谷・松本・須永のクリーンアップで返していく。昨夏は選抜王者・報徳学園を倒しながら2戦目で川之江に悔しい逆転負け。精神面のコントロールもできるようになったかどうかがカギとなるだろう。実力は十分優勝を狙えるだけに絶好のチャンス到来と言えるだろう。

    遊学館は昨夏1,2年生の身でベスト8入り。当然ベンチ入りメンバー全員が残ったチームは新チームにスムーズに移行した。エース小嶋(阪神)は昨秋72回を投げて89個と投球回数以上の三振を奪った。しなやかなフォームから投げるストレート・カーブ・スライダーで三振を奪っていく。球速が速いわけではないが、ストレートには伸びがあり空振りが奪える。打線は1番の門前が突破口を開き、神宮大会では徳島商業・平岡から逆転スリーランを放つなど決める力も持つ。行田はパワフルなスイングで長打を放ち、3番の2年生中山や下位打線ながら打点王の捕手・堀田などどの打順にも巧打者が並ぶ。石川県初の優勝に向けて戦力は整った。

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    智弁和歌山は昨夏準優勝。当時ショートだった上野正を捕手にコンバート。守りを固めて頂点を狙う。投手陣は昨夏マウンドを踏んだ本田・滝谷が軸。本田は昨夏の準々決勝で選抜準優勝の鳴門工を相手に1失点完投勝利。ストレートを内外角に投げ分け、勝負所で三振も奪える。長身左腕滝谷は角度のあるストレートとカーブで相手を打ち取り、安定感はチーム1。長身右腕坪内も控える。打線は経験者が残り、昨年以上に強力、1~4番は上野、堂浦、島田、本田とお馴染みの経験者で固めた。嶋田、本田は長打力があり、相手との駆け引きにも優れる。山崎や主将の山本に森川ら後ろを打つ新戦力の打者も力を秘めており、1発も放てる。平成の常勝軍団が2度目の春優勝を狙う。
    その他のチームも今回は全く差がなく追いかけてくる。

    東北チャンピオンの東北は4年ぶりの選抜。2年生エースダルビッシュはMAX147キロのストレートを軸にスライダー、カーブ、シュートと器用に投げ分けて三振を奪う。神宮大会では近畿王者の平安を完封した。まだ体が出来上がっていないが、投手を育てる名人の若生監督のもと、体重移動をしっかりとしたきれいなフォームで投げている。2番手の高梨も力のあるストレートとスライダーを投げ分ける好投手だ。打線は大型打者が並ぶ。大沼、横田、佐藤、郷古とみな1発を打てる。大沼は神宮大会で平安の好投手・服部からバックスクリーンへホームランを放った。1,2番の家弓、宮田は足でかき回す。久しぶりの出場ながらバランスの取れた戦力で頂点を狙う。

    横浜は昨秋関東大会優勝。甲子園における強さや選手層の厚さを考えるとここが実は一番の優勝候補かもしれない。投手陣は左腕エース成瀬(ロッテーヤクルト)、2年生快速右腕涌井(西武―ロッテ)と他校がうらやむ布陣。成瀬は急速こそ速くないが、73回を投げて四死球わずか8個とコントロール抜群。伸びのあるストレートとスライダーで抑える。本人曰く「小さいころから特に投げ方とか教わってないけど、自然と今のフォームになってコントロールもよかった」というからある意味天才か。2年生投手涌井も140キロを超すストレートでぐいぐい押す。打線は大物打ちはあまりいないが、粘り強くいやらしい打者が揃う。1番荒波(DeNA)は一昨年夏の甲子園で1年生で1番を打った逸材。スランプから抜け出しチームを引っ張る。4番の黒木は数少ないパワーヒッターで渡辺監督も期待を寄せる。
    昨秋の関東決勝では浦学の好左腕・須永から8回に一挙3点を奪い、逆転したように横浜らしい勝負強さをこのチームも身に着けている。捕手は村田・西江の2人体制を揃え、攻守とも層の厚さが自慢。見た目の派手さはそこまででもないが、負けにくいチームであり虎視眈々と全国制覇を狙う。

    平安は2年連続の選抜出場。昨秋の近畿チャンピオンだ。昨年のチームは期待されながら夏の京都大会でまさかのコールド負け。新チームになってメンバーはかなり一新された中で3,4番の西村、西野の打の柱が残っていた。二人とも長打力があり、チームの打点の半分をたたき出した。特に西村の長打力はこれまでの平安の選手の中でもトップクラスの威力を誇る。投手は2年生左腕の服部が軸。打者の懐をぐいぐいつくマウンド度胸が持ち味だ。コントロールもよく、3年生捕手の原のリードに従って好投した。課題は守備力で昨秋は12試合で15失策と平安にしては多い数字。経験者が少なかったこともあるが、鍛えるのはこれからとなりそう。それでも、昨秋は勝ち上がりながら強くなり、近畿決勝では準優勝メンバーの残る智弁和歌山を逆転でうっちゃった。伸びしろは豊富であり、優勝候補の一角なのは間違いない。

    広陵は3季連続の甲子園。西村(巨人)-白浜(広島)のバッテリーを中心に昨夏のメンバー7人が残ったため、守りは堅い。西村は持ち味の重いストレートにカーブ、スライダーを交えるオーソドックスな本格派。コントロールがよくなったことでさらに安定感を増した。
    守りも強肩の白浜に1年生からレギュラーをつかんだセカンド上本(阪神)もおり、経験者を中心に西村を盛り立てる。打線は昨年の黒川・黒田・中東のように大物打ちはいないが、チーム打率は3割6分台。藤田・白浜・安井らはポテンシャルを秘めており、まだまだ伸びそうである。昨年は春は優勝した報徳に敗れ、夏も優勝した明徳に敗戦。そして、秋は夏の甲子園で戦って破ったメンバーの多く残る中京が優勝。忸怩たる思いもあるだろう。今大会はそこまで注目度が高いわけでもないので、逆に戦いやすく優勝の千載一遇のチャンスだ。

    昨年春夏の出場校すべてがベスト8入りした四国の王者・徳島商業。好守にわたって力強く堂々優勝戦線に顔を出す。エースの平岡(元巨人)はMAX143キロのストレートと切れのあるスライダーで押す力のピッチング。要所では三振も奪い、防御率は1点台。打者の内角を強気に攻める気の強さも持ち味で、捕手の鶴羽がうまくリードする。打線は1番主将末沢が安定して塁に出て、土井、東、平岡のクリーンアップが返す。特に東の長打力はぴか一で昨秋も四国大会で2ホームラン。明徳の優勝メンバーの2年生投手・鶴川も沈めた。
    課題は内野守備で特に三遊間の阿部と土井はしっかり守って平岡を援護したい。ともあれ持っている力は間違いなく全国トップレベルである。

    明徳義塾は昨夏念願の全国制覇。勢いに乗って夏春連覇を目指す。エースは2年生の鶴川。1年生から甲子園のマウンドを踏めたのは変化球のコントロールが備わっていたから。加えて真っすぐも力強さが出てきており、140キロを超えた。要所で三振を奪う力もあり、球の伸びで勝負する投手だ。打線の軸は沖田、梅田、山口の経験者で1,3,4番を打つ。1番の沖田は思い切りのいい打撃を見せ、守備位置もレフトからセンターに移って好守でチームを引っ張る。とはいえ、スタメンの半分が2年生とまだ若いチーム。完成度は昨年に比ぶべくもないが、その分伸びしろも豊富。松原、田辺(昨夏の優勝投手の弟)も期待の選手であり、沖田の号令の元、春の大旗もいただきに行く。

    延岡学園は昨秋明治神宮大会準優勝。左の技巧派・上田と右の速球派・杉尾で試合を作る。昨秋逆転勝ちが多かったのはこの二人が踏ん張ったことも大きい。上田は神宮大会の準決勝では遊学館に10安打されながら1失点完投。小嶋に投げ勝っている。打線の軸は3番井本。173㎝と小柄ながら勝負所で長打を放ち、チームを勝たせてきた。かと思えば九州の準々決勝では意表をついてスクイズを決めるなど頼もしい男だ。神宮の決勝では中京をあと一歩まで追い詰めただけに選抜ではそのあと一押しを詰め切る戦いをしたい。

    その他にも注目チームは目白押し。

    宜野座高校の佐久本は同校特有の宜野座カーブを駆使して、九州準優勝。円盤投げのような要領で投げるその魔球で全国の打者をきりきり舞いしたい。

    駒大苫小牧は分厚い選手層で北海道大会を圧倒的に制覇。エース白石、1番石川、4番の小さなスラッガー若狭と軸になる好選手も従えている。神宮大会では緊張もあって遊学館にコールド負け。その悔しさをばねに雪上ノックで鍛えた根性で全国で勝ち上がりたい。

    国士館はエースで4番の新垣を中心に逆転勝ちも多いチーム。新垣、2年生左腕久古(ヤクルト)の投手陣が失点をどこまで防げるか。

    藤代は2年ぶりの甲子園。2年生の小さなエース美馬(楽天)とガタイのいい捕手新岡が中心の現代版ドカベンのようなチーム。しかし、昨秋の関東大会では浦学・須永から5点奪っており、打力も確かだ。

    花咲徳栄は好投手福元を擁して初出場。1年生時5番で甲子園を経験した田中がトップバッターになって帰ってきた。持ち前の粘り強さを見せられるか。

    東洋大姫路は1年夏にマウンドを踏んだグエン・トラン・フォク・アンがエースになって戻ってきた。昨秋は四死球を出しつつも粘りの投球で近畿4強。4番前川を中心とした打線がどこまで援護できるか。

    逆に近江は1年夏に準優勝した時のメンバー大西を3番主将に据えた打力のチーム。昨秋は平安のエース服部も打ち込んでおり、評価は高い。投手陣は一昨年の3本の矢のように、再び小原、岡本、木下の継投で勝負する。

    名電も昨年選抜で3番を打った堂上(中日―巨人)が3年生になって帰ってきた。今回も打線は強力で昨年新湊・荒瀬に抑え込まれた雪辱を期す。

    鳴門工業は昨年の快進撃の再現なるか。谷(中日)・佐坂・新原の甲子園経験者がそれぞれ
    エース、1番、中軸として戻ってくる。持ち味の積極的な野球で再び旋風を巻き起こしたい。

    桐蔭学園・平野、盛岡大付・山下、福井・藤井、秀岳館・上農、浜名・松下、岡山城東・高渕も好投手。福井は昨秋遊学館と互角に渡り合っており、そのチーム力は高い評価を受ける。桐蔭学園も横浜と接戦を演じており、平野のスライダーの切れは絶品だ。

    柳川は三原・麻生と昨年のメンバーを中心に粘りで勝負。宇部鴻城のエース岩本は珍しい左横手投げだ。

    奈良から初出場・斑鳩の右横手・牛島は配球の優れた頭のいい投手。県内の相手は「試合終盤は狙い球を外されてどうやっても打てない」と言わしめる注目の投手だ。