• 2021年選手権決勝 智辯和歌山vs智辯学園(15日目第1試合)

    大会15日目第1試合

    智辯和歌山

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    4 0 0 0 0 1 1 2 1 9
    0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

    智辯学園

     

    智辯和歌山  伊藤→中西

    智辯学園   西村→小畠

    兄弟校対決となった2021年決勝戦は中盤まで互角の展開だったが、中盤以降智辯和歌山打線が継投した智辯学園・小畠を攻略。強力打線と豊富な投手陣を武器に21年ぶり3度目の全国制覇を成し遂げた。

    試合

    先発は智辯学園は左のエース西村、智辯和歌山が右サイド右腕の伊藤を選んだ。

    智辯学園の西村をどう智辯和歌山打線がとらえるかが注目されたが、いきなり初回から猛打を浴びせていく。先頭の1番宮坂が初球の甘いスライダーをセンターオーバーの2塁打にすると、2番大仲はこれも引っ張って進塁打の意識が功を奏し、スライダーをライト前に運ぶ。3番角井は三振に倒れるが、4番徳丸は逆方向への意識でセンターへ犠飛を上げて先制。さらに1塁ランナーの大仲が好判断でタッチアップし、なお2アウト2塁とする。

    初回からボールが上ずる智辯学園バッテリー。カーブ、チェンジアップで目先をかわそうとするが、智辯和歌山の打者がなかなか反応してくれない。5番岡西がストレートをライトに引っ張ると、智辯学園バッテリーとしては抑えるボールに窮してしまう。スライダーで決めにいったところで6番渡部、7番高嶋に立て続けにタイムリーされ、初回に重い4点が刻まれる。

    一方、智辯和歌山の先発は右サイド右腕の伊藤。和歌山大会決勝でも全発に起用された強心臓の右腕に対して、智辯学園は1番に前川を置いた打線で勝負をかける。その前川はセンターへのヒットで出塁するが、続く2番森田のショートゴロは大西の好守に阻まれて1アウト。さらに1塁ランナー森田の盗塁は渡部が好送球で刺し、得点を与えない。智辯和歌山はセンターラインを中心に非常に堅守が光る。

    ただ、智辯学園打線の対応も非常に速い。2回裏、先頭の4番山下が四球で歩くと、犠打で送った1アウト2塁から6番植垣のセカンド強襲の内野安打でまず1点。さらに2アウト後に8番谷口はライト徳丸の右を破るタイムリー3塁打を放ち、もう1点を挙げる。球種の少ない伊藤に対して、しっかり狙いを絞って攻略した。ただ、ホームを狙った谷口は智辯和歌山の正確な中継プレーに阻まれてホームタッチアウト。決勝戦らしいハイレベルな攻防が続く。

    智辯学園・西村は2回以降は本来の制球力を取り戻し、智辯和歌山打線にヒットは打たれながらも、決定打を許さない。対する智辯和歌山は4回裏に伊藤がランナーを2人出したところで、中谷監督がエース中西をマウンドに送る。このスイッチが見事にはまり、中西は1アウト2,3塁から6番植垣、7番中陣を連続三振。多彩な変化球を低めに集め、エースの仕事を全うする。

    4-2のスコアのまま試合は後半へ。ここで智辯学園・小坂監督は6回から前日完投勝利の小畠をマウンドに送る。初優勝へむけて勝負手を放った。

    しかし、6回表に智辯学園に痛いプレーは出てしまう。先頭の7番高嶋の打ち上げた打球は浜風にあおられてサード山下が捕球できず、高嶋が2塁に進塁。続く8番中西の犠打は失敗に終わるも、高嶋が挟まれながら粘って打者走者を2塁に残すと、9番大西の犠打はファーストとの接触プレーでセーフとなり、1アウト1,3塁。ここで準決勝から好調を維持する1番主将宮坂がスライダーをたたきつけると、打球は1,2塁間を高いバウンドで破り、智辯和歌山が大きな1点を追加する。

    振り返ってみると、このイニングは大きな分岐点となった。エース中西が変化球を低めに集める投球で智辯学園にヒットは打たれても要所を締めると、打線は7回に高嶋が、8回には大西と徳丸がタイムリーを放って突き放す。準決勝まで低めのボールで内野ゴロを打たせてきた小畠だったが、さすがに疲労からかボールが高めに入り、痛打を浴びた。

    反撃したい智辯学園に対して智辯和歌山は9回にも6番渡部のホームランで1点を追加。往年の強力打線を彷彿とさせる長打攻勢で得点を重ねると、最後はエース中西がマウンドで仁王立ち。140キロ台後半の速球と勝負どころで低めに集まる変化球の前にさしもの智辯学園打線も手が出なかった。

    終わってみれば、9-2と大差で智辯和歌山が兄弟校対決を制し、2000年以来実に21年ぶりとなる全国制覇を達成。常勝軍団がコロナと雨に見舞われた苦難の甲子園で鮮やかに蘇った。

    まとめ

    智辯和歌山は初戦が不戦勝だったため、大会初日が11日目という異例にスタートになったが、かえって決勝戦で最高のコンディションに持っていくことができたか。もちろん初戦の試合が仮にあったとしても、この戦いぶりを見ると、今年は智辯和歌山の優勝だったと思う。逆に調整が難しい状況下でしっかりコンディションを整えた中谷監督ら指導陣が素晴らしかった。

    もともとこのチームは秋の大会で小園-松川のバッテリーを擁する市立和歌山に公式戦で3連敗したところからスタートした。常勝軍団が、全国制覇はおろか今年は甲子園にも行けないのではないかと思われたが、最強のライバルを想定して鍛え上げた実力は気づけば途方もないものへとなっていた。

    長打力とうまさを兼ね備えた打線、豊富な投手力、磨き上げられた守備とどれをとってもスキのない中谷野球が、智辯和歌山の新時代を高らかに告げる全国制覇をつかみ取ったのだった。

     

    一方、智辯学園は1年時から主力の選手たちが順当に成長し、今回は集大成の大会となった。しかし、やはり投手陣の疲労度の違いは歴然であった。一昔前は1回戦からの登場組が疲労より試合を重ねた成長度で上回り、優勝を果たすケースが多かったが、さすがに2試合分の差は大きかっただろう。西村、小畠の左右2枚看板がたっぷり16安打を浴びてしまった。

    また、強力打線もその実力に疑いの余地はないが、大会終盤はやや下降線をたどった。もちろん好投手との対戦が続いたことも大きく、やはり最後までトーナメントをベストの状態で勝ち続けるのは至難のわざなのだ。

    ただ、今年の智辯学園は投打に2本の太い柱を擁し、その周りを固める選手も非常に実力者揃いで堅守も見せ続けていた。智辯学園史上最も完成度の高いチームだったことは間違いなく、準優勝という結果はこのチームの歩みが間違っていなかったことを示している。近い将来智辯学園というチームが再び頂点を争うことを確信させるような、今大会の戦いぶりであった。

    2021年選手権決勝予想 智辯学園vs智辯和歌山 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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