• 2021年選手権準々決勝 智辯学園vs明徳義塾(13日目第3試合)

    大会13日目第3試合

    明徳義塾

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    0 0 0 1 0 0 0 0 1 2
    0 0 0 1 0 0 0 0 3

    智辯学園

     

    明徳義塾  吉村

    智辯学園  西村→小畠

    V候補同士の熾烈な攻防となった第3試合はタイスコアのままで最終回に突入。1点のビハインドを背負った智辯学園が、最後の最後で明徳義塾の左腕・吉村を攻略し、逆転サヨナラで準決勝進出を決めた。

    試合

    智辯学園はエース左腕の西村が先発。一方、明徳義塾は前日完封勝利を挙げたエース代木の疲労を考慮し、今大会リリーフで大活躍の2年生左腕・吉村をマウンドに挙げた。

    西村は立ち上がりから伸びのあるストレートに切れ味鋭いスライダー、タイミングを外すカーブ、チェンジアップを織り交ぜて安定感抜群の投球を続ける。選抜では同じ準々決勝の明豊戦で失投を逃さず打ち込まれて5回5失点で降板。同じ間違いはしないという強い決意を感じさせるピッチングだった。

    これに対し、今大会先発は初めてという左腕・吉村だったが、3試合で40安打を放った強力打線を相手に好投を見せる。プレートの一塁側を踏み、体をひねって目いっぱい横の角度をつけたボールを前に、智辯学園の各打者もなかなかボールをとらえきれない。倉敷商・永野、横浜・杉山、日本航空・ヴァルデナと好左腕を攻略してきた打線をもってしても攻略困難であった。

    智辯学園としては試合巧者・明徳とは競り合うのは避けたいところだったが、吉村の予想を超える投球の前に得点の気配すら漂わない嫌な展開となる。

    すると、4回表、西村が明徳打線にスキを付け込まれる。先頭の3番森松に四球を与えると、続く4番加藤の犠打を捕球した西村が足を滑らせて転倒し、オールセーフとなる。犠打、死球で満塁とピンチが広がると、馬淵監督は7番井上の初球にスクイズを指示。フォースプレーのリスクもある中で3塁ランナーも好スターとを切って見事に成功させ、明徳義塾が1点を先行する。

    これで波に乗りたい吉村だったが、得点が入ると試合が急に動き出すのが野球というスポーツだ。その裏、智辯学園は先頭の垪和が四球を選ぶと、犠打と死球で1アウト1,2塁に。ここで打席には主砲の山下が入る。今大会チャンスでひっかけて併殺打を打ったしまう場面が多かったが、この打席は入ってくるボールに対してしっかりインサイドアウトでバットを振り抜き、ライト線へのタイムリー2塁打を放って同点に追いつく。

    だが、続く1アウト2,3塁のチャンスでは吉村が踏ん張りを見せて勝ち越しは許さない。猛打で勝ち進んできた智辯学園を8回まで被安打2の1失点に抑えた投球は素晴らしかった。智辯学園は6回に2アウトから3番前川がライト前ヒットで出塁するも、直後に痛恨のけん制死。少ないチャンスもものにすることができない。

    一方、智辯・西村も5回からは再び落ち着きを取り戻し、8回まで3安打1失点。ピンチらしいピンチも7回くらいであり、その7回表には2,3塁にランナーを背負って1番米崎にインサイドのストレートをレフトポール際まで運ばれるが、先ほどけん制死の前川がギリギリのところで飛球をグラブに抑える大ファインプレーでボールをキャッチ。投攻守にハイレベルなチーム同士の息をのむ攻防は最終回に突入する。

    完全に1点勝負の様相を呈してきた両校の死闘。ミス、四死球、長打で勝負が決まると思ったその矢先、この試合ファーストに入っていた明徳・代木が大仕事をやってのける。先頭で打席に入ると、カウント0-2からストライクを取りに来たストレートをドンピシャのタイミングで振り抜いた打球は、後退するセンターの頭を超してスタンドに飛び込み、明徳義塾が貴重な勝ち越し点を挙げる。

    ここで智辯学園は西村を下げて、右腕・小畠をマウンドへ。小畠は勢いに乗る明徳打線につかまり、1アウト1塁から守備の逆を突く見事なエンドランを決められる。試合巧者・明徳がここぞとばかりに攻めたててくるが、ここで小畠は満塁から1番米崎をファーストゴロ併殺に切って取り、難を逃れる。この小畠の踏ん張りが切れかかった智辯学園のムードをつなぎとめた。

    その裏、今度は1点のリードを守りたい吉村だが、先頭の1番垪和にフルカウントからアウトコースのストレートをレフトにヒットされる。ここで2番森田は初球バントの構えを見せると、吉村は2球目に高めのストレートを投じる。これをバントシフトが目に入った森田がバスターに切り替えてセンター前にはじき返す。中軸2人を前に無死1,2塁と最高のおぜん立てが整う。馬淵監督が試合後最も悔やんだ場面だった。

    動揺を隠しきれない吉村。ここで実質勝負あったのかもしれない。3番前川、4番山下に連続で死球を与え、押し出しでまず同点。さらに続く5番岡島がインサイドのボールを振り抜くと、打球は前進守備のセカンドの頭上を越え、3塁走者が生還。智辯学園が最終回に吉村をとらえ、1995年以来26年ぶりのベスト4進出を決めた。

    まとめ

    智辯学園は明徳義塾に苦しめられながら、最後まで自分たちの普段の野球を貫いて、大事な試合をものにした。エースが勝ち越しホームランを打たれた後に、しっかりと守り切ったこと。相手投手、相手守備陣のわずかなスキを逃さなかったこと。そして、最後まで勝負をあきらめなかったこと。

    投打にプロ注目の選手を擁するが、それだけでは勝てないのが高校野球であり、この大一番に智辯学園が本気で日本一を目指して練習してきた中身が詰まっていた。手ごわい常連校を下して得た貴重な1勝。悲願の夏全国制覇まであと2勝だ。

     

    一方、明徳義塾は敗れはしたものの、負けてなお強しの印象を与える好試合だった。エース代木が登板しなくても堅守と勝負強い打撃でV候補の智辯学園を追い詰めたところに、明徳野球の強さを見た気がした。

    思えば、選抜では仙台育英に1安打で完封負けし、例年より小粒と言われていたが、そこから、県内最強のライバルである高知・森木を打ち崩して春夏連続出場を達成。さらに強豪校や好投手を相手にしたたかな野球で3勝を挙げるところまで躍進したのは、馬淵監督と明徳ナインの地道な努力のたまものであった。

    スモールベースボールでここまで勝ち進めるのが明徳野球の凄さであり、今年のチームの結果はまた馬淵監督に新たな手ごたえを残すだろう。来年以降も明徳義塾が他校を脅かす存在になることは間違いない。

    2021年選手権準々決勝予想 智辯学園vs明徳義塾 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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