• 2021年選手権1回戦予想 長崎商vs熊本工

    2021年08月08日

    2021年選手権1回戦

    長崎商vs熊本工

    48% 52%

     

    強打の「熊工」と守りの「長商」の九州勢対決。対照的なチームカラーの両チームがお互いの意地をかけて戦う。

     

    長崎商の投手陣は城戸と田村の技巧派右腕2人が守る。力のあるストレートとチェンジアップの緩急で勝負する城戸と、スライダー・シンカーでストライクゾーンの横幅を使った攻めが持ち味の田村はそれぞれきっちりと試合を作ることができる。また、内外野の守備も安定しており、九州王者・大崎との決勝でも我慢強く食らいついて勝機をものにした。接戦に強い負けにくいチームだ。

    対する熊本工は例年自主練習で打撃を磨いてきたように、今年も打力に自信を持つ。チーム打率は4割2分8厘を記録。コンパクトなスイングを心掛け、上位から下位まで高打率の選手がずらりと並ぶ。一度打ち出すと止まらない集中打で一気に試合の流れをものにしてしまう。1番の古閑は打率5割6分5厘のハイアベレージでチームを牽引する。

     

    一方、熊本工のエースはサイドハンド右腕の吉永。ストレートの最速は120キロ台と目立ったボールではないが、多彩な球種で内外角を投げ分ける丁寧さが光る。四死球も1試合平均3個以下とコントロールも安定しており、自ら崩れるタイプの投手ではない。捕手・沼のインサイドアウトも冴えており、見た目以上に打ちにくい投手だ。

    対する長崎商打線はチーム打率は3割に満たないが、広角に打ち分ける打撃が光り、決勝では大崎の好投手2人を攻略した。選球眼や走塁技術も磨かれており、数少ないチャンスで確実に1点をもぎ取る攻撃を見せてくれる。前回出場時に2016年の夏に打ち負けた経験から全国レベルを見据えて磨いてきた攻撃を破棄できるか。

     

    両チームともに完全に抑え込まれる可能性は少なく、ある程度点の取り合いになりそうだ。打力に秀でた熊工がやや有利な感じもするが、接戦で終盤に持ち込めれば長崎商のペースとなりそうだ。

     

    主なOB

    長崎商…内堀保(巨人)、比留木虎雄(阪神)、太田正男(西鉄)、河津憲一(南海)、松尾輝義(巨人)

    熊本工…川上哲治(巨人)、伊東勤(西武)、緒方耕一(巨人)、前田智徳(広島)、荒木雅博(中日)

     

    長崎 熊本

    春  0勝  0勝

    夏  0勝  1勝

    計  0勝  1勝

    対戦は1996年夏の準々決勝の一度のみ。熊本工が打撃戦の末に波佐見を下し、あの奇跡のバックホームの飛び出した決勝戦へと向けて勝ち上がっていった。今回勝利するのはどちらになるか…

    思い出名勝負

    1996年夏準々決勝

    波佐見

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    1 2 1 0 0 0 0 2 0 6
    1 2 0 0 1 0 1 2 × 7

    熊本工

     

    波佐見  林

    熊本工  村山→園村

    1996年夏の準々決勝第3試合は九州勢同士の追いつ追われつの好試合となった。

    熊本工は荒木(中日)、松本(ダイエー)を擁して選抜に出場した前年のチームと比較すると、この年はスター選手はおらず、秋の県大会ではまさかの初戦敗退に。立て直しを図るべく就任した田中監督は社会人仕込みの高度なプレーを教え込み、チームは戦う集団に生まれ変わった。

    本大会では初戦で山梨学院大付の好左腕・伊藤(ヤクルト)を打ち崩すと、3回戦では高松商との伝統校対決に5-1と快勝。勢いにのってベスト8まで勝ち進んできた。

    対する波佐見は春夏通じて初となる甲子園出場。野球の盛んな地域から出場を果たしたナインは小柄ながらもパンチ力のある打者が並び、エース林も球威のあるストレートを武器に好投を見せた。また、普段の守備練習から実戦を意識した練習を行うことで、本番に強いチームへと仕上がっていた。

    甲子園では秋田経法大付、宇都宮南と実績では上回るチームを相手にきっちりと打ち勝って勝利。初めての甲子園で堂々8強入りを果たした。

     

    試合は互いを良く知る両チームということもあり、立ち上がりから両チームが激しく攻め合う展開となる。

    熊本工の先発は過去2戦で先発した左腕・園村でなく右腕・村山をマウンドに送る。その立ち上がりを波佐見の1番吉村がセーフティバントで揺さぶって出塁すると、犠打などで2アウト3塁となって4番野中がセンターにはじき返し、1点を先制する。

    初出場校の勢いに飲まれるかと思われたが、伝統校・熊工もすぐに反撃。3回戦で167球を投じて完投した波佐見のエース林から1番野田が四球をもぎ取ると、1アウト1,2塁からけん制悪送球で労せずランナーが進塁。両チームともグレーのユニフォームのため、林がけん制の入っていないタイミングで投げてしまった。さらに1アウト満塁となって5番古閑の併殺崩れの間に同点に追いつく。

    疲れの見えるエースを援護したい波佐見は2回表にも内野安打で出たランナーを送ると、1番吉村のヒットと2番山辺の内野ゴロの間に1点を勝ち越し。さらに3番林にもタイムリーが飛び出してもう1点を追加し、2回までで村山から早くも6安打を放つ。カウントを取りに来るボールを逃さない積極性が光った。

    2回裏にも林が熊工打線につかまって同点に追いつかれた波佐見だったが、3回にも熊工内野陣の連続失策からチャンスをつかむと、1アウト満塁から振り逃げの間に1点を勝ち越す。試合がなかなか落ち着かない状態の中で、波佐見ナインが必死にエースを援護する。

    見かねた熊工は4回からエース左腕・園村をマウンドに送る。波佐見ナインの打ち気をうまくそらす投球で変化球を有効に使い、波佐見打線の勢いを止める。これで落ち着きを取り戻した熊工ナインは5回裏に4番西本の犠飛で追いつくと、7回裏には1アウト2塁から西本の投手ゴロを林が悪送球する間にランナーが生還。熊工が終盤にきて初めてリードを奪う。

    試合の流れは熊工に完全に傾いたように見えたが、8回表に波佐見ナインが再度奮起する。それまで抑え込まれていた熊工の左腕・園村から6番佐々木がセーフティバントで出塁すると、2アウト3塁となって9番堀江が園村のスライダーを狙い打ってレフト前タイムリーで同点。さらにチャンスを広げて当たっている1番吉村がこの大会3試合で10本目のヒットとなるタイムリーを放ち、再度試合をひっくり返す。

    ナインの執念を感じさせる攻撃で4たびリードを奪った波佐見。これで試合を決められるかと思われたが、エース林のスタミナは限界であった。8回裏、再度ランナーを背負うと、エース園村、3番本多が林の高めに浮いたボールを痛打。2本のタイムリーで逆転した熊本工が川上哲治(巨人)を擁した大会以来、実に59年ぶりとなるベスト4進出を決めた。

     

    勢いに乗った熊本工は準決勝では前橋工の好左腕・斎藤からわずか3安打に抑え込まれるも、その全てのヒットを1イニングに集中。序盤で奪った3点のリードを守り切り、決勝に進出した。決勝ではあの「奇跡のバックホーム」であと数センチ優勝に手が届かなかったが、秋の県予選初戦敗退のチームが大きな成長を遂げ、名門復活を印象付けた。

    一方、波佐見も初出場とは思えない洗練された野球で8強入り。甘いボールを逃さない積極的な打撃に、ショートゴロで果敢に2塁から3塁に進む走塁など、実戦形式で鍛え上げられた野球は全国の舞台でも十分通用することを示した。その後も、2001年、2011年、2017年と甲子園に出場。県内屈指の強豪として存在感を放ち続けている。

    2021年選手権1回戦 長崎商vs熊本工(4日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

    [プロ 野球 ハイライト]熱闘甲子園 1996 第78回 熊本工vs波佐見 – YouTube