• 2021年選抜1回戦予想 大阪桐蔭vs智辯学園

    2021年選抜1回戦

    大阪桐蔭vs智辯学園

    51% 49%

     

    大会最注目の好カードだ。昨秋の近畿大会決勝を争ったV候補同士が初戦で激突。今大会の優勝争いを占う大一番となるだろう。

     

    大阪桐蔭は松浦、関戸と左右の150キロ投手を擁する。150キロの両輪など、2015年の東海大相模(小笠原、吉田凌)以来だろう。その他の投手陣も力があり、他校が羨む陣容だ。ただ、昨秋は関戸が怪我で本調子でなく、松浦はスタミナに課題を残した。2人とも制球に苦しむタイプではなく、もろさはないものの、選抜本番に向けてどこまで調子を高められるか。

    対する智辯学園打線は1年生時から中軸を務める前川と4番の山下という大砲2枚をそろえている。特に前川は昨秋の戦いで関戸からホームランを放っており、速いストレートにも全く力負けはしない。チームとしても2019年夏の八戸学院光星戦で1イニング7得点をたたき出したように、伝統的に集中打が持ち味であり、大阪桐蔭投手陣にスキがあれば、一気に畳かける力はあるだろう。前年秋のように序盤から先行して試合を優位に進めたい。

     

    一方、智辯学園の投手陣はこちらも1年生から甲子園のマウンドを踏んだ左腕・西村と右腕・小畠の2枚看板を擁する。西村は左サイドからの角度のあるボールが持ち味だったが、学年を経るにつれて球威・スピードもついてきた。昨秋の大阪桐蔭戦では大阪桐蔭の強力打線を3失点完投し、交流試合でも公式戦無敗の中京大中京打線を相手に延長まで持ち込んだ。球威では西村を上回る長身の小畠との2枚看板は大阪桐蔭の投手陣にも全く引けを取らないだろう。

    対する大阪桐蔭打線は今年も破壊力抜群だ。昨秋の智辯戦は序盤でリードを奪われたこともあって本領発揮できなかったが、今年も4番池田を中心に長打力と確実性を秘めた打線を形成する。また、今年は1番繁永、2番野間を中心に足もある選手が揃っており、かき回す攻撃もできる。一度敗れている分、しっかり対策も練ってくることが予想され、完全に抑え込むことは難しいだろう。

     

    前年秋は松浦、関戸ともに本調子でなかったこと、初戦にめっぽう強いことを考えると少し大阪桐蔭が有利か。だが、智辯学園も投打に実力は十分であり、大阪桐蔭の初戦連勝記録を止める可能性は十分にある。

     

    主なOB

    大阪桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(日本ハム)、森友哉(西武)、根尾昴(中日)、藤原恭太(ロッテ)

    智辯学園…高代延博(日本ハム)、山口哲治(近鉄)、岡崎太一(阪神)、岡本和真(巨人)、廣岡大志(ヤクルト)

     

    大阪 奈良

    春  1勝  1勝

    夏  3勝  2勝

    計  4勝  3勝

    対戦成績は大阪が4勝3敗とリード。7試合中5試合が天理の試合となっている。印象深い試合としては1995年の準々決勝。スラッガー福留(中日)を擁してV候補筆頭だったPL学園を相手に智辯学園が序盤からの打ち合いを制し、8-6で大金星を挙げた。一方、2010年夏では県大会で4割を超すチーム打率をマークした天理を履正社が4-1と撃破。スラッガー山田(ヤクルト)に注目が集まったが、重盗などで小刻みに得点を重ねる履正社のそつのない攻撃が光った。

     

    思い出名勝負

    1997年選抜準決勝

    上宮

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
    0 0 0 0 0 0 1 1 × 2

    天理

     

    上宮  山田

    天理  小南

     

    ベスト8に近畿勢が5校も進出した1997年の選抜大会。その中でも上宮は前年秋から練習試合も含めて負けなしの44連勝で勝ち進み、渡辺(ロッテ)、三木(近鉄)、多井の上位打線と山田(巨人)、建山の右の2枚看板で盤石を様相を呈していた。1,2回戦は多井の2試合連続ホームランなどで快勝し、準々決勝では育英に9回3点ビハインドを追いついてのサヨナラ勝ち。死闘を制して、4年ぶり2度目の優勝に向けムードは最高潮だった。

    対する天理は前年夏から2年連続の出場だったが、メンバーがそれほど多く残ったわけではなく、秋はやや不安定な戦いに終始した。しかし、小南、長崎(ロッテ)の左右の力のある2投手とチャンスに強い打線で、初戦は四国王者の徳島商のミスに付け込んで劇的なサヨナラ勝ちを収める。この初戦の勝利が殊の外勢いを与え、2回戦は好投手・伊藤を擁する浜松工、準々決勝は機動力野球の西京にそれぞれ大勝。小南、長崎がそれぞれ完投勝利をおさめ、こちらも投打に上げ潮ムードになってきていた。

     

    強力打線の上宮に対しては、天理はこの日は左腕の小南が先発。左スリークオーターからのキレのあるボールと捕手・東の好リードで天理バッテリーが試合を支配していく。上宮打線は2回戦の明徳義塾・寺本(ロッテ)や準々決勝の育英・柳原の変化球に苦労しており、その試合を見た東も小南のシュート、カーブを巧みに活用して抑え込んでいく。

    対する上宮はエース山田が2試合ぶりに先発。こちらは伸びのある速球を武器に天理打線を抑え込む。天理は中軸を形成するのが小南、東、長崎とバッテリー陣であり、彼らが投打に試合を牽引してきたが、この日はその中軸を山田が集中して抑え込む。

    締まった投手戦となった試合は4回表に上宮が2アウト1塁から6番金丸が左中間に弾丸ライナーの打球を放つも、センター川端がダイビングキャッチでつかみ取りる。2アウトだっただけに抜ければ1塁ランナーが生還していただろう。のちにレッドソックスにスカウトされる身体能力の持ち主が上宮の先制点を阻んだ。

    しかし、この投手戦に風穴を開けたのは意外な男だった。長距離砲が並ぶ上宮に合って小柄ながらファイティングスピリッツのある7番前田が打席に向かう。前の試合で足首を痛めており、痛みをこらえながらファウルで粘ると、8球目をたたいた打球はレフトスタンドへ飛び込む先制ソローホームランとなって、上宮がようやくスコアボードに1を刻んだ。

    しかし、この一打以降は再び上宮の打線は沈黙。小南のこの大会一番ともいえる大胆かつ繊細な配球の前に、昨秋から通じてほとんど抑えられたことがなかった上宮打線が初めてといってもいい沈黙状態に陥る。

    すると、このエースの好投に7回天理打線が応える。2アウトランナーなしから1番芦硲がセンターへのヒットで出塁すると、すかさず二盗に成功。ここで2番冨田が山田の高めのストレートを逃さずとらえてレフトへ運ぶ。微妙なタイミングとなったが、2塁ランナーの芦硲は一気にホームを陥れ、天理が終盤で同点に追いつく。

    一進一退の攻防は8回裏、天理はひょんなことからチャンスをつかむ。2アウトランナーなしから5番長崎のショートゴロを渡辺が悪送球。一塁に長崎を置いて続く6番山下が山田の低めのフォークを救い上げると、打球は左中間を深々と破り、一気に一塁からホームへ生還し、天理が貴重な勝ち越し点をもぎ取る。相手の動揺のスキを突いた初球攻撃であった。

    最終回に上宮もランナーを出すが、小南の好投を最後まで打ち崩せずゲームセット。終盤に2アウトランナーなしから2度得点をたたき出した天理が無敵の王者をうっちゃり、初の選抜決勝進出を決めた。

     

    天理はその後、決勝で今度は長崎が中京大中京打線を1失点完投して選抜初優勝を達成。前年に不祥事による監督交代がありながらの優勝は過去2度の夏の全国制覇時とかぶる部分があった。逆境に強い奈良のバイオレット軍団が決して高くなかった前評判を覆して、栄冠を勝ち取った。

    一方、敗れた上宮は夏も関大一(翌年久保-西本のバッテリーで選抜準優勝)に2-3と接戦で敗退。史上最強クラスのチームをもってしても勝ち続けることは難しいことを思い知らされた。それだけにこの翌年に公式戦無敗で勝ち続けた横浜の凄さが伝わってくる。

    上宮はこの大会を最後に甲子園には出場していない。昭和後半から平成にかけて甲子園を沸かせ続け、数多くのプロ野球選手を輩出した強豪校も激戦の大阪で時代の波に飲み込まれている。久々の帰還を待ち望むオールドファンも多いはずであり、戻ってくる時を静かに待ちたい。

    2021年選抜1回戦 智辯学園vs大阪桐蔭(4日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

    [プロ 野球 ハイライト] 【春選抜】1997天理VS上宮 – YouTube