2021年選手権準々決勝 智辯和歌山vs石見智翠館(13日目第2試合)

2021年

大会13日目第2試合

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 1 0 2 0 3 2 0 0 9
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

石見智翠館

 

智辯和歌山  塩路→高橋→武元

石見智翠館  山崎琢→山本由→豊岡

ともに久々にベスト8入りした両チームの対戦は、序盤から智辯和歌山打線が石見智翠館投手陣から着実に加点。先発・塩路も好投を見せ、投打にがっちり歯車がかみ合って2006年以来15年ぶりの4強入りを果たした。

試合

石見智翠館はエース山崎琢、智辯和歌山は2年生右腕の塩路にそれぞれ先発のマウンドを託した。

初回、いきなり智辯和歌山打線の鋭い攻撃が山崎琢を襲う。2番大仲、3番角井がともにシャープな振りでヒットを連ねると、4番徳丸には警戒して四球を与えて満塁となる。ここで5番岡西はきっちりセンターへ打ち上げて先制点を挙げる。山崎琢は3試合目ということで落ち着いている印象はあったが、3試合連続の初回失点となる。

一方、智辯和歌山の先発は2年生右腕・塩路。県大会では登板がなく、中西伊藤高橋に次ぐ4番手の印象だったが、中谷監督の大抜擢で先発のマウンドに上がった。初回、140キロ台中盤のストレートでいきなり1番関山を三振に切って取ると、球威で相手のバットを押し込む投球で残りで残りの2人も抑え、3者凡退と上々のスタートを切る。

すると、智辯和歌山の強力打線が徐々にその本来の姿を現し始める。2回表、高嶋監督の孫ということで話題になった7番高嶋が真ん中高めのストレートをとらえると、打球は高々と舞い上げってスタンド中断に飛び込むホームランに。大会終盤にきてホームランが出始めるという智辯和歌山の全盛期を彷彿とさせる一撃だ。

さらに、4回表には四球の7番高嶋を犠打で送ると、9番大西は広く空いた三遊間を流し打ちで破る。さらに相手守備陣のスキをついて大西が2塁を陥れる好走塁を見せ、1アウト2,3塁とチャンスを広げる。このあたりでイチロー氏の指導は生きているか。続く1番宮坂はアウトコースのボールをうまくセンターに返して1点を追加。ここで石見智翠館は山崎琢をあきらめて2番手に山本由をマウンドに挙げる。

山崎琢は立ち上がりから各打者のインサイドを強気に攻める投球で工夫を凝らしていたが、智辯和歌山の各打者の鋭いスイングと選球眼の良さに徐々に投球の選択肢を狭められていった。さらに、代わり端の山本由も2番大仲にタイムリーを浴びて、4-0。3回戦ではベンチの先手先手の作戦で勝機を引き出した石見智翠館だったが、智辯和歌山はそれも許してはくれない。

反撃したい石見智翠館だが、塩路の前に得点はおろかランナーも出ない。ストレートは140キロ台でコーナーに突き刺さり、スライダーも切れ味抜群。この投手が県大会で登板がないのだから、べらぼうな投手層の厚さである。塩路も後ろに頼りになる投手が多い分、めいっぱい飛ばすことができた。

主導権を完全に握った智辯和歌山は試合後半にさらに猛攻を浴びせる。死球と1番宮坂のセーフティバントなどで1アウト2,3塁のチャンスを作ると、3番角井の場面でスクイズを敢行。これがまんまと決まってダメ押しとも言える5点目を挙げると、この回あたりの止まっていた4番徳丸にもタイムリーが飛び出すなど、3点を追加。7回にも2点を挙げ、完全に勝利を手中に収めた。

なんとか意地を見せたい石見智翠館は9回裏、智辯和歌山の3番手・武元を攻め、死球で出塁の宮本が盗塁を決めると、今大会打撃好調の5番山崎琢がインサイドのボールを引っ張ってライト線に落とす。2塁ランナーの宮本がホームインし、意地の1点を刻み付けた。

その後、後続を抑えた智辯和歌山は9-1と大差で石見智翠館を撃破。実に15年ぶりとなる4強入りを会心の試合内容で決めた。

まとめ

智辯和歌山はこの日は塩路高橋武元と3人の投手でつないで、試合を締めくくった。エース格の中西、伊藤を温存できたのは大きく、何よりこの日登板した3人も最速は140キロを超えるという質量ともに豊富な投手陣には恐れ入る。中谷監督就任以来、確実にディフェンス面は安定してきており、智辯和歌山というチームにスキがなくなりつつある。

また、打線もこの日は15安打9得点と「らしい」打ちっぷりで石見智翠館投手陣を攻略。1番宮坂、4番徳丸という軸になる打者にも当たりが戻ってきているのは好材料だ。何より今年のチームはいかに市立和歌山・小園を攻略するかという一点で練習してきたため、スクイズをはじめとした小技やコンパクトな打撃は非常に秀でていて得点力は高い。投打に充実した内容を見せるかつての常勝軍団が、再びの頂に向けて歩を進めていく。

一方、敗れた石見智翠館は山崎琢山本由ともに工夫してよく投げ、継投策も用いて流れを変えようしたが、この日は智辯和歌山の打棒の前になかなか自分たちのペースに持ち込めなかった。弘前学院聖愛、日大山形と打線の良いチームに競り勝ってきたが、やはり智辯打線の攻撃力の方が一枚も二枚も上手だったということだろう。また、攻撃でもなかなかランナーが出なかったため、3回戦で見せたエンドランのような仕掛ける野球はできなかった。

ただ、9回に山崎琢のタイムリーで挙げた意地の1点は確実に次の代につながる得点であったし、何より校名変更後の初勝利を含む2勝を挙げてのベスト8入りは実に18年ぶりの出来事だった。島根の伝統校が久々に躍進を見せた大会になった。

2021年選手権準々決勝予想 智辯和歌山vs石見智翠館 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

石見智翠館 (島根) vs. 智弁和歌山 (和歌山) ハイライト || 高校野球 全国高等学校野球選手権大会準々決勝 2021.08.26 – YouTube

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