2021年選手権準決勝予想 智辯和歌山vs近江

2021年

2021年選手権3回戦

近江vs智辯和歌山

49%    51%

〇8-2  日大東北 〇5-3  高松商

〇6-4  大坂桐蔭 〇9-1  石見智翠館

〇7-4  盛岡大付

〇7-6  近江

 

2018年以来3年ぶりとなる両校の対戦。日程面ではやや智辯和歌山が有利な気もするが、1回戦から勝ち上がった近江の勢いが凌駕する可能性も十二分にある。

 

智辯和歌山は準々決勝でエース中西、サイド右腕の伊藤を温存することに成功。初戦が不戦勝になったこともあり、投手陣のやりくりには最も余裕のあるチームとなった。中西は140キロ台後半の速球とカーブ、スライダーをコントロールよく投げ分ける本格派であり、3回戦で高松商の豪快かつしたたかな打線を抑えたことからもそうやすやすと失点はしないだろう。

対する近江打線は4試合連続で6点以上をたたき出しており、得点力は高い。明石、井口、西山、横田ら足でかき回す面々と山田、新野、島滝と長打で決めれるスラッガーの両者がうまく融合しており、智辯和歌山を足元から揺さぶって勝負を決める一発を放つ展開に持ち込みたい。連戦となる投手陣を援護するためにも序盤から仕掛ける野球ができるか。

 

一方、近江は全試合で山田から岩佐への継投で勝ち上がってきた。球数も気になるところだが、リリーフの岩佐が準々決勝の終盤にボールの抑えが効かずに打ち込まれたのは懸念材料だ。山田は投げるたびに制球力を増してきているが、残りの球数から見て100球前後での交代は免れないだろう。勝敗のカギは岩佐が握っているかもしれない。

対する智辯和歌山打線は準々決勝で15安打9得点と打棒が爆発。大会終盤に差し掛かって調子を上げるという、智辯和歌山の伝統的ないい流れができつつある。もともと市立和歌山・小園を攻略するために磨いてきた打棒とあって、近江の山田・岩佐は相性は良さそうだ。宮坂、徳丸の2人も当たりを取り戻しつつあり、脇を固める大仲、角井、渡部、高嶋らも好調を維持。ある程度の得点は挙げてくるだろう。

 

連戦の近江投手陣は智辯和歌山打線を序盤は抑えられたとしても、1試合トータルではある程度の失点は覚悟しなくてはならないだろう。とすると、カギは近江の攻撃陣が援護点を、それも早い段階で挙げられるかどうか。中西、伊藤の投手陣もそうだが、足を使った攻撃で2年生捕手の渡部に圧力をかけていきたい。

 

主なOB

近江…木谷寿己(楽天)、伊奈龍哉(ソフトバンク)、小熊凌祐(中日)、植田海(阪神)、京山将弥(DeNA)

智辯和歌山…中谷仁(楽天)、岡田俊哉(中日)、西川遥輝(日本ハム)、黒川史陽(楽天)、細川凌平(日本ハム)

 

滋賀  和歌山

春  1勝   1勝

夏  1勝   2勝

計     2勝     3勝

対戦成績は和歌山勢の3勝2敗。智辯和歌山は2度対戦歴があり、2009年夏は県大会無失点のエース岡田(中日)が初出場の滋賀学園を完封し、2-0で勝利を収めた。一方、2018年夏は選抜準優勝の智辯和歌山に対して、近江の継投策が見事に的中。4投手のリレーで林(広島)、文元、冨田、黒川(楽天)と強打者の並ぶ打線を封じ込め、7-3で勝利を収めた。

近江と智辯和歌山は3年ぶりの顔合わせとなる。あの時とは立場が異なり、近江もさらに全国での立ち位置を上げてきている、智辯和歌山のリベンジか近江の返り討ちか、近畿勢同士の準決勝第1試合が幕を開ける。

思い出名勝負

2018年夏1回戦

近江

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 2 1 0 0 3 1 7
0 2 0 0 0 0 0 0 1 3

智辯和歌山

 

近江        松岡→林→佐合→金城

智辯和歌山  平田→小堀→池田陽

 

2018年は打倒・大阪桐蔭をテーマに各校がしのぎを削った一年であった。そんな中、選手権大会1回戦で近畿勢の有力校2校が早くもつぶし合う組み合わせが実現した。

近江は春夏連続の甲子園出場。選抜では金城、林の両左腕を中心に粘り強い戦いを見せ、サヨナラ負けは喫したものの実力上位の星稜とも互角の戦いを演じた。夏に向けて右腕・佐合が成長したことで、継投の選択肢が増え、打線も不動の4番北村を中心に得点力もUP。総合力では歴代No.1と多賀監督が自信を持つチームが大舞台へと乗り込んできた。

対する智辯和歌山も春夏連続出場。選抜大会で準優勝を飾り、久々に全国上位に進出した。投手陣はカーブの制球がいいエース平田に、技巧派右腕・小堀、速球派の2年生・池田陽の3人の右腕で乗り切る。打線は屈指のスラッガー林を中心に文元、冨田、黒川と長距離砲が並び、選抜では2度5点差をひっくり返す逆転劇を演じた。打倒・大阪桐蔭の一番手として、そして2000年以来の全国制覇に向けて登場してきた。

 

試合は先発で近江が右サイド右腕の松岡を起用。智辯和歌山・高嶋監督も読み切れなかった第4の男が智辯和歌山打線をかく乱する役割を担った。

その智辯和歌山打線だったが、初見の投手相手でも早くも2回に先制点を奪う。四球と7番根来のヒットでチャンスをつかむと、8番東妻(DeNA)がアウトコースのボールをうまくセンター前に落として1点を先制。さらに続くチャンスで9番平田はスクイズを成功させ、2点目を奪う。

先行された近江だが、3回から2年生左腕の林にスイッチすると智辯和歌山打線を得意のチェンジアップで手玉に取る。すると、4回表に近江はランナーを一人置いて打席には4番北村。アウトコースのストレートを真芯でとらえた打球は左中間スタンドに飛び込む2ランホームランとなり、あっという間に試合を振り出しに戻す。

さらに5回表には7番山田がアウトコース低めの変化球を救い上げた打球はぐんぐん伸びてライトスタンドに飛び込むホームランとなり、1点を勝ち越す。このボールはコースも低さも決して悪くはなかった。たしかに打者のバットが一番伸びるところではあったが、このコースがスタンドインされたのはバッテリーにとってもショックだったのではないだろうか。リードの幅も狭いものになってしまったと思われる。

自慢の打線がなかなか機能しない智辯和歌山は5回裏に2アウト満塁と林を攻め立てるが、5番冨田が凡退して無得点。選抜でチャンスに強い打撃を見せてきた冨田だったが、このばめんでは一本が出なかった。近江の先発・松岡は2点は取られたが、智辯和歌山打線の目先をぶらせたという意味では大きな役割を果たした。

智辯和歌山は6回裏にもチャンスを作るが、ここで近江は成長著しい右腕・佐合をマウンドに挙げる。次々繰り出されるタイプの違う好投手の前に智辯和歌山打線は分断。伸びのあるストレートで押す投球の前に再びチャンスを作り出せなくなる。

すると、調子の上がり切らないエース平田から8回表に近江打線がダメを押す。2アウトから3番家田のタイムリーで1点を追加すると、さらにランナーを置いて4番北村が今度はカーブを完ぺきにとらえてレフトスタンドへ2ランホームランを叩き込む。北村はこの日2ホームラン、3打点の大活躍であった。

追い上げたい智辯和歌山は9回に4番手のエース左腕金城を攻めて犠飛で1点を返したが、反撃もここまで。試合前から先手先手の作戦で智辯和歌山に主導権を渡さなかった近江が同じ近畿の強豪・智辯和歌山を下し、2回戦進出を果たした。

 

近江はその後、前橋育英、常葉大菊川と優勝経験校を次々に下してベスト8へ進出。準々決勝で吉田(日本ハム)率いる金足農に逆転サヨナラの2ランスクイズで敗れたが、この年の戦いぶりは大いに手ごたえを感じるものになったはずだ。2001年の準優勝のあとも県内の高校野球を引っ張ってきた湖国の強豪が今年、3年前の壁のベスト4の壁も破って、全国制覇にむけて突き進んでいる。

一方、敗れた智辯和歌山は高嶋監督のラストイヤーを飾ることはできず。この年の智辯和歌山が投打にここまでやり込められたのはおそらく初めてだったのではないだろうか。それだけ近江の作戦面のしたたかさが見事であった。また、エース平田の球威がこころなしか選抜の時ほどではないように見え、長打で得点を量産されたのも痛かった。

しかし、智辯和歌山も中谷監督にかわってから成績を落とすことなく強豪の地位を維持しており、県内のライバルの市立和歌山とともに和歌山の野球を盛り上げ続けている。

2021年選手権準決勝 智辯和歌山vs近江(14日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2018年夏甲子園 1回戦 智弁和歌山(和歌山)vs 近江(滋賀)試合ハイライト – YouTube

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