2021年選抜1回戦 明豊vs東播磨(3日目第3試合)

2021年

大会3日目第3試合

 

東播磨

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
3 0 1 0 0 1 3 0 1 0 0 9
3 0 2 0 0 4 0 0 0 0 10

明豊

 

東播磨  鈴木→若杉→鈴木

明豊   京本→太田→財原

地元の大声援に乗った東播磨と3年連続で大舞台を踏む明豊の対戦は、序盤から一進一退のシーソーゲームに!東播磨の大健闘で試合は延長戦にもつれ込んだが、最後はサヨナラ暴投で明豊が薄氷の勝利をつかんだ。

試合

明豊の先発は長身から角度のあるボールを武器とする京本。しかし、立ち上がりから東播磨の打線につかまる。2番島津が巧みな流し打ちで出塁すると、東播磨の機動力を警戒してか、京本が連続四球を与える。いきなり満塁となって打席には5番エースの鈴木京本の高めのストレートを流した打球はライトの頭の上を超す2塁打となり、東播磨が2点を先制する。

東播磨にとってはロースコアでの勝利を目指していた中で勇気を与える得点。さらにランナー3塁からエンドランをかけるなど、積極的な走塁で明豊に圧力をかける。続く6番熊谷も変化球をレフトに運んで1点を追加し、スコアボードに「3」が刻まれる。両チームにとってかなり想定外のスタートだ。しかし、続くスクイズは明豊バッテリーが落ち着いて外し、さらなる追加点は阻んだ。

この3点は明豊だけでなく、東播磨の落ち着きも奪ったか。守りで勝つ野球の東播磨のエース鈴木も立ち上がりが硬くなる。先頭にいきなり四球を与えると、打撃には元来自信を持つ明豊打線も黙っていない。1アウト2塁から3番黒木、4番米田、6番竹下のヒットであっという間に試合を振り出しに戻す。ストレートの球速が秋から伸びて140キロ台に達した鈴木だったが、立ち上がりボールが高めに浮いたところを明豊打線は逃してはくれなかった。

試合前の予想とは違って打撃戦となった試合は激しい攻防となる。3回表、東播磨は死球で出たランナーを盗塁と犠打で3塁へ進めると、4番砂川のタイムリーで1点を追加。この場面も3塁ランナーはボールとバットがコンタクトする前にスタートを切っていた。明豊の2本柱の一人である京本を早々とマウンドから引きずり下ろす。

対して明豊もその裏、再び上位打線がとらえ、2番・3番黒木が連打を放つと、送って2,3塁から5番山本が2点タイムリー。昨秋の九州大会で好投手を打ち砕いてきた打線の前に、東播磨の鈴木もとらえられてしまう。不運な当たりも多かったが、ストレートにもスライダーにも序盤からしっかりと明豊打線のうまさが上回った。

鈴木も4回からマウンドを2番手左腕の若杉に譲る。複数の好投手を擁する明豊に対して、大黒柱の鈴木を失った東播磨の方が不利に感じられたが、試合の流れはまだ膠着する。グラウンド整備の終わった6回表、明豊の2番手左腕・太田が突如として制球を乱す。四球のランナーを2塁に進められると、ここからなんと3者連続の四球を与えて押し出しで同点。東播磨の何をやってくるかわからない攻撃が、ボディブローのように明豊投手陣を苦しめる。

このじれったい展開を押し返したい明豊は6回裏、苦しんでいた明豊の2番手左腕・若杉を攻略。3四球を選んで満塁とすると、3番黒木が若杉の得意とするスライダーが高めに浮くのを逃さない。走者一掃の3塁打となって一気に3点を勝ち越すと、さらに4番米田の犠飛で大きな4点を奪う。

さすがに勝負は決まったかと思われたが、明豊も京本太田の左右2枚看板がKO。3番手で財原を送るが、またしても東播磨打線の選球眼の良さと走塁の圧力の前に四球を連発。押し出しや犠飛で一気に3点を返し、すぐに試合の流れを押し返す。この試合、数字だけを見ると四死球が多く、荒れた内容になるが、その背後にはお互いの攻撃陣の工夫と気迫が潜んであり、ただの大味な試合ではなかった。

その後、試合は再登板した東播磨・鈴木ともはや自分しかいないと覚悟を決めて投げる明豊の財原の投げ合いに。1点差で迎えた9回表、東播磨は先頭の3番・高山の2塁打から1アウト3塁のチャンスを築くと、ここでも構わず3塁ランナーが「ギャンブルスタート」を仕掛ける。ここまで複数回同様の走塁を見せており、さすがに外される怖さもあっただろうが、自分たちの野球を貫き、サードゴロの間に同点に追いつく。

試合前の予想をはるかに超えた乱打戦は延長に突入。東播磨の鈴木に徐々に疲れが忍び寄るのに対して、財原は徐々にボールやマウンドがフィットしてきたか、10回、11回と東播磨の反撃をしのいでいく。

すると、11回裏に決着はあっけなく訪れた。先頭の2番の四球と当たっている3番黒木のエンドランでサヨナラのチャンスを迎えると、4番米田の投手ゴロも鈴木が悪送球して満塁に。代打・田中を迎えて、球数が130球を超え、限界の近い鈴木のボールが最後は暴投となって3塁ランナーがホームイン。お互いに多くの見せ場を作った打撃戦を明豊が制し、2019年の選抜に続いて2回戦進出を決めた。

まとめ

明豊にとっては守りの面で相当課題の残る試合にはなったが、とにもかくにも初戦は突破した。自慢の打線は中軸が全員複数安打を放ち、好投手・鈴木のスピードボールやキレのある変化球にも対応して見せた。京本太田はともに乱調だったが、本来の出来はこんなものではないだろう。次戦以降、挽回のチャンスがあるわけで、もう一度昨秋のような守りからリズムを作る野球をしていきたい。

対する東播磨は大・大・大善戦と言っていい内容。乱打戦は思い描いていた展開とは違ったかもしれないが、相手ディフェンスをかく乱する走塁や多くの四球をもぎ取った選球眼は、明豊を大いに苦しめた。加古川北を2度の甲子園に導いた福村監督の指導のたまものだろう。エース鈴木は序盤明豊打線につかまったが、終盤は持ち味のスライダーも冴え、接戦を演出。21世紀枠ということを忘れさせるほどの互角の試合を演じた経験は必ず夏に活きるはずだ。

2021年選抜1回戦予想 明豊vs東播磨 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

3月22日【明豊 VS 東播磨 】ハイライト…第93回選抜高等学校野球大会 – YouTube

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