• 2022年選抜決勝 大坂桐蔭vs近江(11日目第1試合)

    2022年04月01日

    大会11日目第1試合

    大坂桐蔭

    1 2 3 4 5 6 7 8 9
    1 1 3 0 1 4 4 4 0 18
    0 0 0 0 1 0 0 0 0 1

    近江

     

    大坂桐蔭  前田→川原

    近江    山田→星野→平井

    4年ぶりの近畿勢対決となった選抜決勝は大阪桐蔭が猛打で近江を圧倒。4年ぶりの選抜制覇を圧倒的な強さでもぎ取った。

    試合

    大坂桐蔭は2年生左腕の前田、近江はエース山田が5試合連続でそれぞれ先発マウンドに上がった。

    1回表、近江の先発・山田は怪我の影響かストレートが走らず、変化球主体のピッチングに。その立ち上がりを大阪桐蔭打線が鋭く攻める。1番伊藤のレフト方向への打球をショート津田が捕球しきれずに落とし、伊藤が3塁まで進むと、2番谷口がすかさずライト前に運んで先制。インサイドを突いたボールだったが、やはり本来の球威ではない。

    2回表にも四球のランナーをきっちりバントで進めて9番前田のタイムリーで返した大阪桐蔭は、投げても前田が完ぺきなピッチングを展開。球威のある真っすぐが左打者のアウトコース低めに突き刺さり、スライダー、チェンジアップも駆使しながら近江打線を封じ込める。ミートのうまい近江の打者をもってしてもなかなかとらえきれないボールであった。

    この日は、右打者へのツーシームでなんとか投球を組み立てていた山田だったが、3回についに限界を迎える。2番谷口を死球で歩かせると、3番松尾には甘く入ったストレートをとらえられ、弾丸ライナーでレフトスタンドへ運ばれて4-0。ここで山田自らベンチに交代のサインを送り、ここまですべてのイニングで近江のマウンドを守り続けてきたエースがマウンドを降りた。

    近江は2番手で左腕・星野をマウンドに送るが、代わり端、6番田井に高めのストレートを打たれ、差は5点に広がる。しかし、その後、星野は持ち味のチェンジアップを武器に投球を立て直し、4回・5回を1失点にまとめる。長身から繰り出すストレートにも角度があり、夏の大会で山田の負担を軽減しうるピッチャーである。

    4回まで前田の投球の前に鳴りを潜めていた近江打線だったが、5回裏に反撃を開始する。6番川元がファウルで粘って10球目を叩くと、ファーストベースに当たる幸運な内野安打になって出塁。ここで点差はありながらも、7番清谷に犠打を命じて得点圏にランナーを進めると、2アウト後に9番星野の1,2塁間の打球が雨でバウンドが変わって抜けていき、近江に待望の初得点が生まれる。

    ただ、大阪桐蔭打線の本当の恐ろしさが出るのは打者2巡目からであった。6回以降は、星野の緩急と角度をつけた投球に対応しはじめ、とにかくボール球には手を出さずに甘いボールを長打で仕留めてくる。6回表に5番海老根の3ランが飛び出すと、7回には4番丸山の満塁走者一掃のタイムリー、8回表には2番谷口のグランドスラムで3イニング連続の4得点と近江を圧倒。上位から下位までまるで穴のない打線で試合を支配していった。

    投げては7回まで前田が2安打1失点11奪三振の力投を見せると、8回からは昨夏の近江戦で決勝打を浴びた右腕・川原が登板。今大会の大阪桐蔭の戦いに勢いをつけた大型右腕は、危なげないピッチングで近江打線を封じ込める。9回に近江打線の粘りにあって連打を浴びたものの、最後は6番川元を併殺打に打ち取り、試合終了。

    準々決勝以降の3試合をすべてワンサイドゲームで制した大阪桐蔭が、春夏通算9度目の優勝を危なげなくつかみ取り、秋春連覇を達成した。

    まとめ

    大坂桐蔭はこれで新チーム結成以降、負けなしのまま選抜の頂点にたつことに。2002年の報徳学園以来、20年ぶりの快挙であった。投手陣で言えば、当初は最終ブロックに入ったことで投手陣のやりくりが大変になるかと思われたが、2回戦が不戦勝になったことで、球数制限の影響食らわない幸運もあった。

    ただ、そうはいっても一番大きかったのは右腕・川原の成長だろう。昨秋までは抜け球が多く、アウトコース主体の勝負が多かったが、今大会では変化球も含めて右打者のインサイドに正確にコントロールできており、投球の幅が段違いに広がった。大会初戦で「右」の柱が生まれたことは西谷監督を安堵させただろう。

    また、2年生エース前田はとても2年生とは思えない安定感あるピッチングを展開。現段階で抜群のコントロールとキレを誇っており、体ができてきたら、まだまだ球速・球威が増すことを考えると、末恐ろしい投手である。これから2年間は前田を中心に高校球界が回っていきそうだ。

    そして、なんといっても素晴らしいのは準々決勝からの3試合で48得点をたたき出した打線である。1番から7番まで全打順でホームランが飛び出した長打力に加え、相手の配球やポジショニングを読む対応力、抜け目のない走塁も加わってくるのだから、相手投手にとっては本当にたまらない打線だ。初戦でこの打線を3点に抑えた鳴門の冨田投手の評価も今やうなぎ上りである。ここにまた有望な1年生が加わるというのだから、夏の破壊力はけた違いである。

    2012年はエース藤浪(阪神)を擁しながらも、まだまだ成長途上だった印象があり、2018年は根尾(中日)、藤原(ロッテ)らスター選手をそろえながらも、まだどこか隙もある印象だった。しかし、今年度のチームは過去の大阪桐蔭の敗戦から出た教訓をすべて活かしているかのような戦いで、投攻守走どこを取っても全くスキが見当たらず、恐ろしいまでの強さを誇っている。1998年の横浜以来となる「公式戦無敗」が現実的に視野に入っていると言わざるを得ないだろう。

     

    一方、近江は代替出場から一気の快進撃で、滋賀県勢初のファイナル進出という快挙を成し遂げた。優勝こそ果たせなかったものの、今大会の「主役」は近江であった。

    エース山田は昨夏と比較して下半身主導のフォームになったことで、ボールの角度がより増して、「高低」の攻めで打者を翻弄。肘への負担も減り、新たな境地を切り開いた。

    準決勝では足に死球を受けながらも、最後までマウンドを守り抜く気持ちの強さも発揮。一昔前なら称賛されたエースのこういう姿も、今は賛否両論吹き荒れるところではあるが、今年のチームの中心は誰がなんと言おうと山田であることを示す戦いぶりであった。

    また、打線も調整不足だった初戦の長崎日大戦こそ苦戦を強いられたものの、女房役の大橋に起死回生の同点タイムリーが飛び出し、タイブレークの末に勝利。そのあとは近江らしいつながりのよさで危なげなく、準決勝まで勝ち上がった。

    その準決勝では、攻撃のミスが重なり、エースのアクシデントもあって、苦しい展開になった。しかし、7回の多賀監督の執念のスクイズで追い付くと、最後はまたしても女房役の大橋が大仕事。浦和学院・金田のスライダーをレフトスタンドに叩き込み、滋賀県勢初の決勝進出を呼び込んでみせた。

    決勝勢は大差で力尽きたが、エース山田を中心に一枚岩になった時の強さは本当に素晴らしいものがあった。2018年夏の8強以降安定した強さを誇る「近江ブルー」が、全国の頂点に立つ日がやってくることを予感させる今大会の戦いぶりであった。

    【史上最強か?】2022年選抜決勝 大阪桐蔭 対 近江 – YouTube

    2022年選抜決勝予想 大坂桐蔭vs近江 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)