2022年選手権準々決勝予想  愛工大名電vs仙台育英

2022年

2022年選手権準々決勝

愛工大名電vs仙台育英

51%    49%

〇14-2  星稜     〇10-0  鳥取商業

〇6-5 八戸学院光星 〇5-4    明秀日立

〇5-2  明豊

ともに3回戦では強力打線を誇る相手を封じ込めてベスト8に進出。愛工大名電のエース有馬は疲労がやや気がかりだが、本調子ならば名電がわずかに有利と見る。

 

愛工大名電のエース有馬は2回戦の八戸学院光星戦こそ終盤に捕まったものの、3回戦では立て直しに成功した。140キロ台の速球にスライダー、タイミングを外すチェンジアップと全てのボールが一級品であり、特にスライダーは左打者にとっては難しいボールになりそうだ。打者のインサイドを強気に突くこともでき、本来の投球ができればそう多くの得点は望めない。

対する仙台育英は3回戦の明秀日立戦では選手層の厚さを見せ、代打攻勢で逆転へのきっかけをつかんだ。ただ、明秀日立の左腕・石川のスライダーには左打者が苦しんでいたこともあり、攻略のカギは右打者が握っているかもしれない。須江監督は積極的な走塁を絡める攻撃が得意であり、塁上からプレッシャーをかけて名電バッテリーを消耗させれば、終盤勝負に持ち込めるだろう。

 

一方、仙台育英は140キロ台の速球を投じる投手を複数擁するが、懸念材料があるとすれば、「核」となるはずのエース古川の調子だろう。2,3回戦を見ていても大事な場面を須江監督が任しており、3回戦のように彼の調子が上がってこないと選択肢が狭まってくる。一番調子のいい右腕・高橋を先発にもってくるか、抑えに持ってくるかも注目だ。みなストレートには自信をもっているが、このレベルまで来ると、速球勝負だけで抑えるのは難しいため、緩急を有効に使いたい。

対する愛工大名電打線は今大会絶好調。大当たりの1番加藤を筆頭に上位から下位まで満遍なくヒットが出ている。特に4番山田、5番有馬、6番市橋、7番美農と5割カルテットは対戦する投手にとっては実に恐ろしいラインナップだ。夏に弱いの汚名ももはや完全に過去の物であり、逆方向へのしぶとい打撃に機動力も絡めた足の圧力が重なって襲い掛かってくる。この打線を1試合通して抑えきるのは至難の業であり、やはり4~5点の失点は覚悟が必要か。

 

仙台育英としては3回戦のように豊富な選手層を活かして、局面を変えていきたい。がっちり組み合うと、愛工大名電に少し分があるように見えており、仙台育英としては投手層の差が結果に反映されるような展開に持ち込みたい。

 

主なOB

仙台育英…大越基(ダイエー)、金村暁(日本ハム)、佐藤由規(ヤクルト)、佐藤世那(オリックス)、平沢大河(ロッテ)

愛工大名電…工藤公康(西武)、山崎武司(中日)、イチロー(マリナーズ)、十亀剣(西武)、堂上直倫(中日)

 

愛知  宮城

春  0勝   0勝

夏  0勝   1勝

計     0勝     1勝

意外にも昨夏の東北学院vs愛工大名電が初めての対戦であった。名電の逆襲か、宮城勢の2連勝か。注目の準々決勝第1試合が幕を開ける。

 

思い出名勝負

2021年選手権1回戦

愛工大名電

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 1 1 0 3
0 0 3 0 2 0 0 0 × 5

東北学院

 

愛工大名電  田村→寺嶋

東北学院   伊東

 

2021年の大会2日目の第4試合は、常連校と初出場校の顔合わせとなった。

 

愛工大名電は140キロ台後半の速球を持つ田村、寺嶋の左右2枚看板が強力。愛知大会では東邦や享栄のパワフルなこうげきや中京のしたたかな攻めにも屈せず、愛知大会6試合で平均失点2でしのぎ切った。2人ともコントロールも安定しており、大量点を取ることは難しい。

また、打線は単純な打力が高いのに加えて、攻撃のバリエーションも豊富な。特に1番利光、2番伊藤はともに嫌らしい打撃で打ち取ることが難しく、神経をすり減らしたところに田村・宮崎の中軸がたたみかけて得点を奪っていく。下位打線まで息が抜けず、中京大中京の畔柳(日本ハム)をもってしても抑えきるのは困難であった。最低でも4~5点は奪いそうな勢いが感じられた。

 

一方、東北学院のエース伊東は187㎝の長身からの角度のあるボールが持ち味。ストレートには威力があり、変化球が低めに決まりさえすれば、勝負所で三振を奪う、自分本来の投球ができるだろう。名電の細かい攻撃に惑わされずに投げ切れるかが注目だれた。

対する東北学院の打線はビッグイニングを作れる集中打が持ち味。4番伊東の調子が上がらない中でも3番及川、5番大洞が打ってカバーするつながりの良さを見せた。県大会同様のビッグイニングを作るには、名電の投手陣の速いストレートに力負けせずに対応できるか、そして相手の配球が単調になるような攻撃に持ち込めるかが重要となる。

 

東北学院の先発はもちろんエース右腕・伊東。投球フォームは決してキレイなわけではないが、1989年に仙台育英で準優勝した大越(ダイエー)を思い起こさせるような投げっぷりのいい投球を見せる。ストレートは角度も球威も申し分なく、中京・畔柳など速球投手を攻略してきた打線が打者1巡目は全く手が出ない

これに対し、愛工大名電の先発は2刀流で注目されていた左腕・田村。1,2回を無失点で切り抜けるが、立ち上がりからボールが抜けがちで、1回から3四死球を与える。3回表まで両チーム得点は入らなかったが、試合は東北学院のペースで進行していった。

すると、3回裏に東北学院が2番今野の四球と3番及川のヒットでチャンスを築いたところで、名電は早くも2番手の寺嶋にスイッチする。田村の制球が安定しない中での交代は致し方ないところであったが、結果的にこの選択も吉とはならず。5番大洞がセンターへのヒットでつないで満塁とすると、2アウト後に7番山田が低めの速球をうまく流し打ち、左中間を破る走者一掃のタイムリー2塁打として大きな3点を先制する。

東北学院は初出場ということで硬さも見られるかと思われたが、序盤から各打者がストライクを積極的に打ちに行く姿勢で好結果をもたらした。以前は強豪校を相手に名前負けするチームも多かったが、情報化社会で相手の映像も研究しやすくなった今、伸び伸びと自分たちのプレーのできる選手が増えてきている気がする。

3点を追うこととなった名電だが、直後の4回にすぐ反撃に出る。それまで完ぺきに抑え込まれていた伊東をとらえ、1番利光と3番田村のヒットに失策も絡み、1アウト1,3塁とチャンスを拡大。ここで4番宮崎が基本に忠実なセンター返しを見せ、名電が1点を返すことに成功する。

これで流れを引き寄せたい名電だったが、東北学院打線が5回に効果的な得点を挙げる。2アウトランナーなしから5番大洞のヒットと盗塁でチャンスを作ると、6番木村、7番山田が連続短長打を放って2点を追加。寺嶋はストレートで押す投球で東北学院打線を抑え込めそうだったが、イニング途中でスライダー主体に切り替えようとしたところで、5~7番の軽打にあい、攻略されてしまった。

この4点のリードで余裕のできた東北学院・伊東は自分の投球を見失わずに、名電打線に対していく。7回には下位打線の連続2塁打、8回には3番田村のホームランでそれぞれ1点を失うが、後続をきっちり断ち、ともに最少失点で踏ん張る。初出場の東北学院が投打ともに愛工大名電に対して、まるで常連校のようなしたたかさを見せる戦いぶりであった。

結局、伊東は愛工大名電の強力打線を8安打3点に抑えて完投勝ち。打線の効果的な集中打で挙げた得点を守り切り、東北学院が初出場初勝利をマークして2回戦進出を決めた。

 

東北学院にとっては投打に会心の試合運びだっただろう。エース伊東は名電打線を相手に果敢に攻める投球を見せ、守りに入らずに投げ抜いた。また、利光、伊東の塁に出すとうるさい1,2番コンビを抑えたことも大きく、名電打線の流れを分断した。打線も田村、寺嶋という一線級の左右エースに対して、打てるボールにしっかりスイングをかけにいくことで相手バッテリーに重圧を与えた。

常連の仙台育英が敗退し、波乱の展開となっていた今年の宮城だが、結果的に県全体のレベルが底上げされていることを証明する形となった。2回戦でコロナウイルスにより、無念の出場辞退となったが、宮城に新たな強豪が誕生した一年となった。

 

一方、敗れた愛工大名電はまたしても夏に弱いというジンクスを跳ね返せなかった。選手個々の能力は間違いなく、出場校中でもトップクラスだったが、試合の入りで流れをうまくつかめず、ペース争いに負けてしまった。打線は中盤以降に8安打を放ち、田村も一発を放つなど力を見せたが、やはり中盤の集中打で後手後手に回ったことで、攻撃の良さを出し切れなかったことは否めなかった。

ただ、その悔しさを引きついだ後輩たちが、今年強豪校を立て続けに3校撃破してベスト8に進出。もう夏に弱いと言われることはないだろう。さらなる快進撃を目指し、次は宮城勢へのリベンジを目指す。

第103回 全国高等学校野球選手権大会 愛工大名電高校 vs 東北学院高校❗ – YouTube

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  1. […] […]

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