2022年選手権2回戦 浜田vs有田工(8日目第1試合)

2022年

大会8日目第1試合

有田工

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 1 0 1 0 0 3
0 0 2 0 0 3 0 0 × 5

浜田

 

有田工   塚本

浜田    波田→森井

公立校同士の対戦となった試合は、浜田打線が中盤に有田工のエース塚本を攻略。島根屈指の伝統校が2004年以来実に18年ぶりとなる甲子園1勝をマークした。

試合

浜田は島根大会では左腕・波田から右腕・森井への継投で戦ってきており、この試合も先発は波田を起用。一方、春夏連続出場の有田工は予定通り、エースの塚本が先発のマウンドに上がった。

有田工は1回表、そのエースで1番を打つ塚本がインサイドの直球を詰まりながらもセンターに落として出塁。送ってくるかと思われたが、2番松尾にはバスターを指示し、ライト前ヒットで無死1,2塁といきなりチャンスを迎える。3番山口駿が犠打で進めると、4番角田のショートゴロで1点を先制する。しかし、ここでショート中野は飛び出した2塁ランナーを刺し、追加点の芽を摘み取る。

その裏、有田工の先発はもちろんエース塚本。昨秋の九州大会では本大会で強打を発揮している海星打線を完封しており、クレバーな投球が売りだ。立ち上がり、1番中野、2番重川に立て続けにヒットを浴びるが、捕手・上原の好送球で盗塁を封じ、後続を連続三振に切って取る。緩い変化球をうまく使った投球が光る。

有田工は2回表にもまだ制球の安定しない波田を攻め立て、先頭の7番土谷の内野安打を足掛かりに連続四球を絡めて満塁のチャンスをつかむ。しかし、ここで2番松尾は三振、3番山口駿はレフトフライに打ち取られ、追加点を挙げられない。少ないチャンスを活かす有田工としてはこの逸機は痛かったか。逆に波田はピンチでよく決め球のスライダーを制球してみせた。

1,2回とヒットが出ながらも得点に結びつかなかった浜田だが、3回裏に塚本をとらえる。先頭の9番中村がショートへの内野安打で出塁すると、1番中野は初球デッドボールでランナーをためる。ここで2番重川には犠打を命じるが、これを処理した塚本が3塁へ悪送球してしまい、浜田がノーヒットで同点に追いつく。さらに3番波田には初球のストレートをとらえられ、打球は塚本のグラブをはじいてセンターへ抜けるタイムリーとなり、浜田がこの回一気に逆転に成功する。

ディフェンス型のチームの有田工としては自らのミスから失点し、平常心を取り戻す前にタイムリーを打たれて逆転と、らしくない野球でリードを許す。選抜では国学院久我山に先手を許して自分たちのリズムにならなかったが、この日はせっかくつかんだいいリズムを自ら手放してしまった。

それでも、5回表に有田工は1番塚本が四球で出塁すると、犠打とライトフライで3塁へ。ここで昨秋から4番に起用されてきた2年生角田が投手強襲の内野安打を放ち、同点に追いつく。やや下位打線の弱い有田工としては、上位打線で作ったチャンスをきっちり活かして同点に追いつくことができたのは大きかった。

グラウンド整備を終えた6回表、有田工は先頭の先頭の6番上原が四球で出塁。ここで家田監督は右腕・森井にスイッチする。波田は立ち上がりややバタついたが、スライダーを低めに集める投球で先発としての仕事を果たした。犠打でランナーは2塁に進むが、森井は右腕からのスライダーで後続を打ち取って浜田に流れを引き込む。

すると、6回裏、浜田は先頭の4番上田が緩いカーブをとらえてヒットで出塁。さらに5番には強攻策でレフトへのヒットとなり、1塁ランナーは一気に3塁へ。さらに送球間に打者走者も2塁へ進む好走塁で一気にチャンスを拡大する。ここまでタイミングの合っていなかった塚本の緩いボールを徐々にとらえ始める。ここで6番高木がインサイドのスライダーをとらえると、打球は1,2塁間を破るタイムリーとなって2者が生還。再び浜田がリードを奪う。

中盤に入って一気の3連打で勝ち越しに成功すると、犠打とセカンドゴロで高木は3塁へ。9番中村はインサイドのボールで詰まらせるが、これがライトへのテキサスタイムリーとなってこの回計3点を挙げる。遅い球速帯で緩急をつける塚本に対して、しっかり呼び込んで逆方向へ打ち返す浜田打線の姿勢が実った攻撃だった。

反撃したい有田工は直後の7回表に1番塚本が2塁打を放って出塁すると、内野ゴロ2本でホームを陥れる。さらに8回表には6番上原が2塁打、9回表には1番塚本がサードゴロエラーで4度目の出塁を果たすが、追撃はならず。森井がスライダーを軸に我慢強い投球で有田工打線の反撃を断ち切り、バックも攻守もあって、終盤2イニングは無失点。浜田が5-3で有田工を下し、2004年以来18年ぶりにベスト16進出を決めた。

まとめ

浜田は前回出場時に主将で1番を打っていた家田監督が自身の出場時以来となる1勝を記録した。初回に失点の場面で内野手が先の塁で走者を殺すなど、視野の広いクレバーなプレーで流れをつかむと、中盤に集中打で好投手・塚本を一気に攻略。目立ったプレーヤーはいないものの、攻守に洗練された野球を見せた。梨田昌孝(近鉄)、和田毅(ソフトバンク)など偉大なプレーヤーを輩出した伝統校が久々の甲子園で躍動した。

一方、有田工はいい形で先制点を奪ったが、やはり守りのミスからの失点は痛かった。1番塚本が4出塁するなど、再三塁上を賑わせたが、やはり全体的に決定打にかける感は否めなかった。ただ、エースを中心に守りの野球で春夏連続出場を果たしたことは、今後のチームの大きな財産になりそう。佐賀県らしい守りの野球で、また甲子園に戻ってくる日はそう遠くないだろう。

ハイライト/2022年8月13日第104回全国高校野球選手権大会2回戦/有田工業高校(佐賀代表)vs浜田高校(島根代表) – YouTube

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