2022年選手権3回戦 愛工大名電vs明豊(10日目第3試合)

2022年

大会10日目第3試合

明豊

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 1 0 0 2
1 0 1 1 2 0 0 0 × 5

愛工大名電

 

明豊     江藤→野村→森山

愛工大名電  有馬

強力打線の明豊と愛工大名電の左腕・有馬の対決が注目された試合は、名電打線が序盤から明豊投手陣を着実に攻略。有馬が味方打線の築いたリードを守り切り、工藤公康(ソフトバンク監督)を要した1981年以来となる8強進出を決めた。

試合

明豊は過去2試合で計4人の投手がマウンドに上がっていたが、この日は大会初登板となる左腕・江藤が先発。左の好打者が多い名電相手に満を持しての登板となった。一方、2回戦をサヨナラ勝ちで勢いに乗る愛工大名電はもちろんエース有馬がこの試合も先発することとなった。

前回の八戸学院光星戦では7回途中でKOされた有馬。リベンジに燃えるこの日は、強打の明豊打線に対し、立ち上がりから140キロを超える快速球とスライダー、チェンジアップで堂々のピッチングを見せる。左打者5人が並ぶ明豊打線だが、有馬はしっかりとインサイドをついて封じ込めていく。

これに対し、名電打線の目先をかわすため、ある程度継投策を頭に入れている明豊・川崎監督だが、大分大会途中で体調不良で離脱しながら復活してきた江藤に対し、ある程度のイニングは食ってほしいところだ。

しかし、1回裏、名電は1アウトから2番大森が四球で出塁。3番伊藤には逆方向への打球で左中間へはじき返され、1,3塁とピンチが広がる。多彩な変化球でかわすのが江藤の持ち味だが、好調な名電打線はしっかり呼び込んでとらえてくる。ここで4番山田がきっちりとレフトへ犠飛を打ち上げ、名電が1点を先行する。だが、後続の盗塁を捕手・鈴木の好送球で刺し、自慢のディフェンスでさらなる追加点は防ぐ。

打ち合いに勝機を見出したい明豊だが、この日は攻撃がかみあわない。2回表に5番竹下の四球と6番牧野の内野安打から1アウト2,3塁のチャンスを作るが、ここで有馬の巧みなけん制で3塁ランナーが刺されてしまう。左投手にも関わらず、見事な3塁けん制であり、3塁手との抜群のコンビネーションが光る。後続もサード大森の好守に阻まれ、同点に追いつくことができない。

3回表にも明豊は満塁まで攻め立てながら好調の3番後藤、5番嶽下が三振に取られて、無得点。好調の左打者2人が有馬の快速球とスライダーの前に決定打を出せない。すると、3回裏には2番手でマウンドに上がった野村が2番大森、3番伊藤に連打を浴び、2点目を許す。3回まで名電ペースで試合が進む。多彩な投手陣を擁する明豊だが、絶対的な球種を持った投手がいるわけではなく、名電打線は確実に甘く入ったボールをとらえてくる。

それでも内外野の必死の堅守で食らいつく明豊は、4回表にようやく反撃が実る。先頭の6番牧野がヒットと盗塁で2塁へ進むと、捕逸で3塁へ。ここで8番西村が犠飛を放ち、そつなく1点を返す。相手のミスから得たこの1点で試合はまだわからないと思われた。

だが、2回戦のサヨナラ勝ちで勢いづいた名電打線の威力は想像以上であった。4回裏、好調の6番市橋がヒットで出塁すると、すかさず盗塁を敢行。明豊バッテリーに落ち着く間を与えない。センターフライによるタッチアップで3塁へ進むと、明豊は早くも3番手に最も安定感のある森山を送る。追加点を防ぎたい明豊だったが、8番石見に前進守備の二遊間を抜かれ、1点を許す。上位から下位までとにかく今年の名電打線は振れている。

5回裏には、なおも森山を攻め立て、好調の1番加藤のヒットを足掛かりに2アウト1,2塁とすると、5番有馬がライト前に痛烈なタイムリーを放ってもう1点追加。さらに、6番市橋もセンターへのタイムリーで続いてこの回2点を挙げる。ここまで最少失点で踏ん張ってきた明豊だったが、名電打線の鋭い攻撃をかわしきれなかった。

セーフティリードをもらった有馬はこの日はスイスイと投げていく。7回表に森山の3塁打を起点に1点を失うが、ここでもセカンド市橋の好守でチャンスを広げさせない。サード大森も再三難しい打球を処理するなど、バックがエースをしっかりエースを盛り立てる。一方、明豊の野手陣も負けじと堅守を見せ、名電打線に17人ものランナーを許しながらも失点は5点にとどめた。

継投も視野に入れていた倉野監督だが、この日は最後まで有馬に任せる。毎回ランナーを出しながらも最後まで球威の落ちなかった有馬が、アグレッシブな明豊を2失点に封じてゲームセット。投打にがっちりと歯車のかみ合った愛工大名電が、今大会3勝目を挙げ、1981年以来実に41年ぶりのベスト8進出を果たした。

まとめ

愛工大名電は、この日は何といっても有馬の投球が素晴らしかった。好球を積極的に打ってくる明豊に対し、ボールの威力でしっかり封じていった。インサイドを果敢に突く速球、切れ味抜群のスライダー、タイミングを外すチェンジアップと全てのボールが効果的であった。打線はこの日も2桁の12安打で明豊投手陣を攻略。投打ががっちりかみ合った名電が、強豪を立て続けに3校撃破し、8強に名乗りを挙げた。

一方、明豊は継投策でなんとか名電の攻撃をかわそうとしたが、名電打線のシャープなスイングで確実に甘いボールをとらえられて失点を重ねた。堅守で傷口を最小限にとどめていったが、やや力負けの感は否めなかった。自慢の打線も再三塁上を賑わせたが、この日は2点どまり。こちらも有馬の力のあるボールをとらえることができなかった。

ただ、もはや明豊のスタイルとも言える継投・強打・堅守を武器に今年も甲子園で2勝を記録。タレントぞろいだった昨年の先輩たちを超える結果を残して見せた。川崎監督のもとで着実に力を蓄えている明豊が甲子園で躍動する日は、またすぐにやってくるだろう。

【第104回選手権】愛工大名電 vs 明豊 ハイライト – YouTube

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