2022年選抜1回戦 近江vs長崎日大(2日目第2試合)

2022年

大会2日目第2試合

近江

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 4 6
0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

長崎日大

 

近江    山田

長崎日大  種村→川副

ともに破壊力のある打線を擁するチームの対戦となったが、予想に反して試合は投手戦に。最終回に奇跡の同点劇を演じた近江が、今大会初のタイブレークに及んだ死闘を制し、2回戦進出を決めた。

試合

長崎日大は種村、近江は山田と両エース右腕が先発のマウンドに上がった。

近江の山田は昨夏4強入りの原動力となった右腕。しかし、やや上体主導の投球フォームであったことから肘を故障してしまい、昨秋は一切マウンドに上がらずに野手としてシーズンを過ごした。その間に下半身主導のフォームへと修正し、補欠枠ながら京都国際の出場辞退で急遽甲子園のマウンドに上がれることとなった。

この日は強打の長崎日大打線を相手に、角度のある速球を主体とする投球で封じていく。昨夏の投げ方と比べると体重移動がスムーズであり、ボールもより前で放せるようになっている。抜いた変化球の使い方も相変わらずうまく、怪我を光明として一段階成長を見せた。

一方、長崎日大のエース種村は昨秋の戦いではやや失点が多かったが、この日はカーブを主体に内外角をうまく突いて近江打線を抑え込む。特にキーマンとなる4番山田に対してはうまく打ち気をそらす投球でボール球を打たせ、フライアウトに打ち取っていく。

近江が実戦練習からやや遠ざかっていた影響もあるのかもしれないが、それを差し引いても種村の投球は素晴らしい。九州大会準決勝で九州国際大付打線に打ち込まれた経験を活かして、種村もまた成長した姿を甲子園で見せつける。

両投手の好投で試合は無得点のまま進んでいく。近江は5回表に先頭の5番岡崎の2塁打を足掛かりに2アウト1,3塁のチャンスを迎えるが、ここも種村がカーブ主体の投球でしのいで無失点に。バックも堅い守備でエースを盛り立て、投手戦の様相を呈してきた。

この膠着状態を先に打開したのは、長崎日大だった。6回裏、この回やや変化球が抜け気味の山田から2番立川がヒットで出塁すると、3番平尾にあえて送らせて2アウト2塁とする。ここで4番河村が初球のスライダーを逃さずとらえてレフトオーバーの2塁打とし、1点を先制。さらに5番白川も高めに浮いた変化球をライトオーバーにはじき返して、この回2点を先制する。

山田の角度のある速球に苦しんでいた長崎日大打線だったが、変化球が甘めになったところを逃さずとらえた打撃は見事であった。

先制点をもらった種村は淡々と自分のピッチングを展開。変化球をカウント球にも勝負球にも使えるため、投球の幅が広い。近江打線からすると、早いカウントから追い込まれてしまうため、どうしても打たされる格好で勝負が決まってしまう。

一方、後半ボールが浮き気味の山田だったが、失策や四球でランナーを背負いながらも自らの好フィールディングなどでピンチを脱する。昨夏は上級生に引っ張ってもらっている側面もあったが、この日はチームのエースとして堂々たるピッチングを見せた。

すると、このエースの力投に打線がようやく応える。9回表、先頭の3番津田が右中間への2塁打で出塁すると、4番山田にはこの日再三投じていたインサイドのボールが抜けて死球に。1,2塁となったところで5回に長打を放っていた5番岡崎が1,2塁間を痛烈に破るタイムリーを放ってついに近江が得点を挙げる。

さらに無死1,3塁のチャンスで長崎日大は種村をあきらめ、左腕・川副にスイッチする。続く6番川元の打球はレフトへのフライになるが、これを長崎日大のレフト平尾が好返球でホームタッチアウトにし、2アウト1塁になる。反撃もここまでかと思われたが、続く7番西川が死球でつなぐと、8番大橋は捕手らしく川副の得意なカーブを読み打ち。これがライトへのタイムリーとなって土壇場で近江が同点に追いつく。

試合はそのまま延長戦に突入し、一進一退の攻防となる。延長10回表に近江の2アウト1,2塁のチャンスを左腕・川副がしのげば、10回裏に長崎日大が失策・四球で得た1アウト満塁の場面では山田が渾身の真っすぐで後続を打ち取って無失点で封じる。両者譲らない展開で、ついに今大会初のタイブレークに突入する。

13回表、ついに決着の時が訪れる。無死1,2塁からのスタートで近江の打順は願ってもない4番の山田。初球、川副の投球の軸となっていた変化球を狙い打ち、レフトへのタイムリーヒットとなって1点を先制。さらに続く5番石浦の犠打が悪送球を誘って3塁ランナーが生還し、2点目を献上してしまう。さらにこの回連続暴投でもう2点を追加し、大きな「4」がスコアボードに刻まれる。

大きな追加点をもらった山田は最終回になっても角度のある速球と落差のある変化球の威力は落ちず。無死1,2塁であることを感じさせない投球で長崎日大打線を無失点に抑え、3年前の出場に続いて初戦突破を果たした。

まとめ

近江としては非常に苦しい試合をものにし、大きな1勝を手にした。打線は8回まで長崎日大の種村に苦戦を強いられたが、最終回になって各自がきっちり狙い球を絞って好球必打し、攻略につなげた。

山田も6回にやや制球が乱れたが、その他はランナーを背負いながらも粘りの投球で完投勝ち。京都国際に変わって急遽出場で準備不足もあったとは思うが、見事な投球であった。球数がかさんだ点はやや気がかりだが、滋賀県勢初優勝へ向けてまずは大きな一歩を踏み出したと言えるだろう。

一方、長崎日大は8回までは理想の展開だったが、最終回に勝ちきれなかったのは痛かった。ただ投手陣は昨秋から大きく成長した姿を見せ、特に種村は抜群のコントロールを武器に、別人のような投球を見せた。また、打線も6回に中軸が山田の変化球を攻略するなど、打撃のチームとしての意地を示した。投打に力を十分発揮し、惜敗に終わったものの、夏に向けて大きな収穫を得た試合となった。

【第94回選抜】近江 ー 長崎日大 ハイライト – YouTube

2022年選抜1回戦予想 近江vs長崎日大 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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