2022年選抜2回戦予想　高知vs国学院久我山

2022年選抜2回戦

高知vs国学院久我山

51％　49％

〇4-2  東洋大姫路　〇4-2  有田工

ともに投打に選手層が厚い似たチームカラーの対戦になった。接戦が予想される。

国学院久我山のエース成田は1回戦はほぼアウトコース中心の投球で2失点完投。捕手の吉川もインサイドに構える場面は一切なく、特に右打者に対しては狙って投じたインコースのボールはなかった。抜群のコントロールでこの投球が成り立ったが、高知打線は有田工打線と比較して打力は数段アップするため、同じような投球だと踏み込みを許す可能性はある。シュート回転して中に入るボールにも注意しつつ、1回戦で出番のなかった投手の登板も見据えることとなりそうだ。

対する高知打線は1回戦はインサイドの速球を武器とする東洋大姫路の森を見事に攻略。タイプは違うものの、次戦も配球に偏りのある投手が相手であり、アウトコースのストレートとスライダーのどちらかに的を絞ってとらえていきたい。ヒット数は6本だったが、1番山下・3番高橋を中心に上位から下位まで打線は振れており。4～5点は奪いそうな気配だ。久我山の多彩な投手陣に対して、惑わされることなく対応していきたい。

一方、高知の投手陣は山下→中嶋→日野とタイプの違う3人の継投で東洋大姫路打線を2点に抑えた。山下はコントロールの良いタイプであり、1回戦の有田工・塚本の投球は参考になるはずだ。中学野球で全国制覇を達成して浜口監督は継投に躊躇がなく、相手に合い始めたと考えたら、すぐに交代のカードを切ってきそう。試合の流れを渡さないリレーを次の試合でも見せたい。

対する国学院久我山打線は初戦は有田工・塚本のスライダーを前に苦しんだが、甘く入った速球に対してはきっちりタイムリーを放って対応していた。刺されても果敢に盗塁を仕掛けるなど、自慢の機動力も高知バッテリーに圧力をかけるには効果的だ。8番鈴木が当たっていることもあり、次戦では打順の組み換えもあるかもしれない。こちらも高知投手陣の全員に対応できるよう準備を進めていきたい。

大きな差のない両チームだが、打力の差で若干高知が優位か。ともに相手の継投を後手に回すような攻撃を見せたい。

主なOB

高知…有藤通世（ロッテ）、杉村繁（ヤクルト）、木下拓哉（中日）、和田恋（楽天）、森木大智（阪神）

国学院久我山…井口資仁（ロッテ）、森笠繁（広島）、河内貴哉（広島）、矢野謙次（日本ハム）、松田進（ロッテ）

高知　　東京

春　　7勝　　5勝

夏　　2勝　　4勝

計　　9勝　　9勝

対戦成績は春は高知勢が、夏は東京勢がリード。9勝9敗の五分である。

1980年の選抜決勝では高知商と帝京が激突した。高知商・中西清起（阪神）、帝京・伊東昭光（ヤクルト）というのちにプロ野球でも活躍した両エースの投げ合いは0-0のまま延長戦に突入。延長10回裏に高知商にサヨナラ犠飛が飛び出し、無冠の帝王と言われた強豪校がついに全国のタイトルを手にした。

一方、2011年の選抜初戦では、神宮王者の日大三と春夏の甲子園初戦で20連勝を記録していた明徳義塾が激突。日大三のエース吉永が明徳打線に捕まってリードを許したが、終盤8回、直前の守備で負傷していた捕手・鈴木が逆転タイムリーを放ち、日大三が6-5で乱戦を制した。明徳義塾はこの敗戦を機に結構初戦で負けるようになってきた（敗れた時の対戦相手は強豪ばかりであるが）。

日大三vs明徳義塾　2011年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

思い出名勝負

2017年選抜1回戦

早稲田実

明徳義塾

早稲田実　　　　　池田→服部→石井

明徳義塾　　　　　北本

早稲田実の清宮幸太郎（日本ハム）に高校野球ファンの耳目が集まっていた2017年の選抜大会。その初戦の相手は馬淵監督率いる常連校・明徳義塾となり、1回戦屈指の好カードとして注目された。

早稲田実は1年夏に甲子園で2ホームランを放った清宮が最終学年となり、主将としてチームを牽引。清宮以外にも野村（ソフトバンク）、橘内、雪山ら2年生の好打者が並び、全国屈指の強力打線を形成していた。秋季東京大会決勝では日大三のエース櫻井（DeNA）に清宮が5連続三振を食らいながらも、最後は野村のサヨナラ2ランが飛び出して8-6で優勝を達成。打線の総合力は素晴らしかった。

一方、投手陣には不安を抱えており、1年時に甲子園のマウンドを経験した服部をはじめとしてストレートに力のある投手が多かったが、変化球でカウントを整えられないのが難点であった。王監督がエースだった時以来の選抜制覇は、一にも二にも投手力にかかっていた。

一方の明徳義塾は前年夏に4年ぶりに4強に進出。その時のメンバーから俊足巧打の西浦（オリックス）、長距離砲の谷合、小技のうまい今井が残り、打力には手ごたえを感じていた。特に西浦は前年夏の甲子園でグランドスラムを放つなど、長打力も兼ね備えており、全国でも屈指の好打者として期待されていた。

また、投手陣も技巧派左腕・北本、1年生のサイド右腕・市川（ヤクルト）の2人が安定。四国大会を制覇すると、神宮大会でも前年夏の甲子園で敗れた作新学院にリベンジを果たし、1勝を記録していた。初戦で大敗した前年の選抜の雪辱に向け、戦力は充実していた。

試合は1回表、早稲田実が注目の清宮の痛烈なセンター前ヒットなどで1アウト1，3塁のピンチを招くも4番野村をダブルプレーに仕留めて明徳の左腕・北本が難を逃れる。このプレーが前半の試合の流れに影響したように思う。

その裏、早稲田のウィークポイントである投手力に明徳がうまくつけこみ、注目のスラッガー西浦のライト前ヒットなどで満塁のチャンスを作ると、勝負強い6番今井がレフトへうまく引っ張って2点先取。さらに7番の近本もライト線へ落とす2塁打でもう1点追加。制球の安定しない先発・池田を攻め立てての3点先行はさすが明徳と思わされる攻撃だった。

しかし、早稲田実も2回表反撃開始。雪山四球、橘内レフト前ヒットでチャンスを作ると、秋は1番を打っていた野田がライト前にはじき返してすぐさま1点を返す。この1点は明徳に完全には流れを渡さなかった意味で大きいものとなった。

過去の甲子園のデータでは初回に大量点を挙げたチームがその直後の守りで0点にしのいだ場合の勝率は9割6分台を記録しているが、1点でも失点すると途端に勝率は7割付近まで落ちている。やはり、野球は点を取った後の守りが大事になってくる。

2回以降早稲田実は継投した服部が好投。1年夏に甲子園を経験したエースが味方に徐々に流れを持ってきた。ただ、制球が抜群なわけではなく、ボールもすごく走っていた感じはしなかった。どちらかと言えば、明徳のほうが打てるボールを打ち損じているケースが目立ち、この辺りが試合前の注目度と比べると、そこまでのレベルの試合ではなかったと感じてしまう要因になったかもしれない。

明徳のエースの北本はテークバックがコンパクトなフォームから低めに変化球を集めて好投。清宮には外野の最深部にまで打球を運ばれるも、結局ヒットは初回の1本のみに抑えており、よく投げたと言える投球内容だった。

早稲田実の注目の2人に関して言えば、清宮は秋までよりミートポイントを捕手寄りに持ってきており、打撃の内容自体は決して悪くなかった。センターに高く打ち上げた打球は明徳の馬淵監督をして「ものが違う」と言わしめるほどだった。ただ、やはりどうしても左投手に対しては右投手の時よりどっしり構えきれないところがあり、そのあたりは今後の彼のかだいになりそうだ。

一方、4番の野村についてはヒット2本は放ち、右中間に会心の2塁打を放ったが、試合前半の打席内容はあまりよくはなかった。クロスステップで構えて、少しバットが出てきていないところもあり、試合序盤は北本のボールに差し込まれている感があった。この辺りを次の試合までにどう修正してくるかも見ものだ。

さて、試合は7回に早稲田実が当たっている9番・野田のタイムリーで1点差に迫ったが、8回裏に明徳がそれまで3四球の4番谷合がバックスクリーンにホームラン。事実上、この1点で勝負あったかと思われたが…

9回表、早稲田実は先頭の7番橘内が2塁打。橘内も自分のポイントを持ったいい打者でこういう打者を7番に置けるのが早稲田の強みか。まだ2年生であり、来年は野村と中軸を組んでほしい打者だ。その後、成田のヒットなどで1点差に詰め寄るも2アウト1塁。ネクストバッターサークルに清宮を残したまま試合は終わるかと思われたが、2番西田の投手ゴロを北本がまさかのファンブル。甲子園の独特の空気に飲まれたか、まさかのエラーで試合は終わらず。

こうなると北本は完全に我を失い、3番清宮、4番野村に連続四球。まさかの押し出しで同点となって延長戦へ。延長10回、9番の野田がこの試合4打点目となるタイムリーで勝ち越した早稲田が九死に一生を得る格好で初戦を突破した。

明徳義塾としては再び甲子園の悲劇の主人公となってしまったわけだが、一番の敗因を挙げるとすればやはり追加点を中盤に取れなかったことだろう。早稲田実の2番手服部の投球内容も完全なものではなく、明徳ならば1，2点は取ってもおかしくない内容だったと感じられた。取るべきところで点を取っておくことが大事だと改めて思わされた一戦であった。

そして、冷や汗もので勝った早稲田実は最終回の勝負強さはさすがであったが、やはり投手陣の不安定は隠せない内容であった。2回戦では東海大福岡の打線に投手陣がつかまり、大量11失点を喫することに。主砲・清宮もヒットは出たものの、全体的にこの大会は不発に終わり、早実の選抜はベスト8を前に幕を閉じた。

早稲田実業対明徳義塾ハイライト – YouTube