藤田修平(宇部商)
延長15回サヨナラボークというあまりにも悲劇的な結末で有名になった2年生左腕。9回裏に重盗で追いつかれ、延長15回裏に2塁ランナーからのサイン伝達を防ぐために作ったダミーのサインにうなずいてサヨナラボークに至ってしまった。しかし、敗れたとはいえ、しなやかなフォームから繰り出す伸びのあるストレートとスライダーで強打のトヨタ大谷打線を手玉に取った投球は見事であり、決して責められるような投球ではなかった。
それにしても宇部商は愛知県勢と縁が深く、初出場時の選抜では春夏連覇をする中京商に敗れ、1988年選抜では同じく中京(校名変更後、現在の中京大中京)に完全試合寸前からの逆転勝利、1991年には東邦との強豪対決に2-0で快勝と、多くの好試合を演じている。
⚾【平成10年】1998.豊田大谷 vs 宇部商業【高校野球】生中継映像 – YouTube
大伴啓太(岩国)
岩国を初戦敗退の呪縛から解き放ったエースで4番。県大会決勝で選抜出場した宇部鴻城との延長の激闘を制して勢いづくと、甲子園初戦では羽黒打線に10安打を浴びながらも6-0で完封勝ち。ストレートとカーブで我慢強く投げ抜き、8度目の出場で甲子園初勝利を成し遂げた。2回戦では選抜優勝の広陵と激突。練習試合で4度敗れた同地区の強豪を相手に終盤に見事な逆転劇を演じ、大伴も我慢の投球で完投勝利した。
結局、この大会で岩国はベスト8まで進出。絶対的エースを機動力豊かな打線が支えるチームカラーに河口監督も手ごたえを得た大会になっただろう。
岩国vs広陵 2003年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
2003年第85回高校野球選手権 岩国 vs 広陵 – YouTube
梅本佳幸(岩国)
岩国を2年連続の夏の舞台に導いたエース。技巧派左腕だった1年先輩の大伴と違い、180㎝を超す長身から投げ下ろす本格派であった。140キロを超すストレートとスライダーで三振を奪う投球スタイルで、初戦は旭川北に3失点完投勝利。3回戦で済美・鵜久森(日本ハム)に真っ向勝負を挑んでホームランを浴びたが、力対力の清々しい対決であった。
梅本佳幸(慶応大) 2008ドラフト候補 – YouTube
好永貴雄(宇部商)
2005年の夏で個人的に大会No.1投手に推したいのが宇部商の好永貴雄である。複数投手性が叫ばれる現代の高校野球界においては珍しく、県大会の予選からすべての試合を一人で投げ抜いたタフネスさ、際立った球威・球速はなくとも、内外角を丁寧について打ち取るクレバーさは投手の醍醐味を感じさせてくれた。
過去には田上(1985年)、木村真(1988年)、金藤(1991年)、藤田(1998年)など数多くの好左腕を送り出してきた宇部商にあっても、屈指の好投手に上がるのは間違いない。2回戦の静清工戦では三振ゼロで完封勝利を飾り、軟投派投手としての真骨頂を見せた。最後は準決勝の京都外大西戦で自らの送球エラーに泣いたが、大会を彩った好左腕であった。
岩本輝(南陽工→阪神)
2年選抜、3年夏と2度にわたってチームを甲子園に導いた「津田2世」。特に2年生の選抜ではチームの21年ぶりの8強進出に貢献した。初戦で後藤(オリックス)を擁した前橋商に3失点完投すると、2回戦のPL学園戦は歴史的な一戦に。味方打線が9回まで無安打に抑え込まれる中、岩本も持ち味の重いストレートとフォークボールでPL打線を封じ込め、延長での勝利を呼び込んだ。南陽工のエースの系譜を引き継いだ好投手であった。
南陽工vs前橋工 2009年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
南陽工vsPL学園 2009年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
2009年春 全国高校野球選抜大会 南陽工×前橋商 – YouTube
柳川健大(岩国)
岩国を2014年の春夏の甲子園に導いたエース。春夏とも初戦敗退には終わったものの、その実力は全国でも屈指の右腕だった。特に決め球のスライダーの威力は抜群で、全国でもトップレベルの切れ味であった。
ただ、その決め球の使い方が難しく、春夏とも試合序盤から多投したことで徐々に打者の目に慣れてしまった。選抜では開幕戦で神村学園の主砲・山本に3ランを被弾。夏は「機動破壊」の健大高崎打線に中盤以降攻略された。
山野太一(高川学園→ヤクルト)
こちらも甲子園では初戦敗退だったものの、県大会から評判の好投手だった山野太一。キレのあるストレートは相手打者を差し込み、甲子園では履正社・寺島(ヤクルト)との投げ合いに敗れはしたものの、V候補を慌てさせる好投を見せた。大学卒業後はヤクルトからドラフト指名を受けてプロ入り。投手不足に悩むチームでローテーションの枠をつかめるか注目だ。
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