好投手vs機動力野球の名勝負
東海大相模・筑川の力投や智辯和歌山の猛打に沸いた2000年選抜。2回戦最初の試合は持ち味の違う好チームの激突となった。
開幕戦で得意の機動力野球で近畿王者の育英に完勝した国学院栃木。初回からセーフティーバントなどを多用し、育英の好投手・橋本から6回で6得点。エース大川から増茂への継投で育英打線の反撃をかわし、3年前の選抜で敗れた相手に同じ4点差でリベンジを果たした。柄目、館野ら好調な打撃陣でベスト8進出を狙っていた。
一方、九州学院は1回戦は享栄と対戦。大会No.1の防御率を引っ提げて乗り込んだエース反頭が好投。抜群の制球力で強打の国本兄弟を擁する享栄打線を寄せ付けず完封し、打線も機動力を絡めて得点を重ね、8-0で完勝した。
ベスト8一番乗りを目指しこの対照的な両チームが対決した。
9回表にまさかのドラマが…
2000年選抜2回戦
国学院栃木
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 6 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 5 |
九州学院
国学院栃木 大川→増茂
九州学院 反頭
焦点は九州学院の好投手・反頭を国学院栃木打線がどう攻略するかだった。
3回表、国学院栃木は反頭のボークなどでチャンスを広げ、最も頼りになる男の3番館野が左中間へタイムリー2塁打。2点を先制する。
4回にスクイズ失敗で反撃の機会を逃した九州学院だったが、6回に反撃。主将・南のテキサスタイムリーヒットで1点を返す。8回表には2アウト3塁で反頭がタイムリーを打たれた館野を打ち取って、勢いをつける。
すると、8回裏九州学院は1アウト1,2塁の好機に4番捕手の榎田が同点タイムリー。ついに同点に追いつくと、さらに主将・南、反頭とタイムリーを放って5-2.勝負あったかと思われた。
だが、ここから信じられない展開が続く。1アウトからレフトフライをレフトがまさかの落球。ランナーが2塁に進むと、今度はファーストファールフライを落球。このフライ2つを取っていればすでにここで試合終了だったが、現状はまだ1アウト2塁。さらに、3塁強襲ヒットが飛び出すと反頭は完全に我を失った。
その後、センターオーバーの2塁打にレフト前ヒットで同点に追いつかれると、最後は注意していた1番柄目にタイムリーを打たれ、6-5で試合は終幕した。
あと1イニングの怖さを思い知らされる結果となったが、あまりにも悲劇的な結末だった。反頭としては一度勝ったと思った心を再び切り替えるのが難しかったのだろうか。
一方、奇跡的な勝ち方を見せた国学院栃木。これで1回戦の育英・橋本に続き、秋の防御率TOP2の2人を攻略してベスト8進出を決めた。結局この大会では4強まで進出。最後は智辯和歌山の猛打の前に散ったが、見事な戦いぶりだった。現在もこの大会が同校の甲子園最高成績である。
【好投手列伝】栃木県篇記憶に残る平成の名投手 1/2 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
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