京都国際に初優勝をもたらした2年生左腕。一つ上にエース番号を背負う、同じ左腕の中崎がいたが、相手チームに得点の気配さえ与えな、その圧倒的な投球は、2年生ながらエースの風格を感じさせるものだった。新チーム結成当初は、中崎の存在が際立っていたが秋から春にかけて一段と成長。春季京都大会、春季近畿大会では主戦格としてチームを牽引し、春の近畿チャンピオンに導いた。
甲子園では中崎と交互に先発のマウンドに上がり、2回戦では新潟産大付を、準々決勝では智辯学園をいずれも完封で下す。左投手ゆえに右打者への投球がカギになると思われたが、沈みながら逃げていくチェンジアップの前に、相手打者のバットはクルクルと回った。タイミングを外すだけでなく、狙っていてもとらえることのできないようなボールであり、もはやチェンジアップという球種の概念を変えてしまうほどの衝撃的なボールであった。
また、130キロ台ながら伸びのあるストレート、キレのあるスライダーもあり、いずれもコーナーに際どく投げ込む制球力を持っているため、相手打者は打席に立つとあっという間に追い込まれる感覚だっただろう。そして、振りに行くとチェンジアップで空振り。捕手・奥井との息もぴったりであり、まさに難攻不落のバッテリーであった。決勝では自らの失策でピンチを広げながらも最後は伝家の宝刀で空振り三振を取って優勝投手に。全国の頂点を極めたエースが、次の1年でどんな成長曲線を描くのか、楽しみでならない。
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