大会No.1投手(2025年選抜) 石戸颯汰(浦和実)

2025年

数多くの本格派投手が甲子園を沸かせた2025年の選抜大会。そんな中、投球の極意を見せる存在となり、異彩を放ったのが初出場・浦和実のエース石戸颯汰だった。前年秋にチームを関東4強に導き、初の甲子園出場に導くも、本番が始まるまでは、全国でその投球が通用するのかどうか、半信半疑な面もあった。

しかし、足を高く上げた独特のシルエット、出所の見えにくいテークバック、足を突いてからリリースまでの間と、すべてがその打ちにくさの重要な要素となり、唯一無二の投球フォームとなって、全国の猛者を翻弄した。

初戦は昨夏8強の滋賀学園打線に対し、6安打で完封勝ち。ミートがうまく、しつこい打者がそろっていたが、まともな形でバットスイングをさせず、ヒットを浴びても崩れる気配はみじんも感じさせなかった。その後、2回戦の東海大札幌、準々決勝の聖光学院と地区大会優勝校との戦いが続いたが、先発した駒木根の後を受けて無失点リリーフ。速球主体の駒木根の後に、この石戸の投球を見せられると、相手打者は対応に数イニングを消費させられ、実に効果的な継投となった。

準決勝は脇腹の負傷の影響で智辯和歌山打線に捕まったが、準々決勝まで18イニング無失点の偉業はなんら色あせるものではない。投手、そして野球とは、相手との間・タイミングのスポーツであり、決して、スピードを競うものではないことを感じさせた、石戸の快投であった。

浦和実業甲子園初勝利の瞬間。

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