2年生エースを追い詰めた強力打線
選抜準優勝の済美の150キロ右腕・安楽の初戦となったこの一戦。2年生主体ながら打力の高い三重との対戦となった。

済美は選抜で5試合772球を投じた2年生エース安楽を春以降、上甲監督がしばらく完全に休養させた。そのかいあってか、疲労が取れた愛媛大会では152キロを計測するなど再び復調。守備もスローイングに不安のあったショートの宇佐川をセカンドにコンバートし、守りの不安もなくなっていた。エースを支える打線も派手さはないものの、勝負強さを増し、選抜であと一歩届かなかった全国制覇を狙って甲子園に乗り込んできた。

一方、三重高校は4年ぶりの夏出場。3番長野、4番宇都宮と2年生が主軸を務める打線が左腕エース若林を支え、投打に充実した内容を見せていた。大会序盤こそ、松阪商・いなべ総合と強豪対決が続き、苦戦を強いられたが、そこを乗り切ると、後は一本道。大会終盤はことごとくワンサイドで相手を寄り切り、代表切符をつかみ取った。初戦の相手は選抜準Vの済美となったが、県内屈指の伝統校は剛腕・安楽攻略に腕を撫していた。
最終回、執念の猛攻!
2013年夏2回戦
済美
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 3 | 1 | 1 | 9 |
| 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 7 |
三重
済美 安楽
三重 若林→正木→今井

試合は1回表いきなり済美がアクシデントに襲われる。打線のキーマンの1番山下が走塁中に送球を顔に受けて交代。動揺が走る。
その裏、三重は1番好打者の浜村がレフト前にクリーンヒット。犠打失敗となるも続く3番長野が安楽のボールをものの見事にとらえてライトオーバーの3塁打。さらに暴投で2点目を挙げて主導権を握る。
不運なスタートとなった済美だが、すぐに反撃。2回に4四死球で制球の定まらない若林から1点を挙げると、3回には3番宇佐川の3塁打を足掛かりに、この日大当たりの6番光同寺のテキサスタイムリーなどで逆転。早くもエース若林をマウンドから引きずり下ろす。
これで落ち着きを取り戻したか、済美・安楽は2回以降毎回ヒットは打たれるも要所を締めて好投。先輩捕手・金子の好リードもあり、中盤以降変化球を効果的に交えて0点に抑えていく。ストレートも徐々に走り出し、155キロの最速タイをマークした。
中盤、三重の2番手の右スリークオーター政木の好投もあり、試合は落ち着きを取り戻したが、終盤先に抜け出したのは済美だった。6回に2番林のタイムリーで1点を加えると。7回には女房役・金子の2点タイムリー3塁打が飛び出すなど後半は毎回得点9-2と試合を大きくリードした。
この辺りは選抜で毎試合のように後半までなかなか打線が援護できなかった反省を活かして打線もしっかりと安楽を援護。万全の態勢で9回裏を迎えたはずだった。
だが、9回裏三重高校の猛反撃に合う。最終回ということもあり、速球勝負にこだわった安楽のボールとストレート狙いを徹底した三重の思惑ががっちりフィットする。4番宇都宮、5番島田、6番小川の3連打であっという間に満塁になると、動揺した安楽が押しだし死球。1点を返す。
さらに、代打・山口にもタイムリーが飛び出したところで、打席には1番浜村。この日3安打の好打者が外角のストレートを素直にはじき返した打球は左中間を深々と破るタイムリー2塁打。9-6と3点差に詰め寄る。さらに2番西村の犠飛で2点差に迫り、打席には初回タイムリー3塁打の3番長野。一発出れば同点の場面だったが、ここは安楽がなんとかセカンドゴロに打ち取り、済美が苦しみながら初戦突破を果たした。
まとめ
済美はこの後3回戦で花巻東と対戦。安楽は制球重視の投球を心掛けたが、序盤から打ち込まれて苦しい展開。打線が終盤に追いつくも、延長10回に花巻東の上位打線に真っすぐをとらえられて4失点。その裏に自らの3ランで1点差に迫るも惜敗。安楽も上甲監督もこれが甲子園での最後の試合となった。
一方、敗れた三重だったが、新チームには長野、宇都宮、世古ら主力打者と3番手で投げた今井が残り、秋の東海大会で優勝。選抜は初戦で敗れたが、そのまま一年間東海地区は無敗で駆け抜けた。3度目の正直で臨んだ夏は初戦で広陵との延長の激闘をサヨナラ押し出しで制して、念願の甲子園勝利を達成。勢いに乗って、沖縄尚学・日本文理と前年秋の神宮ファイナリストを連破して見事準優勝に輝いたのだった。


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